『メトロイド ドレッド』の感想を。なかなかムズくてかなり面白いシリーズ最新作

今回は、19年ぶりの完全新作となったシリーズ最新作『メトロイド ドレッド』の感想をお送りします。
メトロイドヴァニアは好んでよくプレイするのですが、恥ずかしながらメトロイドシリーズは本作が初めてでした。

ジャンルメトロイドヴァニア
開発元任天堂・MercurySteam
発売元任天堂
総プレイ時間約15時間
おすすめ度★★★★☆

総プレイ時間15時間のうち、10時間はノーマルモードでの100%クリア、5時間はハードモードでのクリア、となっています。

ストーリー

かつてサムスが絶滅させたはずの寄生生命体「X」の存在を示す映像が、未知の惑星「ZDR」から送られてきた。
銀河連邦は惑星「ZDR」に7体の調査ロボ「E.M.M.I.」を派遣したのだが、惑星到着直後に通信が途絶えてしまった。
真相を解明するため、今度は「X」に耐性を持ち銀河最強の戦士であるサムスが送り込まれることに。
惑星に降り立ったサムスの前に立ちはだかるのは謎の鳥人族。
彼の目的は何なのか?E.M.M.I.に何が起こったのか?サムスは無事にZDRから脱出することができるのか?
というのが本作のあらすじ。

ぼくのように「メトロイドは本作が初めて」という人でも、これまでのサムスの活躍が把握できるように、ゲーム開始時にこれまでのあらすじを教えてくれるので安心。
サムスは殆ど喋らないキャラなのですが、カットシーンでの立ち振舞いがカッコよすぎて一気にファンになりました。

ストーリーはシンプルですが、終盤の展開を見るに、多分これまでのシリーズ作をすべて遊んでいたらかなり盛り上がれたんだろうなーと思いました。

ビジュアル

Switch専用タイトルの中でも最も美しいものの1つといえるかもしれません。
それくらい本作のビジュアルは素晴らしかったです。

いつもSwitchでゲームをするときは少しぼやけた印象になりがちですが、本作はかなりシャープで、ライティングや質感表現がハイクオリティ。

カットシーンとゲームプレイのつなぎ方が自然で、ゲームプレイ部分は安定して60fpsで動作するというのもポイントが高いです。

軽快爽快なアクション

プレイを開始してまず思ったのは、手触りがめちゃくちゃ良いということ。
ボタンのレスポンスが良いというのもありますが、ダッシュ、ジャンプ、急停止、射撃、スライディング、メレー、段差の乗り越えなどなど、ひとつひとつのアニメーションが丁寧に作られていてサムスがキビキビと動くので、操作していて純粋に楽しい

特筆したいのはメレーカウンターからのフィニッシュ。
敵の特定の攻撃に対してタイミングよくメレーカウンターを当てると、そのまま撃破できてしまうという優れもの。
シンプルに爽快感抜群で気持ちよく、ボス戦では特殊な演出とともに連続ダメージが与えられる様になっている点がとても良かったです。

開始時に使えるアクションはアームキャノンの連射とミサイル、メレーカウンターだけですが、ストーリーを進めていくに従って、チャージビームやモーフボール、二段ジャンプなどなど多彩なアクションが使えるようになっていきます。
こういったパワーアップ取得の機会が非常に多く、次々にできることが増えていくテンポ感も気持ちよかったです。

ゲーム前半では武器が貧弱なので安全な距離からミサイルを正確に当てたり、雑魚相手にもきっちりメレーカウンターを決めたりする必要がありますが、後半になると貫通キャノン連射と電撃ジャンプとパワーボムで楽々お掃除出来るようになるというのも、パワーアップ具合が如実に感じられて良かったです。

恐怖の追跡ロボE.M.M.I.

本作では、特定エリアにE.M.M.I.と呼ばれる追跡ロボが登場。
音や姿でこちらを探知して追跡し、もし捕まってしまった場合には超シビアなQTEに成功しないと即ゲームオーバー。
こちらの攻撃は一切効かないので逃げの一手しかありません。

▲失敗例
▲成功例。
タイミングが超シビアでボタン連打も効かないので運頼み

探索ともボス戦とも違う、恐怖感にも似た緊張感が生まれて良いと感じましたが、人によっては好みが分かれるところだと思います。
ゲームオーバーになってもコンティニューは部屋に入る直前からなので、やり直しのストレスは低め。

緊張感が生まれて良いと書いておいてなんですが、各E.M.M.I.には能力による違いがあるとはいえやることは変わりませんし(「捕まる前に部屋を突破する」&「目玉ボスを倒して特殊武器を手に入れコアを壊す」)、それぞれに適した戦略が必要というわけでもないので、途中から少し作業感を感じるようになってしまったのは残念なところ。

1周目ではため息が出てしまうほど何度も捕まっては殺されていましたが、2周目ではすんなり突破できるようになっていました。
焦らずマップを確認するのが大事。

白熱のボス戦

サムスの前に立ちはだかるボスはどれもかなり強く、きちんと行動パターンを観察して、正確に対処することが求められます。
アクションゲームに慣れているつもりでしたが、そんな自負を叩き折られるぐらいに死にまくりました(ラスボス戦では軽く10回以上は死んでます)。
行動パターンを完全に把握したハードモードでは、ほとんど全てのボスを1回目で倒せたので、自分の腕が上達してるという実感を得ることができたのも良かったです。

ヒリヒリするスピーディーな攻防が繰り広げられるので、アクションゲー好きにとってはかなり楽しい反面、この手のゲームのプレイ経験が浅いプレイヤーでも楽しめるかは疑問なところです。

楽しいけど恩恵が薄い探索

メトロイドヴァニアの語源にもなっている通り、本作ではエリアの探索がゲームプレイのかなりの割合を占めます。
一見するとただの壁や床だけど破壊できる隠しブロック、特定のアビリティがなければ突破できないギミックなどが行く手を阻み、ゲーム進行に伴って徐々に行動範囲が拡大していく楽しさがビシビシと感じられました。

エリアを順番にクリアしていくメトロイドヴァニア作品が多いなかで、本作では複数のエリアを往復しつつ行動範囲を広げていくというのも特徴的。
進むべき道が分かるように進路を制限しつつ、それでいて一本道だとはあまり感じさせないようなレベルデザインが秀逸。
エリアはかなり広大ですが、サムスの機動力が高いので移動も苦になりませんでした。

ただし、探索で得られる恩恵に関しては不満に思うところが

本作では、各エリアの様々なところに「HP上限を増やすタンク/パーツ」「ミサイル所持数を増やすタンク」「パワーボム所持数を増やすタンク」という3種類の収集アイテムが隠されています。

HP上限を増やすタンクを取れば攻略が楽になるのは間違いないですが、ミサイルタンクとパワーボムタンクに関しては、道中で目についたものを回収しておけば、それ以上は必要性も恩恵も感じられませんでした。
取りこぼしているのが気持ち悪いので1周目はすべて回収しましたが、ハードモードでの2周目は50%程度しか回収せず。
探索して得られる恩恵がもう少し欲しかったです。

ちなみに、全てのワープ装置を起動させるとワープ装置間のファストトラベルができるようになりますが、使い勝手があまり良くないというのもマイナスポイント。

頭と指を使うパズル

ストーリーを進める上では頭を使うものはありませんが、収集アイテムの中には「これどうやって取るの?」みたいな配置のものがちょこちょこありました。
スピードブースター、シャインスパークをうまく活用しないと取れないものがそうで、どういうルートを通ればいいのか頭を使うだけでなく、かなりシビアな操作を求められました。

何度も何度も試行錯誤してやっと回収できたときはめちゃくちゃ嬉しいのですが、上述した欠点によって労力が報われないという問題もあります。

シャインスパークで上り坂にぶち当たるとスピードブースト状態を維持しながら走れる、というのは知っておいたほうが幸せになれるかもしれません(↓動画参照)。
ちなみにぼくは自力で取れなかったものが2つほどありました。

万人向けではないデザイン

留意しておきたいのが、本作は手取り足取り教えてくれる万人向けのデザインではないということ。

難易度の設定は無く(クリア後にはハードモードが追加されますが、イージーモードはありません)、入念に探索しても強くなれる要素がないので、ゲームをクリアするにはプレイヤースキルを磨くしかありません。

ほとんど全てのボタンを使う操作体系で、しかも同時押しを要求されることも多いので、ゲーム慣れしていないと最初の内はキツいかもしれません。

次の目的地が分かりやすく地図上に表示されたりはしないので、新しく手に入れた能力でどこに行けるようになったか、ある程度考えながら進めないと迷ってしまうかもしれません。また、正規ルートが隠しブロックで阻まれていることもあります。

といったように、本作はあくまでもシリーズファンやゲーム慣れした人向けの作品、といった印象が強いです。

ボリュームは薄め

100%回収を達成しても一周10時間程度というボリューム。
めちゃくちゃ楽しめたのは間違いないのですが、フルプライスで10時間か…という気持ちに少しなってしまったというのが正直なところ。

周回プレイがやりやすいボリューム感とは言えますが、寄り道要素を除けばほぼ一本道進行なので、タイムアタック的な楽しみ方以外にリプレイ性がそれほどあるわけでもなく(正規ルート以外でパワーアップを早めに取得出来るシーケンスブレイクや、一部ボスのインスタキルなど、全くリプレイ性が無いわけではありませんが)。

個人的には、隠しボスやボスラッシュモードなど何かしらのおまけ要素が欲しかったです。

ちょっと気になるテンポ感

セーブをするときやエレベーターを使うときなどの演出が妙にのんびりしていたり、エリア間移動のロードが長めだったり。
スピーディーなゲームプレイ部分とのギャップが大きいのでちょっと気になってしまいました。

おわり

ボリュームに関してはちょっと不満がありますが、アクションゲームファンなら遊んどけ!と言いたくなるぐらいに面白いことは確か。
ぼくはシリーズ初挑戦で楽しめましたが、シリーズファンからの評価も高いようで何よりです。
「メトロイド」はこれで一区切りということみたいですがまた新作が作られてほしいですし、ジャンル・開発は違えど『メトロイド プライム4』も楽しみになりました。

そんな感じでした。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

メトロイド ドレッド
価格:6910円(税込、送料無料) (2021/10/10時点)


コメント