『デトロイト』 差別の恐ろしさをまざまざと見せつけられる傑作

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原題:Detroit

監督:キャスリン・ビグロー

出演:アルジー・スミス、ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、ほか

上映時間:2時間23分

公開年:2018年

ミシガン州デトロイトで起きた実際の事件、「アルジェ・モーテル事件」を、当時の証言等を元に『ハートロッカー』、『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローが実写化した作品。

差別に対する怒りが昇華されることなく終わる、痛ましく悲しく恐ろしい強烈な映画でした。

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あらすじ

酒場の一斉摘発がきっかけで、黒人の暴動が勃発。

デトロイトの街は、瞬く間に世紀末的な無法地帯となってしまう。

巡査部長クラウス(ウィル・ポールター)はパトロール中に、店から品物をくすねている黒人青年に出くわす。

逃げる青年の後を追いかけ銃を発砲するが、捕まえることが出来なかった。しかしその後、青年は死んでしまった。

警察の発砲は許可されていないにもかかわらず背後から撃ち、しかも殺してしまったことで上官から叱責されるが、クラウスは反省も罪悪感を感じている様子もない。

黒人バンド、「ザ・ダイナミックス」のリードボーカルとしてオーディション・ライブに参加していたラリー(アルジー・スミス)だったが、いざ出番というところで暴動によってライブが中止になってしまう。

ラリーは親友のフレッド(ジェイコブ・ラティモア)とともに、暴動が収まるまでアルジェ・モーテルで夜を明かすことに。

そのモーテルで、白人女性のジュリー(ハンナ・マリー)とカレン(ケイトリン・ディーバー)、黒人男性のカール(ジェイソン・ミッチェル)たちと知り合う。

 

日中は工場で働き、夜間は略奪防止の為、店の警備員として働いているディスミュークス(ジョン・ボイエガ)。

その日も工場から帰宅した直後に呼び出しがあり、店の警備につくことになった。

 

カールは州兵達を驚かしてやろうとおもちゃの銃を発砲。

狙撃だと勘違いしたクラウスらデトロイト市警と州兵がモーテルに急行する。

州兵にコーヒーを振る舞っていたディスミュークスもモーテルに駆けつけるが、そこで目にしたのは壁に並ばされ尋問されるモーテル客と、背後から撃たれたカールの死体だった…というお話。

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感想

約2時間半という長さを感じさせない監督の手腕、キャストの迫真の演技はさすが。

アメリカにおける黒人の歴史と暴動の勃発。

主要人物の紹介及び、アルジェ・モーテル事件の始まり。

狙撃犯を見つけるためにクラウスが仕掛ける地獄のようなマインド・ゲーム。

アルジェ・モーテル事件後の胸糞悪くなる裁判。

が、リアルで緊張感たっぷりに描かれています。

モーテルでの尋問は観ているだけで恐怖を感じるほど恐ろしいです。

人権問題には関わりたくないと見て見ぬふりをした州警察が介入していたら、と思わざるを得ません。

 

しかし、正義を行うはずの司法によって、不当な暴力で三人の黒人少年の命が奪われた事実が無かったことにされた、ということのほうがもっと恐ろしく感じられました。

裁判官も陪審員も全員白人。

傍聴席にいる白人たちは、無実の判決を聞いて喜んでいる。

なんですかこれは?なんでこんなことが現実に許されるんですか?

白人警官が黒人を殺害しても起訴すらされないという事実も知り、やり場のない怒りがこみ上げてきました。

 

石や火炎瓶で街を破壊し、あっという間に世紀末状態になってしまうデトロイトを見て、黒人さんたちちょっとやりすぎでしょ、過剰に反応しすぎでしょ、と思ってしまうのは、差別など受けたことのない安全圏からの心ない考えだと反省しました(中にはただ便乗しているだけの人もいましたけど)。

黒人にとっては、差別が平然とまかり通る日常こそが無法地帯だったんですね。

積もりに積もったやり場のない怒り、それが暴動という形で発露してしまった、ということだったんですね。

21世紀になった今でも、白人警官に黒人が暴行されたり射殺される事件が起きているわけで、昔たまたま起きてしまった事件ではない、50年たった今でも差別主義者が幅を利かせているという現実を思い知らされました。

黒人に対する差別が描かれた映画でしたが、僕も無意識の内に何かに対して差別意識を持っていないだろうか、と考えさせられました。

 

少年たちは何で真相を言わなかったのか、という批判がありますが、この状況で果たして「ふざけておもちゃの銃を撃った」と言えるでしょうか。

ただでさえ黒人を不当に扱っている白人警官にそんなことを言えば、「バカにしているのか?」とさらに暴力が加速するのでは、と恐怖におびえていたのではないかと思います。

映画
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