『ゴースト・オブ・ツシマ』誉れを捨て美しき対馬を取り戻せ!傑作和風オープンワールドアクション!【ゲームレビュー】

5.0

『スライ・クーパー』『インファマス』でおなじみSucker Punch Productionsによる傑作オープンワールド『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』のクリア後レビューをお届けします!

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骨太なストーリー

時は鎌倉時代。
対馬にモンゴル帝国が襲来し、島の武士はそのほとんどが一夜にして討ち死に、島は瞬く間に制圧されてしまう。

かろうじて生き延びた武士、境井 仁は、蒙古から対馬を取り戻すため、対馬の民を守るため、武士の教えに背き手段を選ばない戦い方を身につけていく。

やがて仁は、冥府から蘇り蒙古を葬る”冥人(くろうど)”としてその名を轟かせることになる…

というのが本作のあらすじ。

実際にあった話ではなく、モンゴル帝国による対馬侵攻をベースにした完全オリジナルストーリーが展開されていきます。

(史実ベースのものとしては、『アンゴルモア 元寇合戦記』という漫画/アニメがあるので、そちらもおすすめ)

圧倒的な蒙古軍を前になすすべなく敗走した仁が、悩み苦しみながらも”誉れ高き武士”としての道を捨て、民を救うために戦う姿が丁寧に描かれていきます。

蒙古軍を率いる有能な将コトゥン・ハーン、”誉れ”に固執する伯父の志村、つらい過去を抱える野盗のゆな、といった脇を固めるキャラクターの描写もしっかりしていて、演出も相まってさながら時代劇を見ているかのよう

海外製の日本にありがちな、勘違いした日本観は見受けられず、ローカライズの質の高さも相まってただただ驚くばかりでした。

本作で描かれている、いわゆる”武士道”的な考え方が鎌倉時代にあったのかは疑問ですが、エンタメとして面白いストーリーになっているので問題なし。

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美しき和風オープンワールド

本作の主役は「対馬という島そのもの」と言っても過言ではないです。

桜が舞い散る場所のすぐ近くに真っ赤な紅葉の木があったり、ススキの野原があったかと思えばあたり一面朝顔が咲いている場所があったり、北の大地は雪景色だったりと、季節の統一感をガン無視した現実にはありえない風景になっていますが、リアリティよりもゲームとしての見た目を取った結果、驚くほど美しいオープンワールドに仕上がっています。

日本の景勝地と四季が、対馬という1つの島にぎゅぎゅぎゅっと詰まっており、その辺をただ馬で駆けているだけでも楽しめます。

キャラクターモデルやフェイシャルアニメーション、テクスチャなど、他の大作と比べると粗い部分はあるものの、風景の描画に関しては、いつ・どこを切り取っても美しく、フォトモードを起動してスクショを撮った回数は、過去プレイしてきたゲームの中で最多。

服装、建物、風景、どれを見ても確かに日本が舞台だ!と感じられます(歴史に詳しい人からすると違和感があるのかもしれませんが)。

モンゴル帝国に侵略された対馬が舞台となっている以上、風景はただ美しいだけではありません。

道中では、串刺しにされた生首や、巨木に吊り下げられたおびただしい数の骸、荒らし尽くされた民家など、戦禍の爪痕を目の当たりにすることがあります。

これらを見るたびに、一刻も早く蒙古から対馬を取り戻さなければと、仁と同じ気持ちにさせてくれます(と言いつつ、探索に明け暮れてしまうのですが)。

本作では、ミニマップやコンパスといった画面情報が排除されていますが、未発見の場所へと誘ってくれる黄金色の鳥、神社へと続く鳥居、クエストや重要な場所に立ち上る白い煙といった、探索の手助けとなる目印が風景の中にちりばめられているので、マップに頼らず探索が行えるようになっています。

敵の拠点や収集アイテム、強化スポットといったオープンワールドにありがちな要素も多く含まれていますが、「マップを開いて目的地を設定し巡回するだけ」という作業的なゲームプレイにならないような工夫が施されており、オープンワールドとしてのデザインは秀逸です。

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異常に早いロード

オープンワールドゲームは、比較的ロード時間が長くなりがちなゲームジャンルであるにも関わらず、本作のロードは他ジャンルのゲームと比べても異常なほど早いです。

一般的に長くかかるゲーム開始時のロードも短い上に、ファストトラベルやリトライ時のロードもほぼ一瞬。

ロード画面で表示される指南を読んでもらうため、わざとロード時間を長めにしたらしく、本来であればもっとロードが早かったということになります。
恐るべし。

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かっこよすぎる黒澤モード

本作には、往年の時代劇からの影響が端々から感じられますが、その筆頭が「黒澤モード」の存在。

このモードでは、画面が白黒になるだけでなく、フィルムのザラつきや、音響のくぐもった感じまで再現されており、時代劇をプレイしているかのような感覚を味わえます。

色鮮やかな風景の良さが失われてしまうほか、戦闘時に敵の攻撃が受け流しできるかどうかの判断がつきにくい(受け流しできる攻撃は青、できないのは赤で表示されるため)という問題が生じてしまいますが、そういったデメリットが些細に感じられるほどかっこいいです。

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思ったよりも奥が深い戦闘

基本操作

本作の戦闘は、□と△で攻撃、○で回避、L1でガード、R1でくない等の暗具を使う、というオーソドックスな操作。

敵はガードを固めているので、まずは△の強打でガードを崩し、それから畳み掛けるというのが基本戦術となります。

また、敵の攻撃が当たる直前でガードすると、受け流して反撃のチャンスを掴むことができます。

敵もこちらも、2、3回斬られれば瀕死になるため、ただボタンを連打していれば勝てるというような生易しいものではありませんが、かと言って何度もトライアル&エラーが求められるほど難しいものでもありません。

基本的には一対多の戦闘になりますが、受け流しの判定はかなり緩く、暗具を使えば戦況を覆せるため、ガード不能攻撃と弓矢にさえ気をつけていれば、大勢に囲まれたとしてもなんとかなるようになっています。

通常攻撃や型のタメ攻撃、カウンターや奥義にフィニッシュムーブ、納刀など、一つ一つの動きがいちいちかっこよく、スローモーション、効果音、振動のおかげで敵を斬り伏せるときの手応えもしっかりしており、一太刀の重みが感じられる爽快な戦闘が楽しめます。

本作には「型」というシステムがあり、4つの型それぞれに固有の攻撃が用意されています。

型の変更といえば『仁王』を思い浮かべる人もいるかもしれません。

あちらの型は攻撃速度と技、気力の消費量が変化するものでしたが、こちらの型は特定の兵種のガードを崩しやすくなるというもの。

刀剣兵に対しては石の型、槍兵に対しては風の型というように、攻撃する相手に合わせて型を変更しつつ戦う必要があります。

多数を相手取る中で、攻撃を受け流し、型を変更して反撃し、隙あらば暗具や奥義を使い…と操作は結構忙しい。

また、型の攻撃はガードを崩すだけにとどまりません。

水の型の連撃は単体に対して大きな威力を発揮し、風の型は距離を詰めたり敵を崖から落とすことができ、月の型の回転斬りは複数の敵を同時に攻撃できます。

状況に合わせて型の攻撃を使いこなすことで、それこそ型にはまらない戦い方ができるようになります。

一騎討ち

戦闘に突入する際、名乗りを上げることで、一騎討ちに突入することができます。

△ボタンを長押しし、敵が攻撃してくるタイミングでボタンを離す、という操作自体は単純なものですが、演出が時代劇っぽくてかっこいい。

ちなみにスキルと装備次第では、最大で5人もの敵を一度に討ち取ることができるようになります。

ステルスプレイ

武士らしい正面からの戦いだけでなく、ステルスによるアプローチもできるようになっています。

物見の敵を遠くから矢で仕留めたり、孤立した敵をこっそり闇討ちしたり、爆竹で敵を釣りだしたりと、システム面での新鮮味はないものの、しっかりとした面白さがあります。

敵AIはかなり間抜けに設定されていますが、これは後述する理由から欠点だとは感じませんでした。

また、気付かれないように排除していかないと、捕虜が殺されてゲームオーバーになってしまう場所もあります。

ビルドを考える楽しさも

プレイヤーを強化する装備品として、鎧と護符というものがあります(武器は変更できませんが、素材を使って強化することできます。鎧も強化できる)。

鎧と護符、それぞれの効果をうまく組み合わせることによって、幅広い戦い方ができるようになっているというのも、本作の特徴。

各鎧には、それぞれ異なるパッシブ効果が備わっており、武士らしい戦い方に向いているものもあれば、冥人らしい戦い方に向いているものもあります。

護符の効果は、体力や攻撃力の増加といったベーシックなものから、鈴を拾った敵を毒殺する、ヘッドショットで倒すと一定確率で矢が消費されない、といったものまで多岐にわたります。

「てつはう、火矢、焔の剣を使って敵を燃やすと敵が勝手に逃げていく」「集中(弓矢で狙いをつけるときにスローになるスキル)を使ったヘッドショットの連発だけで敵を一掃できる」などなど、ビルドを考えるのがなかなか楽しい

ただ、各拠点を制圧しクエストも達成してしまった後は、大勢の敵を相手に出来る場が無く、強くてニューゲームも搭載されていないため、ビルドを試す機会があまりないというのは非常に残念でした。

アクションでストーリーを語る

アクションの操作感やシステムももちろん良いのですが、特に気に入ったのは、難易度バランスがストーリーとリンクしているという点です。

ゲーム開始時、仁が使える武器は刀一本だけですが、ストーリーを進めていくうちに闇討ち(ステルスキル)を覚え、「くない」や「てつはう」「毒針」といった、冥人の武器である暗具を使えるようになります。

また、ステルス時の敵AIはアホで、暗具の効力はかなり強力に設定されています。

つまり、誉れ高き武士らしく刀のみに頼った真っ向からの戦い方に固執すれば苦戦を強いられ、冥人らしく手段を選ばない戦い方をすればたやすく軍勢を打ち破ることが出来るようになっているのです。

これはそのまま本作のストーリーを表現しており、素晴らしいデザインだと感じました。

なお、プレイスタイルがストーリーに影響を及ぼすことはないので、縛りプレイをする必要はありません。

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豊富なサイドクエスト

本作ではもちろん、大量のサイドクエストが発生。

サイドクエストの作りは『ウィッチャー3』の影響を感じるもので、一つ一つにきちんとストーリーが用意されています(選択肢による分岐はありません)。

「足跡を見つけて辿る」というパターンが非常に多いものの、展開やシチュエーションが豊富なので、同じことを繰り返しやっている感はありませんでした。

仁を支える5人のサブキャラそれぞれにも、しっかり分量のある一連のサイドクエストが用意されています。

一族の復讐に燃える政子、不肖の弟子を追う石川など、これまたバリエーションに富んだ展開が待っていて面白い。

それぞれのキャラのバックストーリーや内面が丁寧に描かれていて、メインストーリーに深みを与えています。

サイドクエストの中でも特に気に入ったのが、「伝承」というクエスト。

琵琶法師の語る伝承の真偽を確かめるというもので、クリアすると強力な武具や奥義を会得することができます。

法師が伝承を語るときに映し出される筆絵調のアニメーションがとてもかっこよく、クエストの内容も「浮世絵調の地図を頼りに目的地を探す」「焚き火で暖を取りながら険しい雪山をひたすら登る」など、他のサイドクエストとは一味違います。

本筋とは全く関係のない、「〇〇を取ってこい」「〇〇を倒してこい」といったパシリ業務を何度も何度も何度もこなし、気づけばストーリーをクリアする前に息切れしている…そんなオープンワールドをいくつもプレイしてきました。

しかし本作では、全てのサイドクエストが「対馬の民を救う」という大きな目標の達成につながっているためか、本筋と関係ない寄り道という感じがしませんでした。

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レベル制ではない

本作はレベル制を採用していません。

そのため、世界は目の前に広がっているが実際に行けるところには制限があり、低いレベル帯から順々に攻略していかなければならないという、レベル制オープンワールドの大きな欠点がありません(攻撃力や体力の強化といった要素はあるので、完全にないとは言えませんが、プレイヤースキルでカバーできることがほとんど)。

ストーリーを進行させなければ行けない地域はありますが、強くないから行けない地域やクリアできないクエストはなく、気が赴くまま自由に探索できます。

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圧倒的外観カスタマイズ

仁の外観をカスタマイズする要素として、刀装具・頭防具・面頬・鎧・弓装具があります(性能に影響するのは鎧のみ)。

頭は約60、面頬は約20、鎧は11種類も用意されているので、組み合わせは膨大な数にのぼり、様々な組み合わせを試して自分だけの境井 仁をコーディネートすることができます。

同じ鎧でも、強化することで見た目が3段階まで変化し、色を変更することで模様が変わったりもするので、バリエーションは豊富すぎると言ってもいいぐらい多いです。

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些細だけどすごくイイところ

・村や集落を訪れると、村人たちがわざわざ立ち上がって挨拶してくれる
中には、「境井様!」と名前を呼んでくれる者もいる

・ススキの野原を走るときに、仁がススキを手でさわさわーってやる

・無残に殺された亡骸に「お辞儀」すると、仁が死者を悼む言葉を言う

・笛を吹くと天気を変えられる

・祠に案内してくれた狐をなでられる

・馬に乗って走り出すとき、仁が馬に声をかける
自然と馬に愛着がわいてしまうようになっている…

・サイドクエストで助けた人の中には、避難先で再会できる者がいる

・『スライ・クーパー』や『インファマス セカンドサン』、SIEタイトル関連のイースターエッグ

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個人的にイマイチだと感じた点

カメラワーク

受け流しに成功したり蹴り飛ばしたりすると、そこそこの確率で敵が画面外へと消えてしまいます。

また、敵は普通に画面外からも攻撃してきます。

自分でカメラを調整すればいいだけのことなのですが、本作では攻撃と回避に使うボタンが□・△・○に割り当てられているので、敵との交戦中にカメラを操作するのは少しだけ難があります。

カメラワークのせいで負けた、というほど酷いものではありませんが、戦闘時はカメラが少し引き気味になるか、直近に攻撃した/受け流した敵をカメラがある程度追うようになっていればよかったと思います。

ちなみに、一対多の剣戟を表現するため本作にはロックオン機能が搭載されていませんが、個人的に必要だとは感じませんでした。

ゴア表現

これは完全に個人の好みの問題ですが、本作はZ指定になっているもののゴア表現はかなり控えめ。

道中では生首だんご3兄弟だったり、丸焼けになった死体だったりを見かけることがありますが、戦闘中には血しぶき、紫電一閃による腕の切断、隊長の斬首以外にゴア表現と呼べるものはありません。

『NINJA GAIDEN』の欠損や、『ウィッチャー3』のフィニッシュムーブとまではいかなくても、もうちょい攻めた表現がほしかったところ。

バリエーションが少ないボス戦

サイドクエストで戦うボスも含めると、ボス戦の数自体はそれなりに多いです。

しかしながら、ほとんどのボスの武器が刀であり、モーションはほぼほぼ使い回されています。

それ以外には盾持ちが数人、槍持ちが1人いるのみで、実質的にはボスが3人しかいません。

ワンパターンな演出

一騎討ちおよびボス戦前の演出はシネマティックでかっこいいものの、バリエーションはなく、特に頻度の高い一騎討ちは早々に見飽きてしまいます。

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まとめ

メインストーリーと全サイドクエストのクリア、トロフィーのコンプリート、収集品の全ての取得も含めて、プレイ時間は約60時間でした(メインストーリーをクリアするだけなら、10~20時間ほどだと思います)。

間違いなく2020年のGOTY候補であり、ぼくの中では『RDR 2』や『BotW』、『ウィッチャー3』に次ぐオープンワールド。PS4の最後を飾るにふさわしい超傑作でした!(まだ気が早いか)

ありがとうSucker Punch!

という感じでした。

ではまた~

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