Outridersの感想を。不満が面白さを上回ってしまったルーターシューター

ジャンルルーターシューター
開発People Can Fly
販売スクウェア・エニックス
キャンペーンクリアまで約15時間
総プレイ時間約40時間
おすすめ度★★☆☆☆

『Gears of War: Judgment』『Bulletstorm』でおなじみのPeople Can Flyが手掛けた新作ルーターシューター『Outriders』の感想を書いていこうかと思います。

体験版で全クラスを一通り遊びデバステーターで遠征ティア13まで進めたものの力尽き、テクノマンサーに浮気した人が書いています。

激しさと楽しさが増していく戦闘

本作はサードパーソン・シューティングではありますが、遮蔽物に隠れながら撃って別の遮蔽物に移動して…という、いわゆるカバーシューター的なゲームプレイがメインではありません

敵を倒すなりダメージを与えるなりして体力を回復するという殺られる前に殺れ的なシステムと、クラス固有の超能力スキル、殺意高めな敵の大群が合わさり、爽快かつスリリングな戦闘を楽しめるのが特徴です。

敵AIはかなりの手強さ。遮蔽物をうまく使いながらプレイヤーを袋叩きにしようとしてくるので、なるべく被弾を減らせるように動き回りつつ戦わなければならず、脳死の無双ゲーではなくなかなか緊張感があります。

マルチプレイでは最大3人での協力プレイが可能。
マルチでは敵の数・耐久力が上昇するものの、ヘイトの分散や他プレイヤーの蘇生などによって、ソロでプレイするときよりもゴリゴリ押せて楽しいです。

プレイできるクラスは4つ。
タレットを召喚したり氷結・毒攻撃ができる「テクノマンサー」、瞬間移動したり敵をスローにする領域展開ができる「トリックスター」、敵を燃やしたり爆発させたりできる「パイロマンサー」、床ドンで前方の敵をまとめて倒したり岩人間になれる「デバステーター」と、選んだクラス・スキルによってプレイ感が大きく異なります。
また、スキルツリーと装備の組み合わせによって、たとえ同じクラスであっても立ち回り方が大きく変わります

クラフトの項でも触れますが、装備品には様々な特殊効果が発動する「モジュール」が付いていて、撃った敵に雷が落ちる、倒した敵が爆発する、などなどゲームを進めるに従ってド派手で強力なものが手に入っていきます。

ゲーム後半ではスキルのクールダウンをかなり短めにできることも相まって、スキルブッパとド派手なモジュールで迫りくる敵をしばき倒していく戦闘は爽快感抜群で楽しいものでした。

自由度の高いクラフトシステム

ストーリーを少し進めると利用できるようになるクラフトでは、リソースを消費して装備品のレア度やレベルを上げたり、特殊効果を付与するモジュールを付け替えたりといったことができるようになります。

装備の強さの一端を担っているのが「モジュール」の存在。
ローリングでリロードができるようになる、カバーを使わないことで火力が上がる、スキルの発動回数が1増える、などなど効果は100種類以上にも及ぶため、武器と防具に付けるモジュール、使用するスキルとスキルツリーの組み合わせを考えるのがなかなか楽しいです。

レア以上の装備品にはモジュールが1つ以上ついており、これまでに入手したモジュールを安価で付け替えることができます。

こういったトレハン系のゲームでは、自分のビルドに見合った装備を見つけるのに苦労したりイラついたりすることも多いですが、本作のクラフトシステムでは、完璧とは言えないまでも十分に実用的な装備を容易に揃えることができます。

装備品を分解することでその装備に付いているモジュールを入手でき、クラフトに必要なリソースも得られるため、強モジュールが付いているがレベルが火力が追いつかなくなった装備や、使い道のないゴミ装備をしっかり活用できたり、レア度の低い装備でもステータス補正次第ではその時点での最強装備候補になり得たりと、クラフト周りのシステムは素晴らしいものだと感じました。

雑すぎるバランス調整

楽しいときは楽しい戦闘なのですが、雑すぎるバランス調整によってストレスがたまるのも事実。

まず、4クラスの中で明らかにデバステーターが弱すぎます。
デバステーターを除く3クラスには、モジュールの組み合わせ次第でリロード不要になる弾丸強化スキルがあり、殲滅力が段違い。

対するデバステーターは、火力を出すためには入手困難なレジェンダリーモジュールが必要不可欠で、他3クラスと比べてビルド構成の難易度が高すぎます。
キャンペーンではそこまで大きな問題というわけではありませんが、エンドコンテンツではデバステーターというだけでキックされることもあります。
デバステーターには他クラスにはない防御系スキルがありますが、タイムアタック形式のエンドコンテンツにおいては使い物になりません。

弾丸強化スキルに対してはバランス調整が入りましたが、弱いビルドに対するテコ入れではなく、出る杭を打つ下方修正だったのもマズいと思いました。

また、敵の攻撃が苛烈すぎてハメ殺される場面が多いです。
敵の近接攻撃を食らうと必ずノックバックし、大技を食らうと吹っ飛ばされ、立ち直る間やローリング回避時に無敵時間はありません。

獣型の敵は数に物をいわせて袋叩きにしてくるので、理不尽にハメ殺されることが多々あります。
凍結攻撃を食らうと一時的に身動きがとれなくなるため、これまた理不尽にハメ殺されることになります。
敵スナイパーの攻撃を食らうと、体力の6割程度が一気に削られるうえにノックバックするので、またまた理不尽にハメ殺されることになります。

本作はマルチプレイ前提でバランス調整がなされていると思える節があり、さらに現状ではマッチメイキングがほとんど機能していないこともあって、ぼっちプレイヤーにはかなり厳しいものになっています。

いまいちなエンドコンテンツ

本作には、キャンペーンクリア後のエンドコンテンツとして「遠征」というものが用意されています。

遠征はタイムトライアル形式のコンテンツになっていて、一定時間内にステージをクリアすることでティアを上げられるほか、より早くクリアすることで報酬がより良くなっていきます。

迫りくる敵の大群を他のプレイヤーと協力してなぎ倒したり、火力が足りなくてギリギリの戦いになったりとそれなりに楽しいものの、エンドコンテンツとしていまいちと言わざるを得ません。

問題点は主に以下の4つ。

  • 各ステージ(全部で14ほど)の構造や出現エネミーにランダム性が一切ない
  • ステージによって、クリアにかかる時間や難易度にバラつきがある
  • 長いステージをクリアしても、報酬が良くなったりはしない
  • タイムトライアル形式なので、火力を出せるビルド以外は選択肢から排除されてしまう

これらの点から、安定して早いタイムでクリアできるステージばかり選ぶようになってしまいますし、ビルドの自由度は皆無で(各クラスでおそらく2種類程度)、さらにマルチ推奨のコンテンツなのにマッチングしないので、割と早い段階で飽きがきてしまいました。

エンドコンテンツは現時点で遠征しかないというのが非常に痛いです。
ギアーズのHordeみたいなギミックありのWave形式モードがあったらなあ、と心底思います(そうすれば、サポート系やタンク系のビルドにも活躍の場ができるのに)。

大小様々な不具合・不満点

パッチにより解消されてきているようですが、不具合は多いです。

  • 装備品がすべて消失するというハクスラにあるまじき極悪非道なバグ(今はもう直ったらしい)
  • マッチメイキング・クロスプレイ・フレンド機能がうまくいかない
  • メニューで「ロビーに戻る」を選択するとそこそこの確率でクラッシュする
  • クエストトラッカーが誤った行き先を示す
  • 一部のモジュールの効果が突然発動しなくなる
  • マルチプレイ時の酷いラグ

不具合以外にも、足を引っ張る要素が多すぎるのが残念。
特に、敵やエリア構造にバリエーションがないので、作業感を感じやすいのが大きな欠点。

敵は人型と獣型の2カテゴリ。
マイナーチェンジやボスを除けば6種類ずつぐらいしかいません。
有効な攻撃や弱点といった戦略的要素はほぼ皆無なので、何が相手でもこちらのやることは変わりません。
人型との戦闘では必ず遮蔽物があちこちに置かれたアリーナ、獣型との戦闘では必ずひらけたアリーナで戦うことになり、人型と獣型が同時に出現することはありません。

本作はオープンワールドではなく、小分けになったエリアをクリアしていく形式になっています。
どのエリアも、複数のアリーナとそれをつなぐ通路で構成されており、ユニークなギミックもないので、風景が違うだけで全部一緒です。

また、別のエリアに移動する場合は、ファストトラベルポイントからエリアのスタート地点にあるキャンプに移動し、そこで特定のキャラに話しかけて別のエリアのキャンプに移動する必要があり、かなり面倒です。2021年のゲームとは思えませんでした。

その他にも細かい不満点がけっこうありました。

  • マップ上に自分の正確な位置が表示されず、ミニマップは単なるレーダーで方角もないので、方向が全くわからない
  • 飛行している敵がウザすぎる
  • 敵の攻撃の命中精度が異常に高い(特にスナイパーと毒モンスターが鬼エイム)
  • 敵しか使わないカバー用の遮蔽物が至るところにあって邪魔くさい
  • 銃撃自体には爽快感がほとんどない
  • ボス戦はひたすら体力が高いだけ
  • 敵が大技を使う前には攻撃範囲が地面に表示されるが、実際の当たり判定はそれよりも広いため回避できないことが多々ある
  • ゲーム開始時のサインインに異常に時間がかかる
  • オフラインプレイができず、プレイ中にポーズもできない

おわり

アクション部分は面白くクラフトシステムも良いと思いますが、足を引っ張る要素が多すぎてなんとも。

エンドコンテンツには手を出さない人、エンドコンテンツの作業的なゲームプレイが苦にならない人、一緒に遊ぶフレンドがいる人には、ゲームパス経由・もしくは6割引以下のセール価格という条件付きならギリおすすめできるかな。

現状では、フルプライスで買うのは絶対におすすめしませんし、ぼっちのプレイヤーにもおすすめしません。

そんな感じでした。

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