
2010年に発売された『ダークサイダーズ ~審判の時~』のHDリマスター版、『Darksiders Warmastered Edition』をプレイした感想を書き綴っていきます。
1周クリアまでにかかった時間は、難易度ハード・寄り道込みで約15時間でした。
オリジナル版からの追加要素は一切なく、画質・フレームレートの向上のみのリマスター版です。
ストーリー
本作の主人公は、黙示録の”四騎士”の末弟である”ウォー”。
”焦炎評議会”に仕え、天界・地獄・人間界の調和を保つのが四騎士の使命である。
人類が天界・地獄と対等に戦えるだけの力を有した時、”7つの封印”が解かれ終末戦争が起こる…はずだった。
しかし人類が未だ発展途上であるにもかかわらず、天界と地獄の軍勢が地上に降り立ち、終末戦争が勃発してしまう。
そのときウォーもなぜか地上に降り立っていたことから、掟を破り終末戦争を引き起こした裏切り者として、百年ものあいだ評議会によって幽閉されていた。
ウォーは、自らの無実を証明し、自分を陥れた者の正体を突き止めるため、再び地上に降り立った…

冒頭からクライマックスというのは、『ゴッド・オブ・ウォー』を彷彿とさせる始まり方。
オープニング時は能力全開状態だけど初期化されてしまい、探索・アップグレードすればオープニング時よりも強くなる、というのもまんま『GOW』。
ウォーが降り立った地上では人類は滅亡していて、”破壊者”と呼ばれる強力な存在が支配していた。
破壊者のもとにたどり着くには”塔”に行かなければならず、塔に行くには4体の”選ばれし者”を倒す必要があり、”選ばれし者”の心臓を悪魔”サマエル”に渡すと手助けしてくれる、というなんとも回りくどい展開で話が進む。
7つの封印や評議会といった設定はよく分からないし、ゲーム内で丁寧に説明してくれるテキストも用意されていないので、なんとなくノリで頑張るしかない。
幸いインターネッツという便利なものがあるので、FandomのDarksiders Wikiを読めば大体のことは分かるけど、ちょっと不親切だと感じた(いまだに封印と終末戦争と四騎士の召喚の関係はよくわかっていない)。
実質ラストダンジョンの塔に行くまでは話が一切前に進まず、ただただサマエルからのお使いをこなすだけなので、冗長に感じられる。
謎解きやアクションといったゲームプレイ部分は良好なので、ストーリーが薄いのは大きな欠点というわけではないが、引っかかる部分ではある。
心臓をゲットするたびに断片的に終末戦争の背後にあった陰謀が明らかになっていく、という作りにしておけば、テンションを保ったまま進めることができたと思う。
塔にたどり着いてからは、終末戦争の背後にあった陰謀が明らかになったり、ツイストがあったりして楽しめる(声だけで姿は見えないが、〇〇を陥れ破壊者へと変えたのは、続編で登場する”リリス”という悪魔) 。
終盤のムービーシーンの演出がカッコよくビジュアルともマッチしているので、文句は言いつつ最終的な満足度はそれなりにありました。
続きが非常に気になるクリフハンガーで終わるけど、カッコいいのでそれも良し(『2』はプレイ済みなので、この機に『3』をやろうかと思うぐらいには楽しめました)。
「No, not alone.」
アメコミ風素敵ビジュアル
今作で素晴らしいのは、なんといってもビジュアル。
キャラや世界のデザインを手がけているのは、アメコミ作家で有名なジョー・マデュレイラ。
彼のアートがそのまま3D化したかのような素敵ビジュアルは、一見の価値がある。と思う。
目を見張るような美しさというわけではないのだが、滅びた人類文明の名残が見え隠れする背景デザインはとてもイイし、メリハリがバッキバキにきいたキャラはどれも魅力的だ(特に『2』でも登場したサマエルは超かっこいいと思う)。

ウォーのデザインは、鮮血のように赤いフード、身の丈ほどもある大剣、四角いプロポーション、ごっついガントレットと鎧に鎖、とかなりごちゃついている。
でもこの全盛り感、僕は嫌いじゃないです。
上裸長髪ドクロ仮面の長兄デスさんの方が好きですけど。
探索と謎解き
新しいエリアに行って新しい道具をゲットし、その道具を使ってパズルを解いて進んでいく、というのがゲームの基本的な流れ。
一言で言ってしまえば「ゼルダの伝説」だ。
各エリアは一部を除いてシームレスに繋がっているが、オープンワールドというわけでもなく、終盤までの順路は決まっている。
ブーメラン手裏剣、ワイヤーフック、ポータルガンといった道具が次々と登場し、バリエーション豊かなパズルダンジョンが待ち受けているので、飽きさせない作り。
パズルは手応えがないほど簡単すぎるわけではなく、かといってイライラするほど難しいわけでもない、ちょうどいい塩梅。
先へ進むだけの謎解きだけではなく、ステータス強化のためのアイテム収集といった寄り道要素もある。
なかには、初見時ではどうやっても無理で、新しい道具を手に入れてからでないとゲットできないアイテムもある。
パズルダンジョン自体は楽しいが、ゲーム進行はほぼ「お使い」で構成されている。
ゲームが開始したらまずは敵を倒して500ソウル集めろと言われ、先に進みたければ4つの特殊バトルをクリアしろと言われ、塔に行きたきゃ4体の”選ばれし者”の心臓を集ろと言われる。
これはどうにかならなかったのだろうか。
プレイ時間の大半はお使いに費やされているので、そもそもの目的を忘れてしまう。
挙句の果てには、いざ最終決戦とテンションが上ったところで、各エリアに散らばった8個の”アルマゲドンの剣の破片”を集めろと言われる始末。
取りこぼしたアイテムを取るために自発的にエリアを再訪するのではなく、終盤に強制的にエリアを再訪させられるというのは個人的に好きではないし、なによりゲームのテンポを著しく損なっている。
終盤に複数のギミックを組み合わせた難しいダンジョンがなかったのも残念だった。
あと、ラストダンジョンは長すぎて飽きた(ほとんど同じ行程を3回も繰り返させられるし、1回がそこそこ長い)ので、全く違う3つのエリアに分けてほしかった。
アクション
今作のアクションは、ハック・アンド・スラッシュ系統のもの。
デフォ装備の大剣、後々ゲットできる鎌、ガントレットによるコンボと、ラス能力(魔法みたいなもの)を使った攻撃やバフ、ワンボタンで即発動する回避・ガード、ジャスガからのカウンター、手裏剣やワイヤーフックによる敵の足止めや引き寄せなど、基本的なものは揃っている。
要は『デビルメイクライ』と『ゴッド・オブ・ウォー』をがっちゃんこした感じの手触り。
レスポンスがよく、非常に軽快なアクションが楽しめる。
被ダメはけっこう大きいが、ガード、回避も即座に発動できるため、ガンガン攻めてかわしてカウンターして、敵をバッタバッタと斬り殺していける。
弱った敵を掴むと処刑ムーヴが繰り出せたりもする(『GOW』のようなQTEではなく、残虐性もあまりない)。
敵のバリエーションは非常に少なく、ウォーの攻撃の種類もそれほど多くない。
そのため、プレイフィールが良好な反面、複雑さやコンボの妙といった深みはない。
また、ヒットストップが非常に弱いので、斬撃感・爽快感は『GOW』や『DmC』のそれには及ばない、アッサリとしたものである。
ボス戦にも謎解き要素が盛り込まれている。
それぞれのエリアのボスは、そのエリアで散々使い方を学んできた道具を利用した戦い方を求められる。
例えば、爆弾をボスにひっつけて手裏剣を松明経由で投げて爆破する、ポータルガンを使って回避して弱点を攻撃する、などなど。
正解を導き出せなければダメージを与えらないが、正解が分かればあとはパターンをこなす作業のように感じられなくもない。
プレイヤースキルがあまり重視されなくてイイと感じる人もいれば、張り合いがないと感じる人もいるだろう。
個人的には、ギミックを駆使するという部分は面白いと感じたが、パターン化されすぎとも感じた。
複数のフェーズを用意して、周りの環境や攻撃パターン、ギミックが少しずつ変化するようになっていれば、もっと面白くなったと思う。
ギミックを駆使して戦うエリアボスとは反対に、ラスボスにはこれといったギミックがなく正面からの殴り合いになるのは少々残念だった。
『デビルメイクライ』よろしく、敵を倒してソウルと呼ばれる通貨を集め、それを対価に新しい技の習得やアップグレード、消費アイテムの購入が行える。
敵を倒す以外にも、エリアに落ちているアーティファクトを売却することでもソウルをゲットできる。
しかし、手に入るソウルと、アップグレード等に必要なソウルの量は全く釣り合っていない(難易度ハードだからなのかもしれないけど)。
上述した他ゲームでは、ストーリー終盤には殆どのアップグレードが購入済になっている。
今作ではひと通り技の購入は済ませたものの、アップグレードは4割程度までしか出来ず、各攻撃の真価は分からずじまいだった(消費アイテムの購入は一切行っていないにもかかわらずである)。
強くてニューゲームは搭載されてないので、全てのアップグレードを購入したい場合は稼ぎ作業が必要となるが、それを使う相手はラスボスしかいない。
ちなみに武器にもレベルが設定されていて、使えば使うほど強くなるようだがあまり実感はできなかったし、どの武器も最終レベルには到達しなかった。
ちょっとした問題点
リマスター版だけなのかはわからないが、装備メニュー・マップ画面を開く際に1秒程度の読み込みが発生する。
なにかすごい処理を行っているわけでもないのに、パッと開いてパッと閉じてというのが出来ないのはちょっとストレス。
ヴァルグリム(今作におけるショップ兼ファストトラベル役)もすぐには現れなかったりする。
日本語字幕の表示がおかしい。
文字と文字の間隔が一定でなかったり、かぎかっこが文字とかぶっていたり、一部のムービーで日本語字幕が表示されなかったり、台詞と字幕がずれていたりする。

各エリアには、アビスアーマーの破片というアイテムが散らばっていて、かけらをすべて集めるとアビスアーマーが完成する。
完成するとウォーの見た目が変わり、被ダメが大幅に減り、体力やラス(MP)の回復といった特殊効果が付与される。
しかしこのアビスアーマー、完成させてしまうと外すことができない。
被ダメ減少量が大きすぎるため、難易度ハードですら攻撃をちゃんと避ける必要がなくなり、ラスボス戦がかなり退屈になってしまう。
救済要素なのかもしれないが、着脱可能にするか、難易度ハードでクリアしたときのご褒美にしてほしかった。
まとめ

アクション、謎解き、アメコミ風素敵ビジュアルが合わさった楽しいゲームでした。
ゲームプレイに関する要素は有名タイトルから引っ張ってきたものの寄せ集めですが、それらをきちんとアレンジしてまとめ上げていて好印象。
戦闘も謎解きもなくただただ移動するだけという場面も多く、ちょっと間延びしている感があったのは否めませんが、まあ約10年も前のゲームなので致し方なし。
隠しダンジョンや隠しボスといったクリア後要素はなく、強くてニューゲームも搭載されてないので、リプレイ性は特にありませんでした。
『2』はオリジナル版をプレイしていたのですが、『1』は初プレイ。
個人的には、今作のパズルダンジョンに、ディアブロ的トレハン要素と『プリンス・オブ・ペルシャ』的な移動アクションを足して、アクション要素を強化したって感じの『2』のほうが楽しかったですが、タイトに手堅くまとまっているのは『1』だと思います。
- 終盤のストーリー
- マデュレイラ氏のアートデザイン
- 豊富なロケーション
- バリエーション豊かな謎解きと探索
- アクションの軽快さ
- 全体に漂うお使い感
- アクションの底の浅さ
- ソウル収支の釣り合わなさ
- 冗長なラストダンジョン
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