『ボディガード―守るべきもの―』シーズン1 面白かったのに最終話で台無し

Bodyguard (2018)

原題:Bodyguard
原作・制作:ジェド・マーキュリオ(『ライン・オブ・デューティ』など)
出演:リチャード・マッデン、キーリー・ホーズ、ジーナ・マッキー、ほか
配信日:2018年10月24日
シーズン1:全6話

元々はBBCのドラマですが、Netflixが全世界での配信権を買い取った作品。
第1話の視聴者数がBBCのドラマ部門では過去最高(1040万人)を記録するぐらい大ヒットした。

謎が謎を呼ぶ展開と緊迫感溢れる映像で楽しく観ていたのですが、最終話で台無しになってしまった非常にもったいないドラマでした。

以下、ネタバレが含まれるのでご注意を。

あらすじ

ロンドン警視庁要人警護部に所属するデイビッド・バッド。
非番の時に乗った電車でたまたまテロ攻撃を阻止する。
その功績を買われたデイビッドは、内務大臣ジュリア・モンタギューの警護担当に昇格する。
彼女の過激な政治思想に反感を抱きつつも、ジュリアを狙った狙撃事件を経て親密になっていく2人。
しかし、大学での演説中に爆破テロが起き、ジュリアは亡くなってしまう。
一連のテロは全て関連しているのか?裏で糸を引いているのは誰なのか?
真実を暴くためデイビッドは奔走するが…

主要キャラ紹介

デイビッド・バッド(リチャード・マッデン)

要人警護部に所属している警官。妻と2人の子供がいる。
過去の従軍でPTSDを患っているが妻以外にはそれを隠しており、頑なにカウンセリングを受けようとしない。
そのせいで夫婦仲は崩壊している。
冒頭20分でヒーロー的な一面を見せるが、それ以降は信用のおけない人物っぽく描かれている。
が、それはただのミスリードだった。
クラドックには精神の脆さを見透かされていたため、スケープゴートとして選ばれた。

リチャード・マッデンは『ゲーム・オブ・スローンズ』でロブ・スタークをやっていた人。

ジュリア・モンタギュー(キーリー・ホーズ)

内務大臣でデイビッドの警護対象。
テロ対策を強化するために、国民総監視法案であるRIPA18を通そうとしている。
海外派兵を推し進めた人物でもあり、デイビッドがPTSDに苦しむ原因となった人物と言ってもいい。
ズバズバものを言う性格のためか、各方面から嫌われている。
第一印象は最悪だが、心根はいい人のように思える。
しかし警護担当者を籠絡することに長けているらしいので、いい人を演じていた可能性は否定できない。
ただ、警護担当者を籠絡することに長けている、という情報も本当かどうか怪しい。
大学での演説中に起きた爆破テロによって死亡した。

アン・サンプソン(ギーナ・マッキー)

警視正。
保安部とべったりなジュリアに反感を覚えているし怪しいが、単に怪しいだけの人物。
部下の裏切りには全く気づかないし、無実であるバッドを見殺ししそうになるし、なかなかの無能。

マイク・トラヴィス(ヴィンセント・フランクリン)

ジュリアの腹心と思いきや、彼女の元夫ロジャーと手を組み、彼女を陥れ地位を奪おうと考えていた人物。
なんだかんだで内務大臣のポストにおさまっているため、本作における勝者とも言える。

ロレイン・クラドック(ピッパ・ヘイウッド)

デイビッドの上司。
犯罪組織と内通し、ジュリアの行動予定など警察の内部情報を漏らしていた人物。
デイビッドの精神の脆さを見抜き、一連のテロ事件の犯人に仕立て上げようとしていた。

リチャード・ロングクロス(マイケル・シェファー)

ジュリアに首相のスキャンダル情報の入ったタブレットを渡した怪しい人物。
保安部に所属しており、タブレットを回収しようと躍起になる。
ナディアの夫に爆弾を渡した人物、というのはナディアの嘘だった。

ルーク・エイキンズ(マット・ストーク)

急に出てきた犯罪組織のトップ。
実は第一話の時点で、シャネル(第一話でクビになったジュリアの助手)のドライバーとしてちらっと登場している。
犯罪組織のトップとして当局にマークされていたにもかかわらず、公然と出歩いているのは謎。
ジュリアが犯罪組織の脅威となる保安部の権限強化を計画していることを知り、彼女を排除するためにナディアと手を組んだ。

ナディア(アンジー・モハインドラ)

第一話の冒頭で自爆テロをさせられそうになり、デイビッドに救われた人。
実は一連のテロの裏で糸を引いていたマスターマインドであり、爆弾の製造者でもあった。
最終話でこの人が豹変するシーン自体はすごくよかったのだが…

感想

第1話は、主人公が非番のときにたまたま乗り合わせた列車で自爆テロを阻止する、という展開で幕を開けます。
この冒頭の20分はめちゃくちゃハラハラする素晴らしいつかみ。
最近僕が観ているドラマってほとんどが3話ぐらいまで観てようやく面白くなってくるようなものが多いのですが、本作はつかみがバッチリすぎる。
冒頭20分だけではなくて、第二話の銃撃などテロに関わるシーンはどれも真に迫る緊張感あふれるものでした。

登場人物はほとんど全員怪しいし、謎が謎を呼ぶ展開で先が読めないので、最終話直前まではかなり楽しめました。
しかし!最終話で明らかになる真相が、これまでの話と齟齬を来しているというか、どうも理屈がおかしくね?と思うようなことばかりなのでしょんぼりしてしまいました。

問題点その1:アイテムが都合良く見つからないor見つかる問題

警察はデイビッドの自宅を家宅捜索するのですが、隠していた拳銃を見つけることができませんでした(天井裏という誰でも思いつくような場所に隠されていたんですが)。
しかし、エイキンズらはどうやってか見つけることができました。
そもそもなんで拳銃を隠していたということをエイキンズが知っていたのかは謎です。
また、保安部の連中はタブレットを見つけることができませんでした。
しかしデイビッドは写真立てに隠されていることを簡単に見抜いて、タブレットを回収しました。

問題点その2:なぜわざわざ空砲にした問題

エイキンズの手下がデイビッドの自殺用の拳銃の弾を空砲にすり替えていたことが判明。
デイビッドをハメて犯人に仕立てあげるために、生かしておきたかったかららしい。
しかし、自殺させてから一連のテロはPTSDで狂った警官の凶行だったとしてでっち上げたほうが、簡単だし確実だったと思うのですが。

問題点その3:誰もデイビッドを信じない問題

デイビッドが自爆ベストを着ているのを見て、誰もデイビッドの無実を信じようとしません。
血だらけになっているのにもかかわらずです。
血だらけで自爆ベストを着ている人がいたら、無理やり着せられたんじゃね?と思うのが普通な気がします。

問題点その4:ナディアが黒幕って無理あるよね問題

一連の事件はすべてナディアが裏で糸を引いていたということを、なぜか自ら自白してしまう。
ここは素直に「ほえーっ」と驚いたのだけど、冷静に考えるとおかしい。
かなり頭が切れ、なおかつ爆弾の製造をしていたのなら、冒頭で自爆テロをさせられそうになっていたのはなんだったのか?
こんなに優秀な人材を失うのは組織としてデメリットしかないのでおかしいでしょう。
また、彼女につながる証拠はないし、これまでは疑われてすらいなかったのだから、あのまま無実な被害者を演じていれば警察は起訴出来なかったのでは?(クラドックにしても、確たる証拠はないだろうから自白する意味がわからない)
そういえば爆弾からナディアのDNAが検出されたとかいうのがあった気がするけど、どうやったらDNAが検出されるのかもよく分かりません。
精密な機械に、皮膚や髪の毛、体液が付着しているとは考えにくいんだけど…

問題点その5:大学の爆破テロは偶然じゃね問題

ジュリアが死亡した大学での爆破テロ。
このテロに用いられた爆弾は、圧力センサーで作動するような仕掛けになっていました。
ジュリア1人では起爆せず、ロブの指示によりタヒールが舞台裏に行ったから爆発が起きた、ということでした。
ロブもタヒールも、犯罪組織やテロ組織の一員ではなかったので、この爆破テロは単なる偶然で成功してしまった、ということになります。
内務大臣の殺害という重大な計画がどうにも雑すぎませんかね。
ジュリアの側近の誰かがテロ組織と通じているのか?というミスリードを作りたかったがために、変なことになってしまいました。
圧力センサーはダミーで、会場内にいた誰かが起爆したという説明を付け加えるだけでよかったのに。

問題点その6:RIPA18はどうなった問題

国民総監視法案として争点となっていたRIPA18が、ジュリアの死後さらっと流されている(内相になったマイクが先送りにした)のもモヤモヤします。
素人考えとしては、テロ対策法案を推し進めている人を狙ったテロが立て続けに起こったら、この法案はテロ対策にかなり有効ということじゃん!賛成!という方向に世論が流れると思うので、ジュリアをテロで殺すというのは一番の悪手だと思うんですが…
なのでジュリアが殺されるまでは、「一連のテロはジュリアが法案を通すために仕掛けた体を張った自作自演」だと考えていました。

日本ではテロなんて遠い外国の話でしかないけど、英国を含む欧州ではISの思想に影響を受けた人達によるテロが多発しており(2017年には英国で立て続けにテロが起こった)、めちゃくちゃタイムリーでリアルな内容のドラマとして大ヒットしたというのはうなずけます。
しかし、最後の最後で梯子を外されたというか、腑に落ちなすぎて気持ち悪い!という感じでした。

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