『ファイナルガール』殺し屋がクズども相手に悪戦苦闘する

原題:Final Girl
監督:タイラー・シールズ
出演:アビゲイル・ブレスリン、ウェス・ベントリー、アレクサンダー・ルドウィグ、ほか
上映時間:1時間24分
公開年:2015年

過激なバイオレンス描写満載で描く興奮度MAXの新たなスラッシャー・アクションがここに誕生!という謳い文句は完全に嘘の残念な映画でした。
Netflixで観ました。

以下、ガッツリネタバレしています。

夜な夜な綺麗なスーツで身を飾り、言葉巧みにブロンド美女を騙して犯して殺す、ガールズハンティングを楽しむ高校生集団。
そんなある日、狩リ場のレストランで極上のブロンド美女を見つけた集団のボスはすぐさまナンパし、人里離れた森の中にあるアジトへ連れ込むことに成功する。
ところが、連れ込んだ美女は、幼い頃に両親が殺され、殺し屋に引き取られた女子高生だった…

Amazonの商品ページより

事故?によって両親を亡くしてしまった幼い頃の主人公ヴェロニカとウィリアム(ウェス・ベントリー)の会話から始まる。
カウンセリングかと思いきや、殺し屋としての素質を見抜くテストだったらしい。
が、家の間取りを完璧に記憶しているとか、迷路をスムーズに解けるといった項目が、未来の殺し屋をスカウトするためのテストとしてどう機能しているのかは謎。
また、ウィリアムは志願して殺し屋になったと言っているが、身寄りのない孤児を殺し屋に育て上げている組織が本当に存在するのか、ただ単にウィリアムが個人的にやっていることなのかも謎だ。

12年後。
成長したヴェロニカ(アビゲイル・ブレスリン)は師匠のウィリアムと次なるターゲットに備えるための訓練を行っている。
主演のアビゲイルちゃんは可愛いがむっちりしているため、12年間も殺し屋として訓練してきた、という説得力は微塵もない。
多分『ゾンビランド』の頃のほうが強い。
ヴェロニカが「撃っちゃえば簡単でしょ?」と聞くと、師匠はヴェロニカに銃を渡し「撃ってみろ」と言う。
ヴェロニカは引き金を引くが、銃には弾が入っていなかった。
そこで師匠は「銃は弾切れになる。弾切れになったらただの重りにしかならないからダメ」という1ミリも納得できない謎理論を振りかざす。
そもそも撃つ前にチャンバーチェックしない時点で殺し屋としては失格だし、師匠の理屈もおかしいしで(しかも師匠はラストで銃を担いで登場するという意味不明野郎だ)、序盤からダメな感じの面白みを醸し出している。

また、2人はスリーパーホールドの練習やスパーリング、銃の組み立てといった、それは殺し屋の訓練なの?と言いたくなるような訓練をしている。
銃は使っちゃダメなのに、なぜ銃の組み立てを行っているのかは謎だ。
前半はこのようにヴェロニカとウィリアムの訓練を観せられるのだが、殺し屋として有能そうにはとても見えないし、やばい雰囲気がプンプン漂ってくる。

ターゲットは、ブロンド美女をナンパしては”狩り”を楽しんでいる4人組のクズ高校生たちだ。

ジェイムソン(アレクサンダー・ルドウィグ)
チームのリーダー格。
ドラマ『バイキング~海の覇者たち~』のビョルン役でお馴染みの、長身イケメン。
ちなみに彼は『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ(原題:The Final Girls)』という紛らわしいことこの上ない映画にも出演している。

ダニー(ローガン・ハフマン)
常にちょっとイっちゃってる感じの陽気な男。
豪邸に住んでいる。

シェーン(キャメロン・ブライト)
冴えない顔をしているが唯一の彼女持ち。
しかしその彼女はジェイムソンの元カノだった。

ネルソン(リース・トンプソン)
マザコン坊や。
ミミズを食べるシーンがキモい。

このクズどもは20人ものブロンド女性をナンパしては”狩り”と称して森で殺しているが、被害者はブロンドの若い女性で最後の目撃場所はダイナー、という共通点があるにもかかわらず警察沙汰になっていないのは謎だ。
言うまでもないが、ウィリアムが殺しのターゲットをどうやって選別しているのかor組織から指令が下るのか、なぜ20人もの被害者が出るまで放置していたのか、といったことは一切謎だ。

さっきも書いたがウィリアムとヴェロニカは組織に属しているという描写はないし、訓練の内容もかなりお粗末なので、ここまで全部ウィリアムの趣味(というかおままごと)にしか見えないのだが、銃や薬、資金、ターゲットの情報の調達をウィリアムが一人で行っているというのも考え難いので、まあ組織に属しているということにしておこう。

それはともかく、ヴェロニカは持ち前のルックスを生かして、クズどもの次なる”獲物”としてナンパされることに成功。
森に連れて行かれ、そこでTruth or Dareゲームをする。
その際、ヴェロニカはクズどもに幻覚剤が入った酒を飲ませる。
致死性の毒を飲ませればそれで片付いたのに、という身も蓋もないツッコミは置いといて、クズどもがとうとう本性を表し、ついに狩りが始まる。

しかし今回の狩りで狩られるのはクズどもだ!
ここまでの前振りでは一切盛り上がるところがなかったが、ここから”過激なバイオレンス描写満載で描く興奮度MAX”な展開が始まる!
と思いきや。
ヴェロニカは12年間も殺し屋として訓練してきたにもかかわらず、(訓練の内容がアレだったためか)かなり苦戦を強いられることになる。
相手は幻覚剤で前後不覚の状態であるにもかかわらず、だ。
この”狩り”は本作の見所であるはずなのだが、残念無念な出来。
犯行現場となる森がわかっているので、ブービートラップを山程しこんでおいて、クズどもに「自分たちのテリトリーだと思っていたら、実は相手のテリトリーだった!」という恐怖感・絶望感を与える展開を個人的には期待していたんですが。
武器は持ち込まない、相手のフィールドで戦う、という勝手な縛りプレイをしておいて苦戦しているので、君は殺し屋に向いてないと思うよ…と言いたくなる。
しかもこれといって過激なバイオレンス描写はない。
まあでも、なんやかんやあってクズどもを全員始末し、めでたしめでたし。


僕の好きな「ナメてた相手が実は殺人マシンでした映画」としてちょっとは期待していたんですが、結果ダメダメでした。
この手の映画を観るときは、狩る側がいつの間にか狩られる側に立場が逆転してしいて、訳も分からないままただただ殺されていく、という部分のカタルシスを期待するわけです。
しかし本作は、彼らが恐怖を感じているのはヴェロニカに対してではなく幻覚に対してですし、肝心のヴェロニカは弱いし各キャラの人物描写は薄いしで、超絶ガッカリな映画でした。

こんなに苦戦するなら、トイレでお仕置きしたオヤジのように、1人でいるときに殺していけばよかったじゃん、と思わなくもないですが、組織(というかウィリアム)は多分、クズを被害者と同じ状況に置いた上で、被害者と同じ恐怖を味あわせてから殺す、という流儀を持っているんでしょう。
僕はこういう変なこだわりを持っている設定は好きなので、そこは否定しません。

観るなら断然『ファイナル・ガールズ』のほうがオススメです。

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