
今回は、カルトクラシック『Psychonauts』の16年ぶりとなる続編『Psychonauts 2』の感想をお届けします。
先に結論から言っておくと本作は超傑作3Dプラットフォーマーです。
こんな駄文を読んでないで今すぐプレイしよう。
ジャンル | 3Dプラットフォーマー |
開発元 | Double Fine Productions |
発売元 | Xbox Game Studios |
総プレイ時間 | 約25時間 |
おすすめ度 | ★★★★★★ |
ストーリー
主人公ラズプーチンは、世界を股にかける超能力エージェント「サイコノーツ」に憧れる超能力少年。
サイコノーツを養成するサマーキャンプで、コーチことオレアンダーによる少年少女脳みそ奪取事件を見事解決したラズは、正式にサイコノーツメンバーとして迎えられることとなった。
そこに、脳みそ奪取事件に関与していたロボトによって、サイコノーツの最高責任者トゥルーマンが攫われたという報せが入る。
リリ、サシャ、ミア、コーチらと共に「菱形の遺跡」からトゥルーマンを助け出し、ロボトを捕らえることに成功したラズ。
ロボトの精神世界にダイブしたラズは、かつてサイコノーツとの戦いに敗れ死亡したはずの、マリギュラなる超能力者が誘拐事件に関係していることを突き止める。
さらに、助け出したトゥルーマンは別人のように人が変わっており、なんとサイコノーツ内には裏切り者がいる可能性も浮上して…?
サイコノーツのインターンとなったラズの新たな冒険が今始まる!
というのが前作までを含めた今回のあらすじ。
16年前の1作目および2018年に発売されたVRタイトル『Psychonauts in the Rhombus of Ruin』からの続きですが、ゲーム開始時にラズくんがこれまでのあらすじを説明してくれるので、シリーズ初プレイでもたぶん大丈夫(ちなみにぼくは1はプレイしましたが、VRは持ってないので『Rhombus~』はやってません)。
もちろん、1をプレイしているとストーリーをより楽しめるだけでなく、1からどれだけ進化したかを堪能できるので、プレイしておくことを強くおすすめします(XboxユーザーはGamePassで遊べます)。
3Dプラットフォーマーというジャンルではストーリーはオマケみたいな感じの作品が多いですが、本作はストーリーがめっちゃ良いです。
二転三転する展開に「えっマジで!?」と驚いたり、笑ったり感動したりと本当に楽しめました。
MSファーストタイトルのくせに日本語化されていないのはどうかと思うぜ。

ストーリーを盛り上げる魅力的なキャラクターも多数登場。
先輩サイコノーツのサシャやミア、ツンデレかわいいリリといった前作から続投しているキャラはもちろん、本作で初登場するサイコノーツメンバーも皆生き生きとしています。

惜しいと感じたのは、インターンのメンバーは序盤のミッション以降出番がないまま終盤までいってしまうという点。
探索中に彼らと話をすることでより理解が深まるような会話が用意されているものの、本編では掘り下げが一切行われません。
彼らの能力を生かした見せ場の演出が非常にすばらしかっただけに残念。
ゲームプレイ
個性的なレベルデザイン
マッドデンティストの口の中から始まり、病院カジノ、フェス会場にテーマパークのライドなどなど、ステージの雰囲気や色調、質感、演出、ギミックなどのバリエーションがとんでもなく豊富。
物理法則に縛られない精神世界が主な舞台ということを活かした、他のゲームでは見たことがない奇妙な構造になっていたり、一つのステージ内でも雰囲気がガラッと変わるエリアもあったり、とにかく飽きさせず楽しませてくれます。
前作同様、キャラの内面描写を内包したレベルデザインというのも大きな特徴。
キャラの個性やそのキャラがどういった悩みを抱えているのかが、ステージ内の障害を乗り越えていくと同時に描かれていきます。
ゲームプレイとストーリーの進行が融合している、これぞPsychonautsの最大の魅力。
各ステージにおけるキャラ描写の完成度が高い弊害として、本筋が分からなくなってしまう問題は前作と同様。
特に中盤以降のステージは結構なボリュームがあるので、現実世界での目的を見失ってしまいがち。
ただしこの問題は前作よりもマシになっていると感じました。
というのも、前作では本筋に絡まないキャラの精神世界が多く「結局何でこいつの頭の中に入ったんだっけ?」と思うことも多かったのですが、本作では全キャラが重要人物になっているため。
全てが終盤の展開への積み重ねになっていたのがとても良かったです。
進化したアクション
前作はアクションの操作性が固かったり超能力の利便性が微妙すぎたりといった部分がありましたが、本作ではその辺がきちんと現代的に進化していて、快適・爽快なアクションが楽しめます。
Psychonautsのアクションの魅力はなんと言っても超能力。
スプリント・グライドアクションに相当する「Levitation」や遠距離攻撃の「PSI-Blast」、物を掴んで投げつける「TK」、範囲内の敵やオブジェクトを燃やす「Pyrokinesis」といった能力はもちろん、遠くの場所に移動したり敵を引き寄せたりする「Mental Connection」、範囲内の敵やオブジェクトの動きをスローにする「Time Bubble」といった能力が登場(前作に登場した超能力に関しては操作性が大きく異なっており、メチャクチャ使いやすくなっています)。
これらの能力を使って地形を走破したり、パズルを解いたり、敵を倒したりしていきます。
プラットフォーマーがメインなので登場する敵の種類はさほど多くはないですが、敵によって有効な超能力が異なっていたり、超能力をかけ合わせたりできるので、戦闘パートも十分楽しめました。
ただし、超能力は全8種類のうち一度に4種類までしか装備できないため、ギミックや戦闘のたびに付け換えを行う必要があるのが少し面倒。
RB+ABXY、LB+ABXYとかにしてもよかったんじゃないかと思いました。
楽しすぎる探索
現実世界・精神世界ともに、ランクアップに必要なFigments(絵のようなもの)やPSIカード、各キャラの辛い過去をしまってある金庫、体力の上限を上げるHalf Mindなど、収集アイテムの数が非常に多いというのも大きな特徴。
収集アイテムを集めることでラズのランクが上がり各種能力を強化できるようになっていますし、なにより操作性の良さ・ビジュアルの良さが相まって、とにかく探索しているのが楽しかったです。
楽しすぎてストーリーが全然進みませんでした。
3Dプラットフォーマー好きのツボをきっちりおさえてます。
気になった点
マジでないのですが、強いて挙げれば以下の2点。
ピンが3つしかつけれない
前作にはなかった要素として、装備することで超能力を強化できるピン(アクセサリ)がショップで購入できるようになっています。
「Levitationのボールの色を変える」「TKで動物をなでられる」といった意味のないものから、「与ダメ被ダメ倍増」「Time Bubbleの効果時間を延ばす」「アイテムの価格を半額にする」などなど20以上のものが用意されているのですが、一度に装備できるのはわずか3つ。
戦闘時に役立つもの、探索時に役立つものなど用途が限定的なので、ピンを活用するためにはいちいちメニューを開いて付け換えを行わなければならず面倒。
「戻れなくなる地点」が早すぎる
一般的なゲームであればラストダンジョン前ぐらいで出てくる「やり残したことがあったらやっておこう!」みたいなメッセージが、かなり早めに出てきます。
「えっ!?もう終わりなの!?」とビックリしましたが、実際はそこからさらに倍ぐらいのボリュームがありました。
このメッセージが出た後は(僕の勘違いでなければ)ファストトラベルが使えず、別のエリアへの移動も出来なくなります。
最後の能力は、この地点を過ぎた後のステージで手に入るので、全てのアイテム回収が出来るのはゲームクリア後。
クリア前に出来ることは全てやっておきたい派にとって、この仕様はちょっと困ったものでした。
おわり
ぼくの中では今年のGOTY候補!というぐらいの勢いで楽しめました。
前作から時間が経ちすぎた続編というのは得てしてコレジャナイ感満載なものになりがちですが、本作は紛れもなく前作から正統進化を遂げた続編でした。
こちらの期待通り、いやそれ以上の出来で感謝感激。
また続編が作られるとしたら、もう少し短いスパンで出してほしいですね。
とにかくオススメです!
PSストアの価格設定が明らかにおかしい件だけは気になりますが…

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