
今回は、『Bastion』『Transistor』を手掛けたSuperGiantによるローグライクアクション『HADES』の感想をお届けします。
まだこれからもぼちぼち遊び続けるつもりですが、エピローグまでは到達したので一区切りとして。
ジャンル | ローグライク・アクション |
開発元 | Supergiant Games |
発売元 | Supergiant Games |
総プレイ時間 | 約65時間 |
オススメ度 | ★★★★★ |
使用ハード | Xbox Series X |
『HADES』とは?

主人公は冥界の王子「ザグレウス」。
とある理由から、彼は地上界を目指すべく冥界からの脱出を試みるが、それを良しとしない父ハデスは、ありとあらゆる手でもってザグレウスの家出を阻もうとする。
オリュンポスの神々の力を借りながら冥界を突き進むザグレウスは、果たして地上へとたどり着くことが出来るのか…?というのがあらすじ。

本作は、見下ろし視点型のローグライクアクション。
剣や弓、槍など全6種類の武器から1つを選んでランを開始。
4つのエリアで構成された冥界を進んでいき、最後に待ち受けるボスを倒すことができれば見事クリアとなります。
各エリアはそれぞれ複数の部屋で構成されており、各部屋では戦闘が発生。
通常攻撃、特殊攻撃、ダッシュ攻撃、遠隔攻撃、回避を駆使して戦い、勝利すると報酬を受け取ることができ、次の部屋に進んでまた戦って…を繰り返していきます。
操作性は良好で爽快感は抜群ですが、難度はかなり高めです。
報酬としてもらえるのは、ザグレウスのアクションを強化する「神々の功徳」や、恒久的な強化に使う素材、そのラン限定でアイテム購入に使えるコインなど。
部屋に入る前にはその部屋で何が報酬としてもらえるのかが表示され、2つ以上の部屋から取捨選択することもあります。
途中で死亡すると振り出しに戻されてしまいますが、道中で手に入れた通貨を使い、ザグレウスの能力を恒久的にアップグレードすることが可能。
体力の上限を増やしたり、遠隔攻撃の回数を増やしたり、死亡しても生き返れるようになったりします。
また、出発地点であるハデスの宮殿では、冥界に暮らす神々との交流を楽しめたり、装飾品を飾ったりもできます。

驚くべきリプレイ性の高さ
本作のリプレイ性を高めているのは、「武器の種類と態」「神々の功徳によるアクションの強化」「ダイダロスのハンマーによるアクションの変化」という3つの要素。
武器種は「剣」「弓」「槍」「盾」「双拳」「電磁砲」の全6種類。
各武器には、特性の異なる「態」がそれぞれ4つ用意されています。
例えば同じ剣でも、「ザグレウスの態」では攻撃・移動が早くなる、「ポセイドンの態」では魔弾にダメージボーナスが付く、といったように、同じ武器種でも態によって特性が異なります。

オリュンポスの神々は全部で9体(カオスも入れれば10体)。
神々から授かる功徳は、ゼウスなら雷による連鎖攻撃、ポセイドンなら高波による吹き飛ばし、デュオニソスなら二日酔いによるスリップダメージなどなど、彼らの特性を活かした特殊効果をアクションに付与してくれます。
条件を満たしていればまれに出現するレジェンダリー功徳や、特定の2神の特定の功徳を授かっている場合のみ出現するデュオ功徳といったゲームチェンジャー的な功徳も用意されています。

また、ダイダロスのハンマーによる武器攻撃の強化・変化も、アクションに非常に大きな影響を及ぼします。
ヒット回数が増える、タメ時間が短縮される、3WAYで広範囲化する、などなど種類が多く、武器種と功徳との相性を考えて取得する必要があります。
同じ武器でも取得した功徳・ハンマーの組み合わせによって雲泥の差が出ることもありますし、同じような功徳の組み合わせでも武器が違うだけで雲泥の差が出ることもあります。
どういう組み合わせで戦っていくか、どういう組み合わせなら上手く行きそうかを毎回試行錯誤するのがめちゃくちゃ楽しいですし、功徳・ハンマーはランダムなので必ずしも狙ったものが出るわけではない、というところも含めてリプレイ性が非常に高くなっています。

確固たるストーリーとキャラ立ち
大半のローグライクでは、ストーリー・キャラはゲームの導入のために用意されただけのオマケ扱いのものが多いですが、本作ではストーリーとキャラの掘り下げがきっちり用意されています。
なぜザグレウスは家出したいのか?ハデスはなにを隠しているのか?という先が気になるメインストーリーもさることながら、師匠のアキレウスや可愛すぎるメイドのデューサ、クセの強いオリュンポスの神々、といった個性豊かなサブキャラ一人一人に、ビックリするほどの膨大な台詞とストーリーラインが用意されています。
1周クリアまでがチュートリアル、というのはどのローグライクでも同じですが、本作には難易度を上げて挑戦するという以外に、クリア後でもストーリーが続いていくというのが大きなポイント。
普段は1つか2つ難易度を上げてクリアしたら満足しちゃうのですが、本作は未だに聞いたことがない台詞がポンポン出てくるので、気づけばもう100周以上もプレイしています。

たとえクリアできなくても新たな台詞が聞けるので、意気消沈することなく「よっしゃもう一周!」というモチベーションを保てる、というのも本作のスゴいところ。
ここまでキャラの掘り下げを行っているローグライクは他に見たことがありません。
万人に開かれたバランス調整
そこそこゲーム慣れしていて、そこそこ根気のある人にしか勧められない、というのが一般的なローグライクの印象。
対して本作は、プレイヤースキルに依るところが他のローグライクと比べて小さく、それでいて運要素が大きすぎることも無い、絶妙なバランスで成り立っていると感じました。
他のローグライクにおける恒久的強化項目は、回復回数がちょっと増えるとか、強い武器が出る確率がちょっと上がるとかがほとんどで、基本はプレイヤー自身が強くなるしかありません。
しかし本作では、体力アップ、死亡可能回数アップ、遠隔攻撃回数アップ、レア功徳の出現率アップといったザグレウスの能力に加えて、各武器の強化、休憩部屋の設置に至るまで様々な恒久的強化項目があり、リプレイする度に少しずつですが確実に楽になっていきます。
- 基本アクション系の功徳が出やすい
- 1周で出会う神は多くても5体ぐらい
- 特定の神の出現率を上げられる装備品がある
- 功徳の引き直しが出来るようになる強化項目がある
これらの調整により、運要素は比較的低め。
もちろん、引きが良くてめちゃくちゃ強いビルドが完成することはありますが、引きが悪すぎてダメダメになることは殆ど無い印象。
一向にクリアできる気がしないけどストーリーは知りたいという人のために、死ぬ度に被ダメが軽減されていく「ゴッドモード」もあります。
1周クリア後は高難易度への挑戦が可能になりますが、一律で難しくなっていく方式ではなく、プレイヤーが取捨選択して難易度を上げていく方式。
敵の体力が増える、ボスが強化される、敵の攻撃スピードが上がる、トラップのダメージが増える、といった様々な項目の中から、次の難易度(熱度)へ進むのに必要な分だけを選んで挑戦できるようになっています。
難易度調整をプレイヤーに丸投げしていると感じる人もいそうですが、自分に合った方向で段階的に難易度を上げていけるこの方式はありがたかったです。
イマイチと思ったところ
強いて挙げれば程度ですが、一応。
単調じゃないとは言えないゲームループ
自動生成ダンジョンといってもかなり単純な構造なので、何周かすれば見たことのある景色しかなくなります。
家出の旅路は必ずタルタロスから始まり、アスポデロス、エリュシオンを経由してステュクスに到達し、それ以外のルート分岐は存在しません。
ボスのバリエーションはほとんど無く、特殊なギミックが存在する部屋もとくに無いですし、敵の種類も多くはないので、ひとつの武器に絞ってプレイしていたら割と早く飽きがくると思います。
強化に必要な素材の量が多い
ステータスや武器など恒久的な強化項目が多いと書きましたが、それらを強化するために必要な素材の量も多く、フルアップグレードしようと思うと相当な周回数が必要になります。
最大強化してやっと真価が発揮される武器も少なくなく(「カオスの態」とか「ヘスティアの態」とか)、必要量はもうちょい緩くしても良かったのでは?というのが正直なところ。
ティタンの血、金剛石、アンブロシアは各武器種・各難易度で各層のボスを初めて倒したときのみ得られる報酬ですが、ジェムや鍵を使っても取得できるので、難易度を上げなくてもいずれは全てアップグレード出来るようになっている点は良いと思いました。
おわり

正直なところ、やり始めの2~3時間ぐらいまでは、アクションの操作性と爽快感は文句なしに良いし、ビジュアルはきれいだし、サントラも良いけど、そんなに言うほど面白いかな?という感じでした。
が、何回も死んで戻ってを繰り返し、各部屋のアイコンの意味や、武器の効率的な立ち回り方、功徳の効果やシナジーを学びながら遊んでいたら、知らない間に夜が明けて腱鞘炎が悪化するぐらいにドハマリ。
今までいろんなローグライクを遊んできましたが、ここまで夢中になれたのは本作が初めてです。
アクションゲーム好きにはもちろんですが、ローグライクに苦手意識を持っている人にもオススメしたくなる超傑作でした。
GOTY総なめは伊達じゃなかったです。
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