ずっと前から楽しみで仕方なかった映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を見てきました。
いやー、とんでもない映画でした。前作の時点でとんでもない映画だとは思っていたのですが、それを軽々と超越してくるとは…
アニメーションのクオリティがぶっちぎりで世界最高峰なのは言うまでもなく、ストーリーも演出も音楽もなにもかもが最高。
時間は相対的なものだとマイルスもよく言っていますが、2時間20分があっという間。
もっと見せてくれい!と思わず叫びたくなりました。
今年どころか21世紀の最高傑作と言っても過言ではないほど楽しかったのですが…評価は次回作である『ビヨンド』を見るまでは一旦保留しておきます。
ホービー/スパイダーパンクがかっこよすぎる
今作を見た人は誰もが思うことでしょうけど、今作で一番かっこよかったのはコイツ。
反体制的なことを言ってるだけの面倒くさいヤツかと思いきや、意味深な忠告をしてくれてたり、マイルスがレーザートラップから逃げるきっかけをくれたり、マイルス捕獲命令が出されたときに「俺は辞めるぜ」と真っ先に退場したり(あのデバイスを置いていったのはソサエティに追跡されないようにってことなんだろうな)、グウェン宛に海賊版次元移動デバイスを届けてくれたり、やることなすこと全てがかっこいい。もちろんビジュアルも。
マイルスやグウェンに力を貸しているのは、「宿命に抗う」という、過去の自分にはできなかったことを成し遂げるスパイダーマンの登場を待ち望んでいたからなのか。
次回作でのさらなる活躍に期待。
カノンイベントの設定がいまいち分らん
大切な人の死と警察署長の死は避けられない、それがスパイダーマンの宿命<カノンイベント>。もし防ごうものなら、最悪その次元の崩壊を招く。
とのことでしたが、トビーやトムホ、PS4のスパイダーマンなどでは警察署長の死は描かれてないし、グウェンの親父さんは辞職したからセーフという妙な軽さもひっかかる。
ミゲルの口ぶりだと、ピーターBと共にカノンイベントの回避を何度も試み、そのたびに次元の崩壊を目にしてきたようなので、必死でマイルスを止めようとするミゲルの気持ちも理解できなくはない。
スパイダーマンを語る上で欠かせない「Great power comes with great responsibility.」のくだりがまだ無い、というのも気がかりですな。
前作から仕込んであったのね…
マイルスがスパイダーマンになったのは、量子加速器実験で別次元(アース42)からきたクモに噛まれたからで、本来スパイダーマンになるはずではなかった。そのせいでアース1610のピーターは死んだ。
という衝撃の事実が明らかになる(同次元に存在するスパイダーマンは1人だけ、という縛りもある模様)
で、前作をよく見ると、42のクモにちゃんとグリッチ描写(別次元からきた人に起こる発作描写)がある。
はじめて見たときは、放射性クモの特徴なのかと思ってスルーしてたんですが、別次元からきたことをこの時点で示唆してたんですね…さすがっす。
ラストが最高すぎる
バンドを抜けたグウェンが、自分で新たなバンドを作るという、アバンタイトルとラストがきちんと対になってる終わり方が最高。
全体の話としては中途半端な終わり方だけど、グウェンの話として見るときれいにまとまってる。
バンドのメンバーは今のところ、グウェン、ピーターB、ペニー、ノワール、ハム、インディア、ホービー、バイト、かな。
バイトはマイルスがアース42に飛んだことを知ってるので、マイルス救出のためにアース42に移動→そこでシニスター・シックスと対決、という流れになるんじゃないかと予想。
今作では最後にしか登場しなかったノワールとハムの活躍にも期待。
前作のミゲルと今作のミゲルは果たして同一人物なのか?
今作を見ていてひっかかったのはココ!なのでちょいと考察してみます。
まず今作を見る前に前作を見返していたから気づいたことなんですが、「前作のポスクレに登場したミゲル」と「今作に登場したミゲル」を見比べると、体格も、スーツのデザインも、性格も、絵柄も全然違います!
同じなのは演じている中の人だけなんですよね(オスカー・アイザック/関智一)。
1.能力に関して
- 放射性クモに噛まれたわけでなく、遺伝子操作事故によって生まれたスパイダーマンである
- 壁や天井に張り付く能力を持たない代わりに爪を使う
- スパイダーセンスを持たない
- 麻痺毒を注入する牙を持っている
というコミックの設定を踏襲しているわけですが(ひとつ目に関しては直接的な描写は無い)、なぜか今作では「吸血鬼みたいな人」「謎の注射」という描写が加わってます。
吸血鬼に関しては、牙を持っていることをただ茶化しただけのセリフともとれますが、「マルチバースのスパイダーマンを次々と捕食している吸血鬼のようなヴィランに対抗するためにスパイダーマンたちが招集される」というのがコミック版スパイダーバースのストーリーだっただけに、「吸血鬼」というワードを深い意味もなくセリフに組み込んだとは思えないんですよね…考えすぎ?
アクロスとビヨンドにおける本当のヴィランが、実はミゲルであるという暗示なのでは?と勘ぐってしまう。
謎の注射は、おそらくスパイダーマンとしての能力を維持するためのものなのかなと思います。
ミゲルだけ能力を得たオリジン描写が無かったのも不自然といえば不自然。
2.性格に関して
今作でのミゲルは、ユーモアが全く通じない苦労人のような描写がされていて、前作のポスクレでアース67のスパイダーマンと指差し合戦をしていた人と同一人物だとは思えません。
また、気になるセリフとしては「ミゲルは唯一面白くないスパイダーマン」「スパイダーマンはつい軽口を叩いちゃう」というものもありましたね。
暗にミゲルはスパイダーマンではない、と示唆しているように思えてくる。
数々の次元の崩壊を引き起こした経験を通して暗い性格になってしまった、と考えることもできなくはないんですが、次元の崩壊はピーターBも共に経験している事柄っぽく、だとするとピーターBがサイコパスに思えてきてしまう。
3.ビジュアルに関して
今作のミゲルは、スーツのデザイン、体格、そしてなにより絵柄が変わってます。
ビジュアルに関して狂気的なこだわりを持っている人たちが、パッと見で整合性のとれない変更を考えなしに行うとは思いたくない。
スパイダーバースの世界観では、絵柄が違うということは別次元の人であることを表しています。
つまり、前作のミゲルと今作のミゲルは別人ですという宣言なのでは…と思ったけど、絵柄に関してはポスクレの時点で矛盾してるのでなんとも言えないか(スパイダーバースの設定では別次元に移動しても自身の絵柄が保たれるはずなのに、アース67に飛んだミゲルはアース67の絵柄になっちゃってる)。
4.そしてなにより、漂うプラウラー感
今作のミゲル/スパイダーマン2099には、意図的にプラウラーを彷彿とさせるような描写が多くて意味深。
爪をジャキッとして異様な前傾姿勢でマイルスを追いかけてくるところは、モロに前作のプラウラーを連想させるような見せ方になっているし、スーツのカクカクとした模様、とくに目のアウトラインがプラウラーのものに酷似していたりする。
それに加えて、プラウラーのテーマソングと2099のテーマソングのどちらにも、耳障りな象の鳴き声のような音が使われています。
全く同じ音ではないにしろ、明らかに似ている音が使われているというのには必ず意味があるはず。
今作ラストでマイルスがプラウラーと化した自分と対峙したように、前作のミゲルはスパイダーマン、今作のミゲルはプラウラー、という関係性だったのでは。
プラウラーミゲルが、自分にないものをすべて持っていた別次元のスパイダーマンミゲルを妬ましく思い、彼を殺してとって変わった。しかしそれが原因となって次元の崩壊を引き起こしてしまい…というのが彼の本当のオリジンだったのかも。
そう考えると、本来スパイダーマンになるはずではなかったマイルスにキツく当たるのも納得…か?
今作のミゲルがスパイダー・ソサエティを組織した本当の目的は、全次元のスパイダーマンを1箇所に集めて一掃するため、だったりして。
グダグダと考えてみたけども、結局のところ、今作の製作に当たっていろいろと変更せざるをえなかっただけで、深い意味は全然無かった。というオチの可能性の方が高そう。
何にせよ次回作が楽しみすぎます!
あと、東映版スパイダーマンとレオパルドンがどういう形で登場するのかが一番気になっていたりする(今作の設定的には実写での登場ってことになるのかしら)。
ではまた。
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