『オクトパストラベラー(OCTOPATH TRAVELER)』の評価・感想。8人の物語が交錯…しないけどめちゃ面白いJRPG

Nintendo Switch専用ソフト、『オクトパストラベラー(OCTOPATH TRAVELER)』の感想です。

プレイ時間は体験版も入れて60時間、8人のストーリーをクリアした時点(隠しダンジョンはまだ)での感想です。

8人のストーリークリア、裏ボス含め全てのサブストーリークリア(多分)、全ダンジョン踏破しました!プレイ時間は80時間程度です。

ちょっとネタバレを含んでいるところもあるので注意。

体験版の感想とかぶっている部分もありますが、その点をご了承ください。

全体の雰囲気

単なるドット絵ではなく、3Dとドット絵、そして現代的な表現技法を組み合わせた「HD-2D」で描かれるグラフィックがとてもきれいです。

揺らめく水面、きらめく雪原、陽光差し込む森林など、地方によって特徴が異なり、各地を冒険をするワクワク感があります。

インディーズ以外のゲームではフォトリアルなグラフィックが主流の今、ドット絵から発展させてここまで豊かな表現が出来るのか!と驚きました。

キャラクターのドット絵にはもうちょっと動きのバリエーションがあると嬉しかったです。

グラを褒めてるのは思い出補正なんて意見がありますが、僕はSFC世代ではないしドットゲーはほとんどやってない、ということは一応書いておきます。

サウンドトラックも超いいです。

最近はもっぱら今作のサントラを聞いています。

ただ、ダンジョンに関しては不満があります。

今作のダンジョンは大まかに、洞窟・森林・地下道・遺跡・屋敷の5種類ぐらいのカテゴリに分別できるのですが、そのカテゴリ内部でのバリエーションがほとんどありません。

どの洞窟も同じ洞窟(森林、屋敷なども同様)に見えてしまうというのが非常に残念です。

また、これといった仕掛けがなく、長さが短いのも残念でした(4章のダンジョンはちょうどいい長さだと思いました)。ただこれは好みが分かれるところで、これぐらい短いほうがサクッとやれてちょうどいい、という人も結構いるのではないかなと思います。

 

ストーリー

今作では、通常のRPGとは異なり、8人の主人公それぞれに物語が用意されています。

ほとんどのRPGはなんだかんだで世界の危機を救う話になってしまいますが、今作では極めて個人的な話に終始しているのが新鮮。

個人的にはそれが今作の良さだと思います。

8人の中でオルベリクのストーリーが一番好きです(前半は微妙だったのですが、3章・4章に熱い展開が待っていたので)。

逆にトレサのストーリーには面白みを感じませんでした。

ストーリーが1本しか用意されていないゲームだと、そのストーリーが気に入らなかったらそれまでですが、今作では8人分のストーリーが用意されているので、どれか1つは気に入るストーリーが待っているのではないかな、と思います。その点も今作の良さですね。

体験版の時点で懸念していた通り、8人の物語はそれぞれ独立した形で進行し、そしてそのまま終わってしまいます。

加入も違和感を禁じ得ないほど超絶サラッとした感じですし、イベントで他のキャラが介入したり、同じ町でストーリーが展開することがあっても交錯したりことはないので、”仲間感”が非常に薄いというのが今作の大きな弱点。

またストーリーは、イベント→フィールドコマンドでなんかする→イベント→ダンジョン→ボス戦の繰り返しなため、やや単調さを感じました。

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▲進め方によっては、2つのストーリーが展開する町も。

一応、2章以降はストーリーの合間合間でパーティーチャットという仲間同士の会話が発生し、そのシーンで他のキャラがどう思ったか会話を聞くことができるのですが(パーティーチャットの内容は結構面白くて好きです)、もうちょっとなにか工夫が欲しかったところ。

例えば、特定のキャラがパーティーにいる場合はイベントが変化するなど。

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▲ダイアーウルフに関する知識を披露するサイラス先生(パーティーチャット

ちなみにストーリークリア後でも、町の酒場ではパーティーチャットが発生するようになっていて、その内容は面白いというのはよかったと思います。

8人の物語が、最後にちょっとした謎を残した終わり方をするため(どうやら「フィニスの門」という場所?に関する謎。)、もしかすると全員のストーリーをクリアした後、なにか条件を満たすと更に物語が待っているのかもしれません。

↓ネタバレ反転

全員のストーリークリアと特定のサブストーリークリア(父親を探している旅人クリスと、運命の人を探すやつのサブストーリー)で、「フィニスの門」にて真のラスボスである邪神ガルデラに挑めるようになります。

「フィニスの門」にて、全ての物語が実はここに繋がっていたのだ!ということが分かるようになっており、ガルデラを倒すことによってやっと物語が完結します。

しかし真のラスボスへの誘導がほぼ無いに等しいため、8人のストーリークリアしたから終わり、って思ってしまう人も多そうなのがもったいないです。

あとガルデラを倒した後がかなりあっさりしすぎているのもちょっと肩透かしというか、せめてストーリークリア後と同様に一枚絵(今度は8人が揃ったやつ)が出てきても良かったんじゃないかなと思いました。

 

 

バトルシステム

本作で僕が一番好きなのがバトルシステム。

コマンドバトルってあまり好みのシステムではないのですが、なぜか本作のバトルシステムはかなり面白かったです。

シンプルなコマンドバトルながら、「ブレイク」「コマンドブースト」という要素によって、なかなかに戦略性があり奥深い。

簡単に説明すると、敵にはそれぞれシールドポイントと弱点が設定されていて、弱点を突いてシールドポイントを0にすると「ブレイク」が発動し、1ターン無防備な状態になる。

味方は1ターンに1ずつBPというポイントが溜まっていき、そのBPを消費(「コマンドブースト」)することで、攻撃の回数を増やしたり威力を増やしたりすることができる、というもの。

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▲敵の下の数字がシールドポイント、その横が弱点。画面上部には2ターン分の行動順が表示されている

※ちなみに、弱点は左から剣|槍|短剣|斧|弓|杖|火|氷|雷|風|光|闇の順番という決まりがあるため、ある程度は予測可能。また火と氷、雷と風、光と闇はそれぞれ対になっています。

ブレイク状態では約1.5倍のダメージが与えられる、ブーストした次のターンにはBPが貯まらない、BPはMAX5以上は貯まらない、ブレイク復帰後の敵ははかならず最初に行動する、といった点を考慮しながら戦う必要があり、これがなかなか面白い。

魔法使いの「たたかう」や防御など、他のRPGではほとんど使わない行動ですら意味を持っているというのも特徴的です。

例えば、防御を使うと次のターンで最初に行動できるようになる、という特性を活かせば次のようなことができます。

敵が全員行動済み、味方の行動が残っていてブレイクできるターン。あえてブレイクを見送り防御させて次のターンでブレイクすれば、ブレイク状態の敵に攻撃出来る回数が増える上に、使えるBPが1増える。

画面上部に表示される行動順と弱点を照らし合わせつつ、どうすれば最も効率的に殲滅できるのか?ということを考えながら戦うことになるので、単なる雑魚戦であっても1戦1戦にパズル的な面白さがあります。

ボス戦は雑魚戦とは一転して長期戦になり、雑魚戦以上に一手一手をしっかりと考えていく必要がありますが、その分達成感もひとしお。

雑魚が硬すぎる、という意見がちらほらありますが、個人的にはその意見には同意しかねます。

ただ単に装備がしょぼいorシステムを理解していないだけな気がします。

 

ジョブシステム

バトルシステムにさらに奥行きをもたせているのがジョブシステム。

序盤は、最初から設定されているベースジョブ以外にジョブを装備することは出来ませんが、各地に点在している祠を訪れることで、バトルジョブと呼ばれる2つ目のジョブを装備することが出来るようになります。

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フラットランド地方の「碩学王の祠」では・・・

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「学者」のバトルジョブを入手!

 

バトルジョブを装備すると能力値に補正がかかるほか、ベースジョブの武器・アビリティに加えて、バトルジョブの武器・アビリティも使えるようになるため、戦略の幅が更に広がります。

長所を伸ばすか短所を補うか、それとも見た目で選ぶか、ジョブの組み合わせは様々なので、メンバーの特性も考慮しつつパーティーを組むのが楽しいです。

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▲バトルジョブは1つにつき1人にしか装備することが出来ない

 

 

自由度の高い(?)冒険

今作は自由度の高い冒険が売り。だったはず。

確かに、誰から始めるか、誰をどの順番で仲間にするか(しなくてもいい)、どの順番でストーリーを進めるか、ジョブのアビリティをどの順番で覚えていくかなど、あらゆる選択がプレイヤーの自由になっています。

しかし、章をまたぐ毎に推奨レベルがグンと上がるため、誰の物語をどの順番で進めるかは自由、かと思いきや、実際は推奨レベルの低いものから順番にクリアしていくようなデザインになっているのがちょっと気になりました。

全員の1章を終えて、全員の2章を終えて、という形に進まざるを得ないため、話が途切れ途切れというか、没入感が薄いです。

一気に1人の物語を進められるようなデザインになっていてほしかったところ。

 

今作で気に入っているのは、サブストーリー(サブクエスト)の作り。

サブクエといえば、どこどこで〇〇を倒してこいだの、◇◇を何個もってこいだのといった、いわゆるお使いクエストだらけで辟易することが多々あります。

しかし今作では、解決法が提示されないので、住人に話しかけるなり、各種フィールドコマンドを使うなりして情報収集を行い、自分で解決法を見つけ出す必要があります。

その町内部ですぐに解決できるものだったり、複数の町にまたがっているものだったり、解法が一つだけではなかったり、ちゃんと住人の話を聞いていないと分からないものだったり、ストーリー仕立てになってるものだったりと、内容は様々。

ストーリーをクリアすると、道中で出会った人たちのその後がサブストーリーとして展開するというのも良かったです。

フィールドコマンドによる住民との接触もなかなか楽しく、この世界の息づきを感じさせます。

 

メンバーの交代や装備の変更は酒場でしか出来ないうえに、経験値は戦闘に参加したメンバーにしか入らないため、こまめにメンバーを変える必要があってちょっと面倒。

最初に選んだ主人公は、ストーリークリアまではパーティーから外せないため、1人だけぐんぐんと成長していきます。

僕はなるべく万遍なく育つようこまめに編成を変えていたので、幸いレベル上げ作業をせずともスムーズにストーリーを進めることが出来ましたが(とは言え常に推奨レベル-5~8の状態でした)、あまり考えなしに進めているとその都度レベル上げが必要になるかもしれません。

でも控えメンバーにも経験値が入るようだと、結局固定メンバーだけで進めるような形になってしまいがちなので、一長一短な感じですかね。

町でのフィールドコマンドや、テリオンにしか開けられない鍵付き宝箱のこともあるので、メニューで簡単にメンバーチェンジが出来たら良かったと思います(というか鍵付き宝箱はいらなかったんじゃないかというのが正直なところ)。

 

おわり

体験版で気になった点・懸念していたことはやはりそのままでした(気のせいかもしれませんが、画面はやや見やすくなっている気がします)。

バトルが面白く、ヴィクターホロウにせっかく闘技場があるのだから、やりこみ要素として『EoE』の闘技場的な、様々な強敵とのバトルを楽しめるような要素がほしかったです。

グラフィック、バトルシステム、サブストーリー、フィールドコマンドなど、かなり気に入りました!という感じ。

Switchを持っていてRPGが好きならマストバイ…だと思います。

 

世界的に大好評+わりとヒットしてるみたいなので、各要素をブラッシュアップしてキャラクター・舞台を変更した続編をぜひとも制作してほしいです。

キャラクターやジョブの紹介は別でまとめています。

よかったらそちらもどうぞ。

長々と読んでいただきありがとうございました。

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