
『Desperados Ⅲ』をクリアしたので、レビューを書いていきたいと思います。
クリアと言ってもストーリーを一周しただけで、バロンチャレンジやらバッジやら実績やらのやりこみ要素にはまだほとんど手を付けていません。
国内PS4では配信されていないので、Xbox One版をプレイしました。
結論から書いてしまうと、超おすすめ!です。
本作のデベロッパーであるMimimi Gamesが手がけた『Shadow Tactics』が面白かったので楽しみにしていましたが、それを上回る傑作でした。
『Shadow Tactics』同様きちんとローカライズされてます(日本が舞台だった『Shadow Tactics』とは違って、日本語吹き替えはありません)。
ストーリーは1作目の前日譚らしく(ぼくはこのシリーズが初めてなので詳しくは分かりません)、過去作をやっていなくても問題なしでした。
キャラ、ストーリー、舞台などは異なるものの、システム面では『Shadow Tactics』のアップグレード版なので、あっちが気に入った人は間違いなく本作も楽しめるはずです(もともと『Shadow Tactics』が『Commandos』や『Desperados』シリーズにインスパイアされたものなので、当然といえば当然ですが)。
『Desperados Ⅲ』とは
本作は、見下ろし型のハードコアタクティカルステルスゲーム。
プレイヤーは、多くの敵がひしめき合う戦場を各キャラクターのアクションと地形を利用しながら、「町のどこかにいる4人の対象を排除する」「結婚式場から脱出する」「多くの人で賑わうパーティー会場から対象を拉致する」といった目標の達成を目指します。
配備されている敵の数は非常に多く、ひとたび見つかってしまうと圧倒的な火力によってねじ伏せられてしまうので、入念な観察と綿密な計画、大胆な実行力が求められます。
主人公は、ガンマンの「ジョン・クーパー」。
彼の過去との決着が本作のメインストーリーとなります。
旅をともにするのは、凄腕のスナイパー「ドクター・マッコイ」、罠師の大男「ヘクター・メンドーザ」、男を惑わす美女「ケイト・オハラ」、ブードゥーの魔女「イザベラ・モロー」の、個性豊かな4人のキャラクターたち。
2丁のリボルバーと投げナイフによる攻撃を特徴とするクーパー、正確無比な狙撃を特徴とするマッコイ、巨大トラバサミ”ビアンカ”と比類なき怪力を特徴とするヘクター、敵の目を欺く変装スキルを特徴とするケイト、敵を意のままに操る洗脳を特徴とするイザベラ、と各キャラにはそれぞれユニークなアクションが用意されています。
キャラの違いはアクションだけにとどまりません。
移動速度や移動可能な地形、敵を殺害する方法と速度、死体の運搬方法、使用する銃器の射程や発生する銃声の範囲といった、あらゆる部分に差異があります。
どのキャラのアクションをどう組み合わせるか、どのキャラで敵を排除するか、どのキャラをどこに配置するかなど、考えることは非常に多いです。
戦場となるステージは、西部劇らしい町から結婚式場、農場、沼地、鉱山などなど、驚くほどバリエーションに富んでいます。
一つ一つのステージが丁寧に作り込まれているため、ただ眺めているだけでも楽しい。
夜間のステージでは敵の視覚が狭まるが明かりのあるところは遠くでも見通せる、沼地や砂漠では歩いたところに足跡が残る、といったステージ固有のギミックも用意されており、キャラのアクションと組み合わせて戦略に活かすことができます。
各ステージには、落ちそうな岩や吊るされた足場などの見るからに危ないオブジェクトが配置されていることもあります。
こういったオブジェクトを利用し事故に見せかけて敵を殺害すると、死体を発見されても警報を鳴らされないという大きなメリットがあるので、どうにか活かしていきたいところ。
また、堂々と歩いて探索することが可能なエリアが設けられているステージもいくつかあります。
探索可能なエリアでは、敵の殺害に使えるヒントや、その後のストーリー展開の伏線を得ることができます。
敵の視覚はコーン状で表示されています(その名も文字通りビューコーン)。
ビューコーンは、塗りつぶされている部分と斜線の部分で構成されており、斜線の部分ではしゃがんでいる限りこちらの姿が視認されることはありません。
草むらに隠れる、高所に移動するといったアクションでも、敵の視線を欺くことができます。
また、ビュー・コーンに侵入してもすぐさまバレるわけではなく、わずかな猶予が与えられるため、思い切って走り抜けることも時には有効です(猶予は難易度によって異なり、最高難易度では即バレします)。
敵のビューコーンと動きのパターンをじっくりと観察し、どこかに死角はないか・どのタイミングなら敵を排除できるかを考える、というのが戦略を練る上での基本となります。
敵の配置は絶妙で、孤立した敵を順番に排除していけばいい、という生易しいものではありません。
敵A・Bは互いを見張っていて、それを敵Cが見張っていて、さらにそれを敵Dが見張っていて、一定間隔で敵Eが様子を見に来て…といった具合に、敵は互いが互いを見張るように配置されています。
そのため、考えなしに誰か1人を排除すると別の誰かに即座に気づかれ、またたく間に四方八方から敵が押し寄せてくることになります。
イザベラ以外のキャラには銃が用意されていますが、所持弾丸は限られており、リロードにはかなりの時間がかかります。
見つかることを前提に計画を練っていない限り、気づかれることはほぼゲームオーバーを意味すると思っておいてもいいでしょう。
1人ずつおびき寄せて確実に排除していくか、それともタイミングを見極め「対決モード」を使って皆殺しにするか、はたまた敵を排除せずひっそりと通り抜けるか。
正解は1つではなく多様なアプローチが可能であり、どのように攻略していくかがプレイヤーの腕の見せどころです。
「これは絶対無理だろ」と思えた敵の配置を、試行錯誤の末に突破できたときの快感は筆舌に尽くしがたく、まるで自分が天才軍師になったかのような気分を味わえます。
2人以上の敵を同時に排除しなければいけないという状況では、「対決モード」が役に立ちます。
対決モードを発動すると時間が停止し、複数キャラクターのアクションの”予約”が行えるようになります(難易度DESPERADOでは時間停止しません)。
これをうまく使えば、例えばクーパーの「偽コイン」で敵の視線をそらしたと同時にマッコイとヘクターで2人の敵を排除し、異変に気づいた最後の敵をクーパーの投げナイフで仕留める、といった華麗な連携プレーが可能になります。
しかし、これはあくまで”予約”にすぎません。
タイミングが僅かにずれてアクション直前に敵にバレてゲームオーバー、なんてことも頻繁に起こります。
本作ではタイミングの見極めが重要で、僅かなズレが致命的になり得ますが、いつでもクイックセーブ・クイックロードが可能なため、試行錯誤にストレスを感じることはありません。
反対に、チェックポイントやオートセーブといった機能は一切搭載されていません。
そのため頻繁にセーブする癖をつけておかないと、1つのミスで5分間の進捗が水の泡に、なんてこともあるので注意が必要です。
それを防ぐため、親切なことに画面上部にはデカデカと直前のセーブから何分経過したか、というリマインダーが表示されています(この表示はオプションで変更可能)。
よっぽどの熟練者でもない限り、初見では試行錯誤を繰り返して少しずつ進んでいく「死にゲー」に近いゲームプレイになるので、その手のゲームが好きではない人にはおすすめできません。
ステージクリア後には、簡略化されたマップ上に時間経過とプレイの動線が表示されます。
自分のプレイを振り返り愉悦に浸ると同時に、プレイ時には気づかなかった敵の動きのパターンに気付けることもあり、かなり気に入っています。
本作では、「イージー」「ノーマル」「ハード」「DESPERADO」の、4種類の難易度が用意されています。
それに加えて、「敵の数」「キャラの体力」「所持弾丸」「敵の察知速度」といった項目を、個別で調整することが可能。
ノーマルでもかなり警備が厳しいので、この手のゲームを初めてやるという人には、まずはイージーから挑戦することを強くおすすめします。
本作は1回クリアしたらそれで終わりのゲームではありません。
下記のようなやりこみ要素があり、リプレイ性は非常に高いです。
- 難度を上げて挑戦する
- 異なるアプローチに挑戦する
- 各ステージで特定の条件を満たし「バッジ」をゲットする
- ステージに紛れているMimimi Games開発者の名前が付いたキャラを殺害する
- ステージを隅々まで観察しないと分からない実績の数々を解除する
バッジの条件は「銃を使わない」「ミッション中にセーブしない」といったものから、「敵を皆殺しにする」「3人の対象を同時に殺害する」「〇〇分以内にクリアする」といったものまで様々。
条件の中には、一見して不可能に思えるもの、達成方法が皆目見当がつかないものもあり、チャレンジのし甲斐があります。
『Shadow Tactics』とは違って「難易度ハードでクリアする」というバッジ以外は難易度イージーでも獲得できるようになり、バッジコンプリートのハードルが下がったのはヘタレゲーマーにとってはありがたい(それでも、スピードランバッジの条件はめちゃくちゃ厳しいです)。
また、ストーリーを進めていくことで、バロンチャレンジという特殊なチャレンジが発生します。
バロンチャレンジは、それまでにクリアしたストーリーミッションの「スタート地点」「使用キャラ」「達成目標」といった項目に変更が加えられたもの。
加えて、「敵を直接攻撃するアクションの一切が使用不可」「見つからずに全ての敵を殺害する」といった、一筋縄ではいかない条件が課せられます。
ストーリーミッションでは使えた戦略が使えなかったり、逆にそれまでは気づかなかったテクニックを発見できたりと、ステージ自体は同じですが、新鮮な気持ちで楽しめます。
『Shadow Tactics』からの改善
使いやすくなった対決モード
『Shadow Tactics』の「Shadowモード」(本作の「対決モード」に相当)では、時間が止まらない、「はしごを登る」と「登った後の移動」をセットで設定できない、1人のアクションを設定するとShadowモードが終了する、などなど使い勝手が悪い部分がありました。
本作の「対決モード」では時間が停止するようになったほか、はしごを登った後の移動やキル後に死体を担いで隠すところまでをセットで設定できるようになった、対決モードを維持したまま複数キャラのアクションを続けて設定できるようになった、設定したアクションを個々に発動可能になった、といった様々な改善が施されており、使い勝手が非常に良くなりました。
ただし移動に関しては、依然として経路地点の設定や(常に最短距離を進んでしまう)、立ち上がって走った後にしゃがむといった設定はできないため、不便なときもあります。
複数キャラの同時操作
『Shadow Tactics』では、コントローラー操作では複数のキャラを同時に動かす事ができませんでした(マウス操作だと、ドラッグして複数キャラを選択・移動させることが可能でした)。
Shadowモードで複数キャラを動かすことはできたものの、Shadowモード時に時間が止まらなかったため、同じルートを通る場合でも一人ひとり順番に動かさざるを得ない場面がありました。
本作では、キャラ選択ホイールでまとめて選択して移動させることが可能になったため、プレイが快適になり、スピードランのバッジ獲得も多少やりやすくなりました。
早送り機能
敵が特定のポイントに到達してからアクションを行わないとバレる、というシチュエーションが多いゲームですが、そんなとき『Shadow Tactics』ではただただじっと待つしかありませんでした。
本作では早送り機能が搭載されたため、敵の動きをじっと待つという時間が減りました。
イマイチなポイント
文字が小さい
字幕等の文字サイズがかなり小さく、大きさを調整するオプションも用意されていません。
ロード時間が長い
ステージの読み込みにかかるロード時間はかなり長め。
可能であればSSDの使用をおすすめします。
地形の見た目と当たり判定
一見すると通り抜けられそうだけど無理だったり、オブジェクトにめり込むように移動できたりと、地形の見た目と当たり判定が噛み合っていない部分がちょこちょこ見られました。
ギリギリのタイミングで通り抜けようと思ったら、地形に引っかかってバレるということがあり、若干ストレスを感じるかもしれません。
おわり
- 丁寧なキャラ描写
- 多彩なステージ
- プレイヤーを悩ませる計算しつくされた敵の配置
- 多様なアプローチが可能なレベルデザイン
- 豊富なやりこみ要素
- 『Shadow Tactics』からの様々な改善
- 文字のサイズ
- ロード時間
- ところどころでつっかかる地形の当たり判定
プレイ時間は、難易度ハードで全16ミッションをクリアして約35時間でした。
最初にも書いたとおり、超おすすめの一作。
価格設定がやや高めでちょっと迷っている人は、まずは『Shadow Tactics』を遊んでみるのがいいかもしれません。
ではまた~。
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