『クローバーフィールド・パラドックス』 謎のぶん投げとタイトルの出落ち感

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原題:The Cloverfield Paradox
製作:J・J・エイブラムス
出演:ググ・バサ=ロー、ダニエル・ブリュール、エリザベス・デビッキ、ほか
上映時間:1時間42分
公開年:2018年

Netflixで突如配信された『クローバーフィールド』の3作目。

第一作目『クローバーフィールド』は、エイリアンの襲撃で街が崩壊していく様をリアルっぽく描いたファウンド・フッテージもの。

前作『10クローバーフィールド・レーン』は、エイリアンがどうこうはほぼ関係なくて、ジョン・グッドマンがほんとにヤバイやつだった、という密室スリラーでした。
予告編で盛大にネタバレをしていたというか、予告編以上のことが何も起こらなかったので、残念ながらそんなに面白くは感じませんでした。

そして今作のサプライズ配信。
前回の反省を活かして、スーパーボウルで流れた予告は見ずに挑みました。

あらすじ

エネルギー資源の減少によって危機的な状況にある地球。
ハミルトン(ググ・バサ=ロー)は、このエネルギー問題を解決するために開発された、超大型粒子加速器を有する宇宙ステーション「シェパード」の実験に参加する。
6か月ほどで成功するはずだった実験は難航し、なんの成果も得られず2年近くの月日が経った。
クルーの中で不穏な空気が広まる中、挑んだ実験でついに発電に成功する。
しかし、シェパードに異変が起き、さっきまで目の前にあったはずの地球が姿を消し、外部との通信も途絶えてしまった。
シェパードの異変を調べるクルー達だったが、突如壁の中から悲鳴のようなものが聞こえてくる。
壁を開けるとそこには、配線に体を貫かれ悲鳴を上げる謎の女性(エリザベス・デビッキ)がいた。
それを境に、クルー達を次々と怪奇現象が襲う…

感想

オープニング・クレジットを含めた序盤の10分ぐらいで、すでに予定していた6ヶ月を超過し2年近くが経ってしまう。
ここのテンポ感はすごくいいのですが、事態が急変するまでに各キャラの紹介・掘り下げを全くと言っていいほどやっていないのがちょっと残念。
シュミットとヴォルコフの仲が悪い、キールが一応リーダー、シュミットとタムが夫婦、モンクは敬虔な人、肝心の主人公ハミルトンはいつも困ったような顔をしている人妻、ぐらいのキャラ付けしかされていないので、前半は正直いってさっぱり面白くないです。

粒子加速器の衝突実験が成功したら無限のエネルギーが得られるようだが、異次元の扉を開く危険性もある、みたいなことをドナル・ローグがニュースで言っている。
まずここで、今作は『クローバーフィールド』の前日譚ぽいな、と思います。
そして実験成功の直後に地球が消えるので、主人公達はシェパードごと異次元(並行世界)に行ってしまったことも分かります。
しかし、主人公達がここは並行世界なのでは?と気付くのがかなり後。
ここは観客と主人公達が気付くのタイミングを一緒にしたほうがよかったと思います。

壁の中からジェンセンが発掘されますが、どういう状態なのかをきっちり見せてくれません。
どうやら配線が体を貫通してるらしい、というのは分かるけど、痛々しい感じがよく伝わってきません。
あと、何故並行世界のクルーの中でジェンセンだけが壁に埋まっていたのか、という謎はぶん投げられて回収されません。

ヴォルコフの目がヤバくなったり大量のミミズを吐いて死んだり、マンディの腕が取れたり、その腕がジャイロのありかを教えてくれたり、腹の中からジャイロが出てきたり、いろいろ起こります。
この中盤部分はへんてこな事態が起こってかなり面白い(というか本作のピーク)のですが、なにか法則や規則性があるわけでもなく、謎が出てきてはぶん投げられるだけ。
あの意思を持ったマンディの腕は結局なんだったのか。
この手のホラーで大事なのは、こうすれば助かるのでは?というかすかな希望を与えておいて、それをぶっ潰すところだと思っているのですが、今作は何でもありで初見殺しの無理ゲーなので、ちょっとどうでもいい感が強すぎました。

後半は怪奇現象が起こらず、人間同士の争いになってしまい、面白さが減退してしまいました。

シュミットが言う「我々の理解を越えている」の台詞が、「だから観ているあなたも考えるのは止めましょう」と言っているように感じられたのも残念なところ。

主人公の夫マイケルが地球で奔走するシーンが差し込まれていて、ハミルトンの過去と合わさって、マイケルは利他的行動を取れるすごい良い奴だということがわかります。
一番キャラ描写がしっかりしているのが、登場時間の一番少ないマイケル、というのが可笑しい。
おかげでラストの悲壮感が増していて、これはこれでよかったと思いましたが。

おわり

見た目がきっちり作り込まれている感じで、キャストもよかったのですが、全体的に謎をぶん投げすぎで、何でもあり感、どうでもいい感が強すぎました。
あとどうせならもっとぶっとんだ死に方を観たかったです。
なんだかんだ書いてきましたが、僕は『クローバーフィールド』シリーズの中では本作が一番面白かったです。

…とまあ『クローバーフィールド』のファンでも何でもない僕の感想はこんな感じになりましたが、ファンの人が作った3作の繋がりをまとめた動画によると、

  • 全作品に共通して、タグルアト社(日本の企業みたいです)の名前が確認できる。
  • 1の舞台は2008だが、本作の舞台は2028年。なので僕が前日譚だと思っていた本作は前日譚ではなく、この世界でエイリアンが来た理由を示しているに過ぎない。たしかに前日譚だとするとテクノロジーが進みすぎていておかしい。
  • エイリアンの大きさが1と本作ではぜんぜん違う。
  • 『レーン』の途中で出てくる顔のただれた女性と、本作のニュースキャスターの女性は同じ女優(スザンヌ・クライヤー)。
  • 『レーン』のジョン・グッドマンのキャラと、本作のドナル・ローグのキャラはラストネームが同じ。2人ともエイリアンによる襲撃を予見していた。
  • J.J.エイブラムスは『レーン』を「血の繋がった映画」と表現している。

以上のことから、この3作はそれぞれが違う並行世界の出来事を描いたものっぽいです(他にもバッド・ロボット絡みのイースターエッグが散りばめられています)。

また、オリジナルに加えて2作も作られたのでこのシリーズの特徴がわかってきました。
それ単体だとちょっと引きがなかったり、他の同ジャンル映画に埋もれてしまいそうなものに、『クローバーフィールド』というタイトルと関連するシーンやオチを付け足して、観客の興味を引いている感じ。
なんですが、どうもこの『クローバーフィールド』というタイトル自体が最大のネックになっている気が。
タイトルに『クローバーフィールド』とついているとどうしても、エイリアンが出てくるんだろう、この話はそれまでのネタ振りだ、という斜に構えた姿勢で観てしまいます。
話の流れがある程度は読めてしまう、というのもあるでしょう。
かといって『クローバーフィールド』と付けていないと話題にならないし、急にエイリアンが出てきた!意味わからんクソオチ!となってしまう。
ストレートに巨大エイリアンと戦う話にしてしまうと面白みがない。
そもそもがシリーズ化に向かないのではと思うのですが、どうやら4作目も企画されてるらしいです。
僕はシリーズものは何だかんだ観てしまうので4作目ももちろん観ますがね。

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