どうしてこうなった…『ゲーム・オブ・スローンズ 最終章』を観た感想

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2013年から始まった史上最強のドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』が、遂に終りを迎えました。
僕はこのシリーズを何度も見返すぐらい好きで、この最終章をまだかまだかと心待ちにしていました。
そんなわけで、ここではゲーム・オブ・スローンズの最終章を観た感想を書き綴っていきます。

※ネタバレ全開なので、まだ観てない人は注意!
※このシーズンが好きだという人は不快になるかもしれないので注意!

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台無しのキャラクターアーク

『ゲーム・オブ・スローンズ』の魅力はなんといっても、それぞれ異なる思惑を持った大勢のキャラが織り成す複雑で重層的な物語。
しかし最終章では、キャラは単にプロットに沿って動くだけの駒となり、これまでのシーズンで積み上げてきたキャラクターアークが台無しに。
プロットに必要なキャラはどれだけ危険な状況にあっても絶対に死なないし、プロットのためならキャラの行動の一貫性など度外視。

一応納得のいく結末を迎えたのは、シオンとジョラーとサンサとブライエニーぐらいかな(「シオン、ユアグッマーン。サンキュー」のシーンはけっこう好き)。
あとはヒドいもんですよ。
以下それぞれのキャラに対しての感想です。

ジョン

ジョンはダニーと会ってからというもの、何の役にも立たないドジ男に成り下がった。
台詞は「君は俺の女王だ」「玉座は望んでない」の二択しかない。
ゲームの村人かよ。

最終的にダニーを殺す、ってのは多くのファンが予想してただろうけど、持っていき方が下手すぎた。
というか脚本家はそこだけ考えて、過程とかはどうでもよかったんだろう。
レイガーとリアナの息子で玉座の正統後継者って設定も、ダニーの精神状態をちょっとだけ不安定にすること以外には特に意味がなかった。

最後にゴーストと再会したとこだけは良かった。

デナーリス

急に狂王ならぬ狂女王になった。
『シスの復讐』でアナキンが闇落ちした直後にヤングリングを殺しまくったのと同じぐらいの急降下。
ダニーの目的は、民が腐敗した権力の下で苦しむ世の中を変えることだったはずなのに。

前兆はあったから、と言う人が結構いるけど、僕は納得できない。
裏切り者や自分に従わない者を焼き殺すことと、無実の民を虐殺することにの間には、越えられないほど大きな隔たりがあると思う。
ジョラーとミッサンディとレイガルが死に、ヴァリスに裏切られ、北部の民から敬愛されず、ジョンがどっちつかずな態度をとっているからといって、王都陥落が確定した時点で罪のない何万もの民を焼き殺すだけの動機はなかった。

サーセイを殺すためにレッドキープを焼き払うが、逃げ惑う民達に紛れてサーセイが逃亡。
怒りに燃え我を忘れたダニーは、必死にサーセイを焼き殺そうとする。
気づくと王都は焼け野原になり、何万もの民の焼死体が転がっていた。
自分のしたことに愕然とするダニー。
父のように狂ってしまう前に自分を殺してほしいとジョンに懇願する。
という流れのほうがまだ納得できる。

それか、自分が王になりたいブランが能力を使ってダニーの精神を壊した、とかだったら面白かったかもね。

ティリオン

ティリオンはシーズン4までは一番好きなキャラだったけど、シーズン5あたりからずっといいところがない。
ウィットに富んでいて賢くて弁が立つ、っていうのが彼の魅力だったのに。

シーズン4まではサーセイのことを憎んですらいたのに、急にその憎しみがどっかにいってて、サーセイにまんまと騙された。
夜の王は死者を蘇らせるってのは周知の事実なのに、先祖代々が埋葬されている地下墓地を避難場所に選ぶという無能っぷり。
親友だったヴァリスを裏切り処刑させたのに、自分は捕虜のくせに国の行く末を決め、無能なのに王の手に選ばれるって、意味がわからないよ。
ダニーを裏切ったヴァリスは即刻処刑されたのに、面と向かって歯向かったティリオンは逮捕ってのも意味分からんし。

サーセイ

シリーズを通して、自分と子供の保身を第一に考え謀略を巡らす悪女として描かれてきた(大聖堂爆破はどう考えてもやりすぎだと思うけど)。
そんな彼女にふさわしい死を期待していたけど、心底ガッカリ。

あと、妊娠してるって設定には何の意味があったの?
ユーロンと寝た後ワイン飲んでたシーンは何だったの?
前シーズンでワインに手を付けなかったからティリオンに妊娠がバレるという経緯があったから、妊娠はやっぱり嘘だったんだと確信したんだけど。
結局何の意味もなかった。

ジェイミー

今シーズンでダニーの次に台無しになったキャラ。
ティリオンの次に好きなキャラ(シーズン5以降は一番に格上げ)だったのでこれも心底ガッカリ。
高慢ちきのクソ野郎かと思いきや、他を守るためなら自分の名誉を汚す行為も躊躇わないという、深みのあるキャラだったのに。
キングスガードの誓いを破り無実の民を救うために狂王を殺したはずだったけど、ティリオンとの最後の会話では「民の命なんてどうでもいい」と言う矛盾したキャラになってしまった。

ブライエニーの処女を奪ったかと思えば、サーセイの元に帰って抱き合って死ぬって。
これじゃシーズン1の頃のジェイミーとほぼ何も変わってないじゃないか。
サーセイの元を去ったのは、もうサーセイを盲目的に愛するだけの存在ではなくなったことの証明だったんじゃないの?
妊娠しているという嘘をついてまで自分を操ろうとしたサーセイを殺し、クイーンスレイヤーになるんだとばかり思ってた。
これまでの旅路での成長が全部無に帰した。お見事。
ブライエニーが可哀想。

アリア

超絶ステルススキルからの超絶跳躍で夜の王をぶっ殺した。
変幻自在になれる”顔のない男たち”の修行って何だったの?
あの修行ってステルススキルを身につけるものだったんだっけ?
一応青の目を殺すという”伏線”は張られてたけど、唐突すぎる。
せめてブラン、シオン、ジョンが夜の王の気をそらすとか足止めするとかして、アリアがトドメを刺すというのだったらまだ納得できた(そもそも、夜の王が他のホワイトウォーカー同様に、剣を刺したら殺せるというのは違和感があるけど)。
あと、何も恐れない最強の戦士として描かれてたのに、急にビビって逃げ惑う普通の女子になるのもどうかと思った。

王都に行ったけどハウンドに諭されただけで復讐やめちゃうし。
どんだけ周りが大変なことになっても死なないし。
第五話の最後で白馬に乗っていったけど、最終話ではその馬は跡形も無く消えてたし。
意味がわからない。

最後はウェスタロスの西に何があるのかを知るために旅立ったけど、ブランに聞いたら多分すぐに分かるよ。

ブラン

全てを見通す能力を手に入れたのに、有効活用されることはなかった。
ジョンの出自を知ったけど、その出自も物語として特に大きな意味があったわけなじゃいので、ブランの旅路自体に意味がなくなってしまった。
狂王がマッドになったのは、実はホードーのときと同じようにブランが過去をいじったからだったとか、夜の王を倒す唯一の手段が三つ目の鴉の能力だったとか、もうちょっと物語的な意味をもたせてほしかった。

夜の王との戦いでなにか特別な役割を果たすと思ってたけど、なんと夜の王をおびき寄せる囮役というだけ。
肩透かしにもほどがあるよ!
夜の王が来るまでは鴉に憑依して飛び回ってるだけで何の役にも立ってないし。

そもそもこの夜の王を待ち構える作戦にも問題があるよね。
夜の王本人が直々にやってくるとは限らないんだから。
ブランが能力を使ってホワイトウォーカーを見つけ、ジョンたちに伝える。
アンサリードたちで亡者軍を引き付けておいて、主要キャラたちはホワイトウォーカーを急襲して亡者の数を減らす。
そして夜の王が出てこざるを得ない状況を作る。
ぐらいはしないと。

何の役にも立ってないのに、王に選ばれちゃった。
シーズン1からの出来事は全て、ブランが王となるべく三つ目の鴉の能力で過去に戻って色々やってたから。というオチがついてたらよかったかもね。

ユーロン

最低のクソ野郎として輝いてたのに、しょぼい死に方でガッカリ。
スコーピオンを使ってレイガルをいとも簡単に殺したと思ったら、次のエピソードではドロゴンに手も足も出ないって。
なにそれ。

ブロン

金金言ってるけど、本当はジェイミーとティリオンとの友情を大切にしてる男だったはず。
なのに、2人を殺さない代わりにハイガーデンをもらって、ちゃっかり小評議会入りしている。
なにそれ。
「あんたを殺していいのは俺だけだ」とか言って、ユーロンに殺されかけてるジェイミーを助けたらかっこよかったのに。

夜の王

原作もドラマも亡者が出てくるところで物語が始まるから、夜の王はなにかものすごい重大な秘密を抱えているものだと思っていた。
ウェスタロスの歴史を根本から覆すような。

それが蓋を開けてみたら、ただのゾンビの親玉だった。
ブランを狙っているのは、三つ目の鴉が世界の記憶、生き字引だから、ってそれだけ???
森の子らに生み出されたとか、三つ目の鴉との不思議なつながりとか、事件現場に残していく変なシンボルとか、面白そうな設定はどこ行ったんだよ。
クラスターが取引してた件と、サムが亡者軍に囲まれても殺されなかった件も結局よく分からないままだし。
はあ。

エピローグのやっつけ感

「鉄の玉座の崩壊=権力が一極集中する体制の崩壊」じゃないの?
なんでそこからまた一人の王を選ぶって話になるの?
しかもよりによってブラン。
はあ?
ティリオンは「ブランよりも優れた物語を持つ者はいない」とか言ってたけど意味がわからない。
列席者のほとんどはブランと面識がないし、ブランの人となりも能力も知らないはずなのに、口々に「賛成」とか言っててポカーン。
しかも北方だけはちゃっかり独立してるし。
「え?独立できんの?だったらオレも!」とならないのはおかしいでしょ。
ついでに言えば、ダヴォスは名家じゃないんだからあの場にいるのはおかしい。

捕虜を容赦なくぶち殺していたグレイ・ワームが、女王を殺したジョンを律儀に捕らえているのもおかしい。
アンサリードたちはミッサンディの生まれ故郷ナースに旅立った、というオチだけはよかったけど。
でも、グレイ・ワームがウェスタロスを去ったなら、ジョンは壁に行かなくてもよかったんじゃないの。
そもそも、ホワイトウォーカーが死んで野人との関係が良好になった今、ナイツウォッチの存在意義ってなんなの?って感じだし。

指導者を失ったドスラク軍のこれからが全く描かれなかったのも意味わかんない。
あいつらこそ法とか無視してジョンを殺しそうなもんだけど、普通に城下ですれ違ってたし。
あいつら昔の野人よりも質悪そうなんだけど、放置してて大丈夫なの?そこらの民家で強姦と強奪の限りを尽くすんじゃないの?と心配になった。

あとダニーの演説シーンで思ったけど、アンサリードとドスラク、あきらかに数が多すぎじゃね?
ドスラクなんて大戦でほぼほぼ壊滅状態に追い込まれたはずなのに、むしろ大戦時よりも数が増えてるよね。

おわり

とても満足のいく終わりとは言えないファイナル・シーズンでした。がっかりがっかり。
『ゲーム・オブ・スローンズ』は、複雑で重層的で暴力的な物語であると同時に、それまでのファンタジーの定形、お約束を打ち破る物語であったのも魅力でした。
お約束を破るといっても安直な裏切り方ではなくて、それぞれのキャラにはそれぞれきちんとした人格があり、各自の思惑に従って行動し、そしてそれらがもたらす結果をキチンと積み重ねて描いていました。

D&D(シリーズの製作脚本監督をつとめたデイヴィッド・ベニオフとD.B.ワイス )は原作のネタが尽きた後はキャラクターアークの構築などどうでもよく、ファンの予想を裏切ることと、スペクタクルな絵面を作ることにしか興味がなかったようです。
結果だけをとりあえず用意し、そこに向かってコマを急いで進めているような感じがありました。
壮大なシリーズの最終章を6話におさめるのは無理があったと思います。

最終章の作り直しを求める署名が行われ、現時点で130万人もの同意が集まっています。すごいね。
いくら署名が集まろうが作り直されるとは思わないけど、もしかしたら原作が完結して10年後ぐらいにNetflixあたりがシリーズ化するかもしれない。
僕は原作の最終章が発売されるまでに、既刊を頑張って読み進めようと思ってます。

D&Dは、スター・ウォーズの新シリーズを手がけるみたいです。
はやくスター・ウォーズに取り掛かりたかったから、最終章を無理やり6話で仕上げたなんて噂もあります(HBOはこれまでのシーズン同様10話をオファーしたのに、D&Dが断ったらしい)。
ライアン・ジョンソンもD&Dもファンからのヘイトがすごいだろうし、これからのスター・ウォーズには暗い未来しか見えないけど大丈夫なのだろうか…
個人的には、J.J.が戻ってきたEP9は楽しみだし、Respawnの新作ゲーム『フォールン・オーダー』も、ジョン・ファヴローが手がける新作ドラマ『マンダロリアン』も楽しみだけど。
そんな感じでした。

ドラマ
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