『The Messenger』を手がけたSabotage Studioの新作RPG『Sea of Stars』をクリアしたのでレビューをば。
寄り道無しでメインストーリークリアだけなら20時間ぐらいのボリュームでした。
結論から書いておくと、面白くなくはないけどかなり期待外れ。
これがメタスコア88ってマジ!?オクトラ2より高いとかウソやろ…ってのが正直な感想です。
『The Messenger』の前日譚という設定ですが、そちらはプレイしていなくても問題ないようになっていました。
※もちろん、プレイしていればニヤリとできる部分はちょこちょこっとあります
- プレイ時間:約24時間
- 達成実績:29/42
- 使用ハード:Xbox Series X
雰囲気”だけ”は抜群
とにかく精細で生き生きしている見事なピクセルアート、耳馴染みの良い音楽、序盤は興味を掻き立てられる王道のストーリー、バリエーション豊かなダンジョン、移民の町的な要素、それなりに面白い「ホイールズ」というミニゲーム、釣り。
パッと見た感じは良ゲー感が漂ってます。
実際、デモ版を遊んだときは「これはなかなか期待できそうだ」と思っていました。
『クロノトリガー』っぽいエンカウントやコンボ、ワールドマップ。
『スーパーマリオRPG』っぽいバトル時のタイミング入力やレベルアップ時のステータス選択。
あの頃のRPGっぽい雰囲気があればそれだけで満足!という人であれば、文句なしにオススメできます。
一方で、深みのあるバトルシステムや魅力的なキャラクターを期待している人は回れ右をした方がいいかもしれません。
テンポが悪い浅いバトル
- タイミングよくボタンを入力することで攻撃・防御が強化される
- 通常攻撃でMP回復
- 通常攻撃時に生成される生マナを使うことで通常攻撃に属性を付与できる
- 敵の大技詠唱時には属性アイコンがいくつか表示され、規定ターン以内に全ての属性を当てられれば無力化できる
- 攻撃や防御でゲージが貯まると、強力なコンボが発動可能になる
といったシステムのおかげで、序盤はそこそこ楽しめます。
が、ゲームを始めて5時間くらいで、思ったよりもずっと底が浅いことが分かってきます。
まず、各キャラが覚えるアビリティは全部で3つ+必殺技だけです。
2キャラが力を合わせて放つコンボ技もありますが、必殺技もコンボもゲージを貯めるのに時間がかかるため、頻繁には使えません(ゲージはバトル毎にリセット、必殺技はまずボス戦でしか使えません)。
そして一部のアビリティ・コンボ・必殺技が突出した性能を持っているため、バランスは全く取れていません。
技のバリエーションがほとんど無いことも相まって、最初から最後まで同じ技を使い続けることになります(「ムーメラン」のアニメーションを何度見たことか)。
レベルアップ以外での成長システム(ジョブ、スキルツリー)は一切なく、装備品も数値が上下するだけなので、キャラカスタマイズの深みもありません。
敵味方の攻撃アニメーションに無駄に力が入っているので、はじめの頃は「よく動くなあ」と感心できましたが、途中からは「さっさと動け!」と思うようになってしまいます。
タイミング入力というシステムがある以上、早送りなどはできません。
雑魚を倒しても得られるものがほとんど無いことに加えて、レベルアップのテンポが遅く(クリア時点でレベル20)、そもそもレベルアップの恩恵自体も薄いため(HP/MPの上昇だけしか恩恵が感じられない)、戦闘そのものに意味が無いように感じられます。
ボス戦には特にギミックがなく、HPの減り具合で行動パターンや形態が変化するわけでもないので、ひたすら殴り合うだけで眠たくなります。
ボスのHPはやたらと多く、単調さに拍車をかけています。
結果として、序盤と終盤とで内容に変化がほぼ見られない単調なバトルという印象だけが残ってしまいました。
クラシックなRPGを手本にしながらも新しくやりがいのあるバトルシステムを生み出しているゲームが多くある中で、本作のバトルシステムはそれらと比肩するものではなく、やや時代遅れな感すらあったのは残念です。
勝手に納得して進むストーリーと薄いキャラ
世界を救う使命を託された2人の少年少女、同じ使命を背負った先輩たちと裏で暗躍する謎の組織…という序盤は興味を保てていたのですが、ゲームを進めるにつれて次第に興味が薄れていき、ラスボスを倒したときには何の感情も湧いてきませんでした。
原因はおそらく、キャラクターの掘り下げがめちゃくちゃ浅いからだと思います。
特に主人公の2人は影が薄く(もう名前も覚えていないぐらい薄い)、明るい性格ということしか伝わってこないし、個性の違いが全く分からないので、わざわざ2人もいる意味が分かりません(『The Messenger』で出てきたのが2人だったからという設定上の都合でしかない)。
ほかにも、やたらと持ち上げられるアイツ、なんだか設定はありそうだけどよく分からない展開、幻視を見て勝手に納得してプレイヤーを置き去りにするアイツ、行動原理がまるで分からないキャラのオンパレードで、途中からどうでもよくなってしまいました。
あと、翻訳は基本的に丁寧なのですが、所々で癖の強い口調(「~だし!」)が出てくるのが違和感マックスでした。
おわり
真エンド達成の条件が面倒くさいことこの上ないのでギブアップ。
各地に隠されたアイテムを集めないといけないのに、ファストトラベルがなく、ダンジョンから即離脱ができないのが致命的でした。
あと、地味に船の操作がやりにくいです。なんでリモコン操作タイプなんだろ。
この手のRPGが遊びたいなら、『オクトパストラベラー2』か『Chained Echoes』の方が断然オススメです。
ではまた。
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