『ヴェノム』ネタバレ感想

原題:Venom
監督:ルーベン・フライシャー
出演:トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ、リズ・アーメッド、ほか
上映時間:1時間52分
公開年:2018年

スパイダーマンのヴィランとして登場し、それ以降かなりの人気を誇るキャラクター「ヴェノム」の単体映画。
ライミ版『スパイダーマン3』にも同様のキャラクターが登場していましたが、それとは全くの別物。スパイダーマンも出ません。

監督は『ゾンビランド』『L.A.ギャングストーリー』のルーベン・フライシャー。
主演は『ウォリアー』『マッド・マックス:怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ。

最も残虐な悪、最悪、と煽られていたわりに、残虐描写はゼロ(R指定の映画じゃないし仕方ないね)。
暗そうな映画と思いきやわりとコメディ要素が強めで、お子様にも観せられる娯楽映画でした。

登場キャラ

エディ・ブロック(トム・ハーディ)

人よりも正義感が強い、まさに正義漢。
ライミ版の(というかコミック版とほぼ同じの)、捏造記事書いたらそれをピーターに暴露されたので逆恨みしちゃうというダサいキャラではなく、敏腕ジャーナリストとして社会問題を暴く番組を任されている。
正義感を抑えられず、インタビューで「裏では悪どい人体実験やってんでしょ?」と煽ったらドレイクの逆鱗に触れ、職を失うわ、婚約者も職を失うわ、婚約者に振られるわでさんざんなめに遭う。

この映画、ヴェノムの能力を発揮して頑張る中盤以降のアクションシーンはわりとどうでもよくて、ヴェノムに寄生されて能力に目覚めるまでの前半が面白い。
なにかこれといって面白いことが起きるわけでもなく、ただエディがどんな人なのかを描いているだけなのに、何故か面白い。
だいたいアメコミ映画のオリジンってこの前半部分が大して面白くないことが多いけど、本作の場合は逆、というのが変わってるなーと思いました。

正義感は強いけど一般人だからパワーはないし、金もない。
みかじめ料をたかるチンピラにビビるどころか、夜中に爆音で音楽を流す隣人にすら注意できない。
金なくて自分が大変なのにいいヤツなので仲のいいホームレスには20ドルもあげちゃう。
ひどい目に合ったのはライフ財団に喧嘩売ったからだけど、財団を告発したいというDr.スカースに協力を頼まれたら断れない。
職も金も恋人もすべて失って、最後に残ったのが正義感だった、というのは後のヴェノムの一見あっさりすぎるような改心にそれなりの説得力をもたせていると思いました。

あとヴェノムに寄生されてから奇行を繰り返すトム・ハーディの一人芝居にはかなり笑わされました。

Tom Hardy in Venom (2018)

最終的にはジャーナリストとして復帰、ヴェノムを受け入れ共生することになり、悪党には容赦しないパニッシャーとほぼ同じポジションに落ち着いた。
この2人で1人!最強ヴィジランテ!というオチは結構好き。
上のこの顔だけ見たら完全にヴィランだ。めちゃくちゃ怖い。
夜道でばったり遭遇したら確実にちびる。

ヴェノム

ライフ財団が偶然見つけたわけではなく、人類を食い尽くすために来た寄生生物”シンビオート”の一体。
エディがヴェノム形態になると、『スパイダーマン3』とは違ってコミック版に近いムキムキの体型をしていてカッコいい。
弱点は「特定の周波数の音」と「炎」。

ヴェノムも元々は人類を食い尽くすつもりだったのだが、エディの強い正義感に影響され、改心していいヤツになった。
寄生生物なので多かれ少なかれ宿主の影響を受けるということなのだろう。
アンとの微妙な空気を察して「彼女にちゃんと謝ったのか?」とか言ってくるので、ぶっきらぼうだけど面倒見のいいおっさんみたいなキャラで可笑しい。
中盤以降は、エディとヴェノムのやり取りがこの映画の魅力。

コスチュームは必要ないし、服は破けないし、弱点は少ないしでかなり強い。
スパイダーセンスはないが、敵の攻撃を全方位カバー出来る上に、銃弾などは全く効かない。
形状を自由に変化させられるので、画的には面白そうな戦いができる。
しかしシチュエーションは全部夜だし、ヴェノムは元々黒いので、特に終盤のアクションシーンはぶっちゃけ何が起きているのか把握しづらく、そんなに盛り上がらない。
『ブラックパンサー』の冒頭のアクションシーンみたいな感じ。
明るくて見やすかった研究所からの脱出と、エディの部屋でのバトルは面白かった。
正直なところ、ヴェノム形態で大暴れするよりも、生身のエディをサポートする戦い方のほうが観ていて楽しかったです。
一対一の戦いだったら、敵に寄生して中から食い尽くしエディに戻るという地味な戦法が一番強そう。

全然悪じゃねーじゃねーか!という批判が多いけど、悪のところに”ダークヒーロー”とルビがふってあるので(ダークヒーロー=悪じゃないだろという問題はあるけども)、個人的にはそこにはあまり引っかからなかったです。
あとグロ描写をはっきりやっちゃうと、相手が悪党だからってそれはないでしょ、と観客が引いちゃうからやらなかったんだろうと予想。
残虐というのは敵の頭を食っちゃうからなのかな。

公式サイトには”マーベル史上屈指の最悪ヴィラン”と書かれているけど、実際はコミックにおいてもダークヒーロー的な一面があるキャラだし、どっちかというとポストクレジットで登場するカーネイジのほうが最悪ヴィランにふさわしいでしょう。

ドレイク(リズ・アーメッド)

本作のヴィラン。
詳しくはよくわからないが、がん患者の寿命を2倍にする薬を開発したりして、若くして「ライフ財団」を立ち上げた天才。
成功の裏には大量の人体実験による犠牲者がいる。
そのことをエディに嗅ぎつけられたため、エディに社会的制裁を与えた。
人類のためという大義名分を掲げているが、実際のところ自分以外の命は単なる道具としか考えていないクズ、以外の描写がないうす~いヴィラン。
行方不明になっていたシンビオートの一体”ライオット”に寄生され、エディ&ヴェノムと戦う。
ロケットと共に爆散した。

アン(ミシェル・ウィリアムズ)

Michelle Williams in Venom (2018)

エディの元婚約者。
今は医者のダンと付き合っている。
なんだかんだでエディのために一肌も二肌も脱いでくれる、映画版『アメイジング・スパイダーマン』におけるグウェンみたいな立ち位置のキャラ。
後半の衣装に、えっそれでいいの?と違和感を感じてしまったのは僕だけ?
この人がなる女型ヴェノムの造形が妙にエロい。

Dr.スカース(ジェニー・スレイト)

ライフ財団に勤めている研究者。
子供の命を顧みず内部告発をしようとした正義の人。
結局エディを手引きしたのが財団にバレてしまい、シンビオートの実験台にされて死んだ。
連絡が途絶えたのにエディは気にしていないし、そもそも死んだことも知らなそうで、かなりかわいそうな扱いをされたキャラ。
普通の映画だと、アンは早めにフェードアウトして、この人がヒロインになってそう。
というかアンとスカースのキャラは1人にまとめたほうが良かったのでは…?

ダン(リード・スコット)

アンの彼氏。医者。
奇行を繰り返す彼女の元カレを邪険に扱わず、「君、病気なんじゃないのか?」と言って医者として本当に心配してくれるすごくいい人。

ポストクレジット1

次回作への布石。
赤いヴェノムことカーネイジの中の人、キャサディが登場する。
髪が生えていて一瞬わからなかったけど、演じているのはウディ・ハレルソン。
本作のヴィランは灰色ヴェノム(ライオット)だったので、まーたヴェノムみたいなやつと戦うのかよ、という感じがしてしまっていますがどうなりますかね。

ポストクレジット2

本作とは関係ない、日本では2019年に公開されるアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の本編映像。
ただの宣伝じゃねーか!と思いつつ、コミックとCGの中間のような独特の映像でつい見入ってしまった。
面白そう。
実写版とアニメ版、ゲーム版のスパイダーマンが一堂に集合するカオスな映画を作ってくれないかな。

感想

そこそこ面白かったです。
が、『デッドプール』や『ローガン』のように、R指定でMCUではできないようなことをガッツリやってほしかった、というのが正直な気持ち。
MCU枠じゃなくてマーベル映画をやるってのはそういうことだろ、と思うので。
エディ、ヴェノムのキャラが立っていて、ちょっと変わったバディものみたいな感じは良かったと思います。

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