『オルタード・カーボン』シーズン1 ハードボイルド・サイバーパンクの傑作ドラマ

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原題:Altered Carbon
原作:リチャード・モーガン
出演:ジョエル・キナマン、マーサ・ヒガレタ、ジェームズ・ピュアフォイ、ほか
シーズン1:全10話
放映時間:46分~1時間6分

フィリップ・K・ディック賞を受賞したリチャード・モーガン原作の傑作フューチャー・ノワール小説、『オルタード・カーボン』を映像化したNetflixオリジナルのドラマシリーズ。

今回映像化された『オルタード・カーボン』の他に、『ブロークン・エンジェル』、『ウォークン・フュリアーズ』の計3作がタケシ・コヴァッチ・シリーズとして知られています。

原作がかなり面白く、予告編もかなりワクワクするものだったので期待していたのですが、その期待を超えてくる傑作でした。
面白すぎたので一気に見終わってしまいました。Netflix恐るべし。

世界観の再現度は文句なしだと思いますし、見応え十分なアクションシーンと、原作とは少し違うストーリー展開が用意されているので、原作を読んだ方には間違いなくオススメできます。

ただ、作中で用語や設定を詳しく説明してくれるタイプの作品ではないので、原作を読んでいない方、SFになじみのない方は置いてきぼりをくらう可能性があります。
以下に基本用語の説明を載せておきますので参考に。(解釈が間違っている可能性もありますがご了承ください)

基本用語

DHF

人間の心をデータ化したもの。
データなので、コピーしたりバックアップをとったりすることが可能。

スタック

DHFが格納されている装置。
スリーヴの首に埋め込まれている。
スリーヴの機能が停止してもスタックが無事なら、別のスリーヴを使って蘇生が可能。
しかしスタックを破壊され、DHFのバックアップもなければRD(リアル・デス)となり、蘇生は不可能となる。

スリーヴ

人間の体、器となるもの。
ニューラケムと呼ばれる超神経化学物質で戦闘能力を強化することも可能。
また人造スリーヴといって、使用者が自在に姿形を変えられるものも存在する。

エンヴォイ

原作とは違い、ドラマ版では保護国に対して反乱を起こす、特殊技能を備えた武装集団。
スリーヴィングに即座に適応できる、観察力・情報収集能力・戦闘技術に長ける、などの特殊技能を持っている。

CTAC

植民地における治安維持、鎮圧のために動く保護国指揮下にある特殊部隊?
原作におけるエンヴォイ・コーズに近い組織と思われる。

ニードルキャスト

データを光速よりも速く転送できる技術。または転送すること。
惑星間を移動する際に、人間を体ごと移動しようとすると数ヶ月~数十年もかかってしまう問題を解決した。
例えば惑星Aから何万光年と離れた惑星Bに移動するとき、AからDHFをニードルキャストし、Bでスリーヴィングすれば即座に移動が完了する。

新カトリック教徒

神から授かった生まれ持った肉体の死がその人の死であると信じ、スタックが無事であっても蘇生を禁じている。
そのためDHFの宗教コードが新カトリックだった場合、蘇生が出来ない。

ディッパー

DHFから情報や記憶を抜き取ることに長けたハッカーのこと。

メト

DHFのバックアップとスリーヴのクローンを有しほぼ不死身となった、富と権力を持つ特権階級の人たち。

二重スリーヴィング

1人の人物のDHFをコピーし、同時に複数のスリーヴに入れること。
違法行為である。

ONI

コンタクトレンズのようなデバイス。
視覚情報の強化や録画、外部との通信といった機能を持つ。

RD

リアル・デスの略。
DFHが収められたスタックが完全に破壊され、再起不能になった状態。この世界における本当の死。

あらすじ

人間の心をデータ化し、体と分離できるようになった世界。
かつてエンヴォイの一員として活動していた指名手配犯のタケシ・コヴァッチは、CTACの襲撃によって捕まり、保管刑に処される。
しかし、250年も経った2384年の地球で、新たなスリーヴに入れられ目を覚ます。
彼は、ローレンス・バンクロフトが事件の解決を依頼するために、この世に呼び戻されたのだった。
その事件とは、ローレンスの自宅で彼自身がRDした事件であった。
ローレンスは48時間ごとにDHFのバックアップを取っているが、死亡したのはバックアップをとる10分前だったため、現在の彼の記憶にはない空白の47時間50分が存在する。
凶器の銃にアクセスできたのは彼と妻だけ。
侵入者や争った痕跡が無かったため自殺として処理されたのだった。
しかし、DHFのバックアップを破壊しなければ何度でも蘇ることを自分は知っているため、自殺はあり得ないとローレンスは言う。これはバックアップをとっていることを知らない人物の仕業だと。
一度は依頼を断るコヴァッチだったが、立ち寄ったホテルで何者かに命を狙われる。
ホテルを経営するAI、ポーの協力もあり襲撃者を撃退したコヴァッチは、謎を解くため、そして自由を得るために依頼を受けることにしたのだった…

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感想

原作の、性と暴力が渦巻く世界観とハードボイルド感を見事に映像化してあり感激。
『ブレードランナー』的な下界の雑多な街並みや、下界とは全く趣の違うアエリウムのデザイン、ヴァーチャル世界の演出、などなど世界観の構築は本当に見事としか言いようがないです。
ここまでクオリティの高いサイバーパンクをドラマで観られるとは、すごい時代になったものです。

個人的に好きなジョエル・キナマンを含めてキャスティングにもほぼ文句なし(ミリアムはもっと若くてグラマラスなスリーヴを想像してましたが)。
これまでどの出演作でもジョエル・キナマンのカッコよさってのが十分に生かされていない印象でしたが、本作でのカッコよさは半端ないです。
プロポーションの良さがダイナミックなアクションにおいて活かされていて超かっこいい。

ストーリー展開は原作を読んでいても先が読めないハラハラするもので、めちゃくちゃ面白かったです。
ローレンスの事件とは一見関係が無さそうなことやコヴァッチの過去など、細かい要素が終盤で生きてくる脚本が見事でした。
原作にはないオリジナルの展開や要素が盛りだくさんで、原作を読んでいても新鮮な気持ちで楽しめた、というのは大きなポイント。
個人的に、オチだけちょっと変えているだけの実写化はあまり好きではないので、大まかな展開を崩さずオリジナル要素を入れ込み違う話のように見せる、という本作のやり方はよかったと思います。
オリジナルの要素や展開を入れすぎると原作の良さが消えてしまうことがあるし、かといって原作通りにやってしまうと既読の人はあまり楽しめません。
今作は実写化における1つの理想形のように感じました。

コヴァッチの過去をしっかりと描き、さらにある重要人物の設定を大幅に変えたことによって、コヴァッチの物語としての深みが増しています。
エンヴォイを反体制側の組織にしたのも、サイバーパンク感を強化するのに一役買っています。
また原作は全編コヴァッチ視点で描かれていましたが、ドラマではオルテガやポーといった他のキャラの物語も描かれています。
これも物語に深みが増す良いアレンジだったと思います。

すべてのエピソードにアクションシーンがあり、しかもそれぞれクオリティが高かった、というのもよかったです。

あと、局部にぼかしがかかってない、というのに驚きました(本国では無修正でも日本版になると修正されてしまうので)。
局部にぼかしがかかっていると、せっかくドラマの世界に入り込んでいたのに現実に引き戻される感じがして冷めてしまうのですが、今作は無修正。
いくら技術が発展しようと人間は人間のままである、むしろ原始的な欲求に歯止めがかからなくなっていく、というのが今作の大きなテーマの1つなので、そこを真っ向から描くためにぼかしを入れなかったのというのは英断だと思います。
おかげで冷めること無く楽しめました。
『ゲーム・オブ・スローンズ』とかも修正無しで配信してくれたらいいのに。

ほぼ文句なしの傑作ドラマだったので、小説の残り2作の実写化だけではなく、エンヴォイ壊滅後~CTACに捕まるまでのコヴァッチの過去やCTAC時代のコヴァッチの活躍など、ドラマオリジナルの展開も入れつつ、長くシリーズを続けていってほしいと思いました。

シーズン2では、MCUのファルコン役でお馴染み、アンソニー・マッキーがコヴァッチの新たなスリーヴ役としてキャスティング。楽しみ!

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