今回は、アクション要素が追加されたポケモンシリーズのスピンオフ作品『ポケモン レジェンズ アルセウス』のレビューをお届けします。
ぼくにとって初代『赤』が最初で最後のポケモンだったので、25年ぶりのポケモンということになります……時が経つの早すぎ。
ジャンル | アクションRPG |
開発元 | ゲームフリーク |
発売元 | 任天堂/株式会社ポケモン |
総プレイ時間 | 50時間(全ポケモンゲット、メイン・サブ任務コンプ、団員ランクココノツボシ) |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
いいと思った点
自分でボールを投げて捕まえる楽しさ
本作の一番の魅力は「自分でボールを投げつけて、フィールドをうろついているポケモンをゲットできる」という点(その前に、3D空間で目の前をポケモンが闊歩しているというだけでちょっと感動)。
バトルでポケモンを弱らせてコマンドでポケモンボールを選んでゲットだぜ!というメインシリーズとは異なり、本作ではTPSのようなかたちでボールを投げつけてゲットすることができる(もちろん、従来通りの捕まえ方もできる)。
ポケモンをゲットしたときにボールから出る蒸気や、背後からボールを当てたときのエフェクトが良くできていて、ついついクセになってしまう気持ちよさ。
ポケモンはただ黙って捕まってくれるわけではなく、こちらを見つけたらそそくさと逃げてしまう臆病なポケモンや、攻撃を仕掛けてくる凶暴なポケモンもいる。
そうしたポケモンに見つからないよう捕まえるという、ステルスゲームチックな要素も大きなポイント。
草むらに隠れながら近づいたり、木の実やエサなどを使って気をそらしたり、はたまた泥だんごをぶつけて強引に動きを封じたり。
昔は草むらを歩くとエンカウント率が上がる仕組みだったが、本作では草むらに隠れることで気づかれにくくなるという、真逆とも言える仕組みになっているのも面白い。
探索とポケモンバトルがシームレスに展開する
フィールドをうろついている野良ポケモンに、捕まえたポケモンが入っているボールを投げつけることで、その場でシームレスにポケモンバトルへと移行する。
昔のように、音楽とともに黒い渦巻きで画面が遷移することはない。
木や鉱床からポケモンが飛び出てきたり、状況によっては周りのポケモンも戦いに加わって一対多の戦いになることもある(範囲攻撃が無いので多数戦はまったく面白くないけど…)。
ポケモンバトルの最中でもプレイヤーキャラを操作でき、目の前でポケモンがぶつかり合う様を観察できるので、迫力・臨場感がある。
また、気づかれてからバトルに持ち込む際でも、背後からモンスターをぶつければ相手の行動を1,2ターンは封じられるので、敵に行動させる間も与えず弱らせてゲットすることも可能な点も良い。
素材集めやポケモンゲットの小気味いいテンポ感
ボールを投げるのとポケモンをゲットできるのと同様に、捕まえたポケモンが入っているボールを投げることでクラフト用素材を収集することができる。
トレイラーで見たときはテンポが悪かったり面倒臭くなったりしそうだなと思ったけど、それは勘違いだった。
ポケモンや素材の回収は自動で行われ、投げた後はすぐさま別の行動に移れるので、ぽいぽいポケモンを投げて素材を回収しつつ、ついでにそばにいたポケモンもゲットでき、小気味よくプレイが楽しめる。
基本的にアクション面は「投げる」という動作だけで完結している、というのは地味にスゴい。
バトルをしなくてもいい自由さ
本作では「バトルをしてもしなくてもいい自由」が与えられている。
昔は、新しいポケモンをゲットしたり、ポケモンを育てるためには必ずバトルを行わなければならなかった。
対して本作では、任務上で必ず発生する場合を除けば、ほとんどバトルをしなくてもいい作りになっている。
前を通るだけで因縁をつけてくる厄介なトレーナーもいないし(終盤にはこっそり出現するようになる)、野生のポケモンに見つかってもこちらがポケモンを投げつけない限りバトルは発生しない。
経験値は「ポケモンを捕まえる」「ポケモンで素材を収集する」ことで十分に得られるし、ポケモン図鑑のタスクも道すがらポケモンを捕まえていればストーリー進行に問題ない程度には進められる。
強力なオヤブン個体も、アイテムをうまく駆使すればバトルで弱らせることなく捕まえられるし、ボス戦に相当するキング戦ではポケモンバトルに持ち込むよう指示が出るけど、それを無視しても勝てるようになっている。
ポケモンとのふれ合い
ポケモンを連れ歩く機能がないのは残念だったけど、手持ちのポケモンをいつでもフィールド上に出すことは出来て、これがなかなか良い。
ポケモンの種類ごとのサイズ感や、通常個体とオヤブン個体のサイズの違いを見て楽しめたり、Aボタンで話しかけてA/B/Yボタンで細かいリアクションを見ることができたり、一部のポケモンはこちらのしゃがみアクションに対して反応を見せたりと、結構細かい作り込みがされている。
近くに野良ポケモンがいない場合はZLボタン長押しで一人称視点モードになるのでじっくり観察することもでき、ポケモン好きにはたまらない要素だと思う。
イマイチに感じた点
全体的にはかなり楽しめたけど、同時に残念に思う部分も多かった。
死ぬほど面倒くさい牧場の管理
ソート機能がないのでダブりポケモンを整理するのが困難だったり、まとめて逃がす機能の解放が遅かったりと、牧場のUIはっきり言ってかなり酷い。
捕まえまくることを推奨するゲームデザインなのにこれはいただけない。
すぐいっぱいになるポーチ
道具を持ち歩くためのポーチの枠と、フィールド上に散らばるアイテムの数が釣り合ってない。
ポーチの枠はギンガ団本部にいるNPCにお金を払うことで拡張できるけど、何故か一枠ずつしか増やしてもらえない。
そのうえ、要求金額が徐々にエスカレートしていくため、手に入れるお金の殆どがポーチの拡張に消えることになる(10万を払った今でも、油断するとポーチがいっぱいになる)。
バトル
アクションによるリアルタイムゲットが可能になったにもかかわらず、バトルは旧態依然としたシステムのままだったは非常に残念。
行動順の表示や早業・力業の切り替えといった昔にはなかった要素も見受けられるけど、先に相手の弱点の力業を叩き込んだ方が勝つというバランスなので、あまり活かされてはいない。
相手が野良ポケモンだろうがオヤブンだろうがトレーナーだろうがサクッと決着がつくというテンポ感だったり、派手なエフェクトを散らしながらポケモンがぶつかり合う様を見れる点だったり(特にオヤブン同士の対決は怪獣バトルの様相)、良いと思う部分はあるものの、戦略性や奥深さは感じられなかった。
物足りないフィールド
特定の場所にしか出没しないレアなポケモンやオヤブン、ごく低確率で出現する色違い、ハイリスク・ハイリターンでスリルのある「時空の歪み」(時空の歪みに関しては完全初見で行ってみたほうが楽しいので割愛)、フィールドに隠れている28匹のアンノーンなど、探索のし甲斐はそこそこあるので空っぽなフィールドというわけではないものの、物足りなさは否めない。
ダンジョンや特殊なイベントがこれといって存在しない、野良ポケモンの動きが歩くか寝るかぐらいしかない、生息するポケモン以外にエリア間の違いがない、といったことが原因だろう。
いまいち使いづらいポケモン図鑑
特定のポケモンのページをすぐさま開けるのは、フィールド上のポケモンをロックオンしたときだけ。
バトル中に図鑑を開けない、手持ち・牧場のポケモンから図鑑ページへのアクセスが用意されてないなど、「図鑑のタスクをこなす」というメインのゲームループとUIが噛み合っていない。
おとしものシステム
本作では、野生ポケモンの攻撃を食らいまくったり高所から落ちたりしてプレイヤーが力尽きると、ポーチの中身の一部を失ってしまう。
自分で回収できるのかと思いきや、オンラインに接続して他人に回収されるのを待つしかないという仕様。
Nintendo Onlineへの加入が必要になり、回収されるかは運次第。
一部の作業感がちょっとキツい
真のラスボスに挑むためには全てのポケモンゲットが条件になっていて、そのためにはフィールドに散らばっている107のともしびを集める必要があるとか、たまに発生する時空の歪み内でたまに出てくるポケモンを捕まえる必要があるとか、進化の条件を満たすためにバトルで特定の行動を何回もしなければいけないとか、ちょいと作業感が強め。
その他の諸々の仕様
- 一度にひとつしか任務をトラッキングできない
- 別エリアにすぐ移動できない
エリアを移動したい場合は、必ず博士に報告→拠点に移動という行程を挟まないといけない - イダイトウ以外のライド中はボールやアイテムを使えないので、頻繁に乗り降りする羽目になる
- 移動中にコンパスもミニマップも表示されない
- フォトブースの機能が少なすぎる。ポケモンの位置や向きを変えたり複数のポケモンを配置したり、ズームしたりできない
- 徒歩時だと左スティック押し込みでダッシュなのに、ライド中はBでダッシュ
- ダッシュはなぜかスタミナ制で、しかもスタミナゲージは見えない
おわり
正直そんなに期待はしてなったんですが、予想外にかなり楽しめました。コレクター気質があって、なによりキャラクターとしてのポケモンが好き、という人にはオススメ。
ポケモンというブランドがあってこそ成り立っているゲームという側面は否定できないので、ポケモンに全く興味がない人にはオススメできないかな。
また、ストーリーを進めるためにはポケモン図鑑のタスクを埋める必要があるので(乱獲していれば自然と埋まる程度ですが)、とりあえずサクッとストーリーを進めたいという人にも向かない作品かと思います。
文句は多いですが、個人的にメインシリーズとは別に発展させていってほしいです。
そんな感じ。ではまた。
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