『Elden Ring(エルデンリング)』ネットワークテストの感想を。

11月12日(金)から15日(月)にかけて実施されたネットワークテストに参加し、実際にプレイしてみて分かったこと・感じたことなどをお届けします。

フロムの死にゲーは『Demon’s Souls』から『SEKIRO』まで全てプレイしていて、『SEKIRO』は全アクションゲームの中でもトップクラスのお気に入り、他の作品に関してはフツーに好きだけど熱烈なファンというわけではない、という人が書いています。

ジャンルオープンワールドARPG
開発元フロム・ソフトウェア
発売元フロム・ソフトウェア
総プレイ時間15時間
使用ハードXbox Series X
期待度★★★★★

オープンワールドに関する諸々

ワクワクが待っているフィールド

今回のテストでは、「リムグレイブ」というオープンワールド的なフィールドと、「ストームヴィル城」という従来型のダンジョン、この2箇所を主に訪れることが出来ました(そのほかに小規模なダンジョンがいくつか)。
全てのエリアはシームレスに繋がっており、復活時・ファストトラベル時以外には基本的にロードはありません。

「リムグレイブ」ではこれまでのソウルシリーズには無かった圧倒的開放感が味わえました。
遠くにあるはずなのに巨大すぎ・輝きすぎて存在感がハンパない黄金樹や、海の向こう側に見える孤島、切り立った崖の上に立つ城などなど、製品版はここから見えるところ全て行けるんだと思うとワクワクが止まりません。
景観・雰囲気は最高の一言に尽きます。

探索中には、不意にダンジョンに出くわしたり、どこからともなくドラゴンが飛来してきてバトルになったり、急にNPCの闇霊が侵入してきたり、宝箱がある地下室を見つけたり、大量のクラゲが浮遊している謎の墓地があったり、雷が局所的に落ちている場所があったりと、大小様々な何かしらの発見が。
ただ広いだけで退屈なオープンワールドではなさそうです。

広大で開放感がある「リムグレイブ」とはうって変わって、「ストームヴィル城」はソウルシリーズに似た構造っぽいダンジョン。
今回は城内に入って少ししか進めませんでしたが、地図および外から見る限りでは結構なボリュームがありそう。
ちなみに、進行ルートは正門と横穴の二方向がありました。
正門側はバリスタの猛攻を受けたりめっちゃ強いライオンがいたりでヤバかったので、まずは横穴から進んだあとに裏から回って攻略するルートっぽかったです。

トレイラーを見た限りでは、今回プレイできたエリアは全体の10分の1にも満たない程度の広さしかなく、この中に発見できたものだけでもNPCが6人、オプショナルダンジョンが5つ、ボスが10体(チュートリアルのクソ雑魚ボスも入れれば11体)、ボスではないユニークエネミーが4体ほども詰め込まれていたのは驚きでした。
雑魚敵もかなり種類が多く、ネットワークテストでこんなに見せても大丈夫なの?と心配になるぐらい。

また、オープンワールドでは一般的な、時間・天候のリアルタイム変化というシステムも盛り込まれていました。
これによってゲームプレイにもたらされる影響に関してはあまり分かりませんでしたが(夜は少し見つかりにくくなる?)、祝福にてわざわざ朝・昼・夜に時間を変更する項目が用意されていることから、出現するNPCや敵が変化するのだと思います(現に夜間には、黒い馬に乗った強い騎兵を発見できました)。

点在するダンジョン

オープンワールドに点在する小規模なダンジョンは、今回のエリア内に少なくとも5つありました。
ブラッドボーンの聖杯ダンジョンを、もっとシンプルにした感じというのがイメージ的には近いかも(1~2区画+ボス戦みたいな構造)。
メイン部分の進行を必要以上に停滞させないためにシンプルな構造にしているのか?それとも進むにつれてダンジョンも長くなっていくのか?今のところはっきりとしたことは分かりません。
開放感のある屋外エリアとはうって変わって、各ダンジョンでは嫌らしい敵の配置や罠、そして最奥にはボスが待ち受けていました。

各ダンジョンはオープンワールドゲームでよく見られるコピペの水増しコンテンツなどではなく、どれも固有のボス戦と報酬が用意されていて、広い世界を探索するモチベーションとして十分だと感じました。

便利だけど便利すぎない地図

多くのオープンワールドでは、ゲームを進めていくうちにいつしか地図上のマーカーからマーカーへ移動するプレイになってしまいがちですが、本作で地図上にマーカーが表示されるのは、自分で発見した祝福・ダンジョン・NPCだけ。
地図を見れば明らかに怪しい場所が分かったりはしますが、そこに何が待ち受けているのかは実際に行ってみるまでは分かりません。

メイン目標の方角を指し示す目印が表示されていたり、自分でピンを付けたり、方角を見失わないよう光の柱を立てたり、非戦闘時にはいつでも地図を開いてファストトラベルできたりと、探索が面倒にならない程度に便利なのも良かったです。

死に戻りのストレスを抑える親切なチェックポイント

プレイする前は、死にゲーとオープンワールドって相性悪そうだけど大丈夫かな…広大なフィールドで度重なる死を経験するうちに探索が億劫になっていかないかな…と不安でした。
が、それは杞憂だったと言えます。

本作にはチェックポイントが二種類あります。
まずは「祝福」。
これはダクソの篝火に相当するもので、体力回復や回復薬の補充、レベルアップ、ファストトラベルポイントの機能を持っています。

そして「マリカの楔」。
これは祝福とは違い、チェックポイントのみの機能。
「マリカの楔」は、敵が多くいるエリア、強敵がいるエリアには必ずと言っていいほどあり、一部のダンジョン内では中間地点のような形で配置されていることもありました。

楔が利用可能なエリア内で死亡したときには、祝福と楔どちらで復活するかを選べるようになっています。
これによりトライアル・アンド・エラーがかなり楽になっていて、「またここから移動し直しか…」と意気消沈することは一度もありませんでした。

不安に思っていること

不安、というか疑問に思っているのは、探索のしすぎでメインルートがヌルゲー化してしまうのではないか?という点です(また逆に、探索しないことでメインルートがクリア困難なものになってしまわないか)。

テスト版では、白い壁によって探索できる範囲が制限されていたので、あらかた探索し終わってからマルギット(メインルートのボス)に挑んでも歯応えのある戦闘が楽しめました。
しかし、製品版ではこの壁が無くなって探索範囲が拡大しているはず。
そうなると、探索のしすぎでメインルートにおける緊張感や歯ごたえが無くなってしまった、なんてことも起こり得ます。

自由に探索できる広大なフィールドとレベルによる制限という、オープンワールドRPGが抱える問題に、フロムがどのような解答を出したのか(または出していないのか)、期待と不安半々で製品版を待ちたいと思います。

戦闘アクションに関する諸々

アクションの感覚は『ダクソ3』が最も近いと思います。
右手/左手に装備した武器による攻撃に魔法、特徴的なモーションの数々、各種アクションでスタミナを消費するシステム、そしてFPを消費して繰り出す戦技といった部分は、ほとんどそのまま受け継がれています。
そこに、『ダクソ2』っぽい同種武器による二刀流(3の二刀武器ではない)、『SEKIRO』のジャンプとしゃがみ、新アクションの「ガードカウンター」、疾走感のある騎乗アクションといった要素が加わり、実に多彩なアクションが可能に。

ちなみに、これまでのどの作品よりもスタミナ管理が楽でした。
製品版もこのままのバランスなら、ステータスの中でスタミナの優先度が最も低くなりそう。

ステルス

しゃがみ状態はかなりステルス性が高く、バレないように一人一人バクスタで始末していくアサシンプレイも余裕でできます。
警戒ゲージのようなUIは用意されていませんでしたが、見つかっても即座にバレるのではなく、こちらを警戒して近寄ってくる→発見、と段階を踏んでいるのでリカバリーは楽。
『SEKIRO』とは異なりバクスタ=確殺ではないので、致命の威力が高い武器を一本持っておくと良いかも。

基本的にこちらの姿を視認されなければ大丈夫なようで、草むらに隠れた状態で魔法を使って敵を倒し、それを別の敵に見られてしまっても、警戒するだけでこちらの居場所まではバレませんでした。

敵の中にはラッパを持っている奴がいて、そいつに見つかってラッパを吹かれると、その一帯にいる敵がワラワラと集まってきます(逆に、そいつにさえ見つからなければ、バレたとしても敵全員が集まってくることはありません)。

敵には交戦範囲が設定されていて、プレイヤーがそこから出てしばらくすると元の位置に戻っていきます。
これをしゃがみ状態で追いかけてバクスタを決める、なんていう卑怯な戦法も有効でした。

ガードカウンター

敵の攻撃をガードした直後に反撃につなげられる新アクションの「ガードカウンター」はめちゃくちゃ便利。
ダメージカット率の高い盾を装備しておけば、大抵の雑魚をこれだけで倒していけるぐらい優秀。
しかし、敵のコンボが出きってから発動しないとダメージを受けてしまうので、万能というわけではない調整。

姿勢

「姿勢」は『SEKIRO』の体幹に少しだけ似ている新要素。
強攻撃やジャンプ攻撃を当てることで敵の姿勢を崩すことができ、そこから致命の一撃に繋げられます。
これまでの、パリィ成功時や敵の盾を弾いた時の致命チャンスに似ています。

姿勢崩しはボスにも有効。
もちろん雑魚とは違って簡単には怯みませんが、強攻撃、ガードカウンター、ジャンプ攻撃を織り交ぜていくことで、ボスによっては一戦で2回程度は姿勢崩しからの致命を食らわせることが可能でした。

武器によって崩しやすさが異なり、ダガーは全然ダメで、大剣や盾は崩しやすかったです。

遺灰

ともに戦ってくれる雑魚を召喚できる「遺灰」はかなり重要なアイテム。
石碑のようなアイコンが表示されているエリアでのみ使えることができ、FPを消費して召喚します(マルチでは使用不可)。
雑魚が多い場所やボス戦ではだいたい召喚することができ、ダメージソースもしくはタゲを引きつける囮として活躍してくれます。

遺灰は今回確認できたものだけでも5つあり、高コストでタフな雑魚を一体だけ呼び出すものや、低コストで弱っちい雑魚集団を呼び出すものなど。
雑魚敵全ての遺灰があるのだとすれば、膨大な数になりそう。
機動力に優れる「狼の群」と、耐久力が高く毒を吐いて嫌がらせをする「クラゲ」が囮としての性能が非常に高く、ボス戦においてかなり役に立つと感じました。

また、遺灰で召喚した雑魚にはHPが設定されていて、範囲回復魔法を使うと回復することができました。
雑魚に戦わせてこちらは回復に専念するヒーラープレイができるかも?

戦灰

「戦灰」は、FPを消費して行う特殊な攻撃「戦技」と、武器の属性派生がセットになったような新要素。
ボスや宝箱、フィールド上にいる特殊なスカラベから入手することができます。
武器に付けることで戦技を使えるようになるほか、戦灰の種類によって刺突や雷といった属性を武器に付与することができます。
これにより、物理が通りにくい敵がいるエリアでは戦灰を変えてみたり、自分のステ振りと補正がマッチする組み合わせにしたりと、武器と戦灰選びには自由度と戦略性がありました。
戦灰によっては付けられる武器種が限定されているものがあったり、戦灰の付け替えが出来ない武器も存在します。

ちなみに、素手にはデフォで戦技「キック」が設定されています。
従来通り、盾崩しにはこれが最適だったり。

霊馬の操作感

オープンワールドエリアでは、アイテムを使って馬を呼びだして乗ることができます。
BotWやRDR2のような重みのある操作感ではなく、どちらかというと無双やアサクリに近い軽やかな操作感。
自由自在に動かすことができ、移動面でのストレスはほぼゼロ。
霊馬では2段ジャンプが可能なので、徒歩状態では到達できないところもピョンピョンと登っていけます。
霊気流という上昇気流的なものが生じている場所では、とんでもない大跳躍で一気に上まで移動できて爽快でした。

騎乗状態でも攻撃が可能で、弓を射ることもできれば、魔法を使うこともできます。
近接武器による騎乗攻撃はちょっと癖があって慣れが必要でしたが、今までにはなかった疾走感を味わえました。
騎乗した敵との戦闘はまるで中世の騎馬戦のよう(ランスを装備すれば、さらにそれっぽくなります)。
プレイヤーと霊馬は当たり判定が個別に設定されていて、避けたと思っても馬にあたっていて落馬したり、プレイヤーだけがダメージを受けたりすることがありました。

歩兵をバッタバッタと一方的になぎ倒していけたり、敵の集団をスルーして一気に駆け抜けたり、巨大な敵の懐に入り込んだり、壁を飛び越えて地下室の入口を発見したりととにかく便利で、霊馬が使える場所では騎乗していることが前提になっている印象を受けました。

戦闘における自由度の高さ

オープンワールド化に伴って、探索の面白さが追加されただけでなはなく、戦闘における自由度もかなり高くなりました。
上述した様々な要素を駆使することで、真正面から戦いに挑んでもよし、騎乗して突っ込んでもよし、隠密プレイで排除するもよし、遺灰召喚で乱戦に持ち込んでもよし、なんなら戦わなくてもよしと、いろんなアプローチが可能に。

また、状態異常で新たに使えるようになった「睡眠」も非常に強力。
睡眠効果のある矢・壷を使って敵を眠らせることができ、戦闘を回避したり致命の一撃をノーリスクで食らわせることができます。
とあるダンジョンのボス戦では、周りの雑魚ともども全員を眠らせた後、一体ずつ始末して回るという卑劣極まりない戦法が有効だったのは驚きでした。

フィールド上で収集した素材を使って、アイテムを作製するというシステムも追加されています。
作れるアイテムは、火炎壷や睡眠壷、馬用の回復薬、投げて使うダガーなどなど。
これらを活用することで、有利に立ち回れるようにもなります。
壷系のアイテムを作るには容器用アイテムが必要なのですが、容器は再利用できるようになっていました。

本作では敵の戦闘可能範囲がある程度決まっていて、プレイヤーがその範囲を出ると敵は元のポジションに戻っていきますが、HPは回復しません(もちろん、祝福で休むとリセットされます)。
回復薬は祝福で休まなくても、フィールド上にいる雑魚の群れを倒すか、赤いスカラベを倒しても補充されるシステムになっています。
そのため、エリアが制限されるボス戦以外では、戦闘時に回復薬が無くなったらいったん離脱して、狩りやすい雑魚で補充してから戻って戦う、ということもできるようになっています。
自由度という意味では、こういった攻略方法もあるのは良い点でしょう。

難易度に関して

上述したように本作では様々な戦い方が可能で、各々のプレイスタイルや与えられた選択肢をどう活用するかによって、難易度が大きく変動すると感じました。
距離をとって戦える魔法や戦技の重要性が非常に高く、インファイト縛りの完全脳筋戦士は上級者向け。
レベルアップによる強化だけではなく、プレイヤースキルを補える要素や戦い方がたくさん用意されていて、フロムの死にゲーの中では最も間口の広い作品に仕上がっている予感がしました。

オープンワールド化によって選択肢が増えたというのも大きなポイント。
これまでだと、途中で詰まったら何度も挑戦して上達するか引き返してレベル上げをするしかなく、これが主に”心が折れる”原因だったと思いますが、今回は詰まっても別のところに探索に行って気分転換できたり、それと並行してレベルが上げ・強化が行えたりするので、気持ち的な面でめちゃくちゃ楽になってるというのは結構大きいと思います。

マルチプレイに関して

自分の攻略に手一杯すぎて、”ネットワーク”テストだというのにオンライン要素は十分にプレイできませんでした。

今回も協力者の召喚と敵対者からの侵入がありますが、侵入が発生するのは協力者を召喚したとき、もしくは侵入オッケーにするアイテムを使った時に限られるようになりました。
個人的に、ソロでやっているときに侵入されるのがウザかったので、これはありがたい仕様変更。

ダンジョンおよびボス部屋前にはサイン溜まり(協力/敵対のサインが大集合する場所)があり、ゲスト側はサイン溜まりにサインを送るアイテムがあるので、協力・敵対プレイがしやすいようになってました。

フィールド上のいろんなところにもサイン溜まりがあるので、ボス戦だけじゃなくて探索もできます。が、フレンドと一緒にプレイするとき以外は探索は避けた方がいいような気がしました。
協力プレイ時は霊馬が使えず、祝福にアクセスできずファストトラベルも使えないので、広いエリアをひたすら徒歩で移動するしかなくなります。
意思疎通もジェスチャーでしかできませんしね。

侵入プレイはマッチングにかなり時間がかかるうえ、接続エラーが多くてほとんどプレイできず。
侵入できる→協力者を召喚してる→ほとんどの人がすぐボスに挑んでしまう、というのがマッチングに時間がかかる原因なのかな。
バクスタやガードカウンターは雑魚戦と違ってかなり決まりにくく感じました。

おわり

実は、ゲームプレイトレイラーを見ただけでは正直「うーん、どうかな…」という微妙なテンションだったのですが(なぜかは分かりませんが、フロムゲーはいつもトレイラーを見ただけでは盛り上がりません)、実際にプレイしてみるとやっぱり面白かったですし、”オープンワールド化したダークソウル”という言葉ではとても収まりきらないような可能性を感じました。

2月25日の製品版発売を首を長くして待つことにします。

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