『スリー・ビルボード』 いい意味で予想を裏切ってくる観たことないタイプの面白さ

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原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri

監督・脚本:マーティン・マクドナー

出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、ほか

上映時間:1時間55分

公開年:2018年

僕が映画を観るときに期待するのは、

◯予告編を観てこうなるんじゃないかな、という自分の想像とは違う、思いもよらない方向に話が転がっていって、監督の手のひらで踊らされている感覚。

◯ちょっと笑えたり泣けたり怒ったり、心に波風が立つような感覚。

この2つの感覚が味わえるかどうか。

そして『スリー・ビルボード』はまさにこの2つの感覚が味わえる傑作でした。

下手に内容に触れると面白さが半減してしまうタイプの映画だと思うので、気になっている方は下を読まずに、ぜひ観に行ってみてください。

あらすじ

ミズーリの田舎町エビング。

7ヶ月前に娘を何者かに無残にもレイプされ殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人が未だに捕まっていないのは警察の怠慢だと怒りを抱えていた。

彼女は町外れの道路に並び立つ3枚の広告看板に、警察署署長を名指しで批判する文言を載せる。

名指しでデカデカと批判される警察署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)。

署長を侮辱するような看板を出したミルドレッドに対して怒るディクソン(サム・ロックウェル)。

事件の解決を訴えるはずが、いつの間にか看板を巡ってミルドレッドと警察、市民がそれぞれの思いをぶつけ合うことに。

広告看板から端を発した騒動は、やがて思いもよらぬ方向へと進んでいく…というお話。

 

感想

マーティン・マクドナー監督の前作『セブン・サイコパス』もそうでしたが、予想のつかない展開と会話劇が凄く面白かったです。

爆笑とまではいかないんだけど、思わずクスッと笑っちゃうところが多い。

だけど軽くなりすぎず、暴力的で不穏な少し重い雰囲気が漂う、絶妙なバランス。

観る前は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『プリズナーズ』的な、怒りを撒き散らし暴走する母親が何だかんだありながら犯人と対峙する、という話だと思っていたら、まさかまさかの展開。

すげー面白いなーと思ってたらいつの間にか終わってました。

 

一方からの情報で、この人はこういう人なんだろうな、という先入観を持って観ていると、もう一方からの視点では全く別の姿が見えてくる。

こっちからでは分からなかったことが、あっちから見ると分かってくる。まるで看板の表と裏のように。

 

レイプ殺人という純然たる悪はそこにあります。

しかしだいたいの物事には多面性があり、白か黒かの二元論で語れるわけではありません。

人間、誰しもが良いところと悪いところを持っています。

偏見、先入観、怒りや憎しみで目を曇らせていては、大事なことを見落としてしまうかもしれない。

それは自分にとっても周りにとってもマイナスにしかならないんじゃないか。

そんな当たり前だけど忘れがちなことを描いた映画でした。

この当たり前を映画としてしっかり描いている作品は多くないと思います。

 

行き場のない怒りや悲しみを負ったとしたら、それとどうやって折り合いを付けていくのか。

寛大な心を持った人間、憎い相手にもオレンジジュースを飲ませてあげられる人間になりたいと思いました。

わかりやすくスカッとオチのつく娯楽作、という感じでは無いので、人を選ぶかもしれません。

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