
今回は、PSPlusの100円セールで買った『The Surge(ザ サージ)』のレビュー/感想を書き綴っていきます。
1周クリアに約17時間(コアパワー65)、トロコンまでにかかった時間は30時間ほどでした。
DLCは未購入。
今作は、『ロードオブザフォールン』を手がけたDeck13によるARPG。
ロードオブザフォールンと同じく、フロム・ソフトウェアのデモンズ、ダクソ、ブラボ(ソウルボーン)にかなり影響を受けているものの、単なるパクリではありません。
SF&ディストピアな世界観と、それに合わせたいくつかのシステムによって、オリジナリティを十分に感じられるものになっていました。
ストーリー
主人公は、下半身不随のおっさんウォーレン。
エクソスーツで歩けるようになる!とウキウキでCREO社の雇用受付に行ってみたはいいものの、麻酔無しで激痛手術をされたあげく、暴走機械共が跋扈する地獄に放置されるという急展開で幕を開けます。
ストーリーの語り口もソウルボーンに影響を受けていて、ハッキリと分かりやすいストーリーは用意されてません。
人口増加に伴う大気汚染を解決するため、CREOという会社が衛星を打ち上げ、リゾルブというガス的なものを散布。
一時は事態が好転するものの、しかしリゾルブには毒性があって、ウンタラカンタラ。
最終的に、ごく一部だけが助かるような計画(というか、ウォーレンに指示を出している存在の得する計画?)を成功させるため、たまたまウォーレンが利用された、という感じだったのかな?
2通りのエンディングが用意されていてどっちも見たのですが、ストーリーをあまり理解できなかったので、何か知らん内に終わった感がすごかったです。
ソウルボーンと違って主人公は固定なんですが、残念ながらウォーレンには魅力・個性がまったくありません。
「お前は誰だ?」「なにか知っているのか?」ぐらいしか言わないし、自分の考えとかも特に無い。
立ち塞がる敵の四肢をもぎながら、実態のわからない謎の女性の指示に従い進んで行くだけ。
これなら、主人公が固定である必要性がまったくないと感じました(それを踏まえてなのか、続編では主人公が固定じゃなくなる模様)。
道中で出会うことになるNPCも大して存在感がなく、ある親子以外は記憶に残りませんでした。
部位切断システム
オリジナルなシステムの最たるものが、部位ロックオンと切断システム(部位ごとに攻撃できるのはフォールアウトとかでもありますが)。
敵には頭や腕といった部位が設定されていて、特定の部位を重点的に攻撃していると、トドメのフィニッシュブロー時に切断できるようになります。
切断した部位に装備がついていれば、その装備が作れるようになったり、クラフト・アップグレード素材が手に入る。
装備が付いていない部位は切断しても何も手に入らない代わりに、打たれ弱い。
なので、装備・素材をとるか、倒しやすさをとるかという、ちょっとした戦略性が生まれています。
頭の装備を作る・アップグレードするには頭の装備をもぎ取る必要があり、ランクの高い素材が必要ならいい装備をもぎ取る必要がある、という直感的かつランダム要素のないクラフト・アップグレードシステムはかなり好感触。
首をもいだり、胴を真っ二つにしたりと、武器種ごとに異なる切断モーションは作り込まれていて、「敵を殺害してる感」がビンビンな部位切断システムはすごくイイと思いました。
ただ個人的な好みで言えば、素材じゃなく装備そのものがどんどん手に入っていくハクスラにすればよかったのに、とは思いました。
戦闘のバランス
敵は雑魚でも火力が高すぎるうえに、こちらの攻撃に対して怯みにくい。
雑魚の一撃すら致命傷になるため(しっかり体力増強してないと、ワンパンorツーパンでぶっ殺される)、空振りさせてから殴るという後出しジャンケンの繰り返しになってしまいがち。
ガードのスタミナ消費量が多く、スタミナが足りていなければダメージを受けてしまうため、どうしてもステップによる回避に頼らざるを得ません。
それに加えて、バフ・回復以外の消費アイテムがなく、サブウェポンもない(戦闘補助のドローンはあるが、戦闘に幅を持たせるほどではない)ので、戦闘が少し単調に感じてしまいました。
ジャスガからのカウンターに加え、しゃがみ/ジャンプで上段/下段攻撃を避けてカウンターという『SEKIRO』の先取りと言える要素があったのに、敵の高すぎる火力と攻撃の出の速さが相まって上手く活かせていなかったのは非常に残念。
部位切断システムはすごく良かったので、敵の火力、モーション、スタミナ消費などの調整が上手いこといっていれば、戦闘部分では高く評価されていたはず。
なので、『The Surge 2』には期待しています(昨年の発表から音沙汰ないけど)。
エリアのデザイン
エリアは6種類。
シームレスに繋がっているわけではなく、攻略順路が変化したりするわけでもない、非常にリニアなもの。
かなり入り組んだ構造をしていて、収集アイテムがあちこちにあるので探索しがいがあります。
しかし、エリアが変わっても景観の変化が乏しく、未知の領域を開拓していくワクワク感は皆無でした。
CREOという会社の施設?を進んでいくという設定なので、景観の変化が乏しいのはしかたがないことなのだけども、もうちょっとやりようがあったように思える。
エリアに1個だけある拠点を中心としてショートカットが繋がっており、狭い通路は見た目が全て同じ。
なので、同じようなところをグルグル回らされている感じというか、全体的に狭苦しい感じがしました。
敵の配置も、パッと見1体に見えるけど死角にもう1体いる、というパターンのものが多すぎます。
実は違う通路から攻めると楽に行けるといった攻略の幅もあまりありません。
そのため、ほとんどの場合ドローンで釣りだして1体ずつ倒すか、ダッシュでスルーするかの2通りしか無く、エリアの攻略自体も狭苦しく感じました。
道中の難度が高いのでショートカットが開放出来たときの安堵感はなかなか良かったのですが、エリアデザインが良いとは言えないかなと思います。
ボス戦
エリアには当然ながらボスが待ち構えています。
しかし、全部で5体(そのうち1体は使い回し)と数が非常に少ないし、大して強くもありません。
道中の雑魚は強すぎるのに終点にいるボスは弱いという、他の死にゲーとは真逆のバランス。
ジャンルは色々あれど、いわゆる死にゲー(ソウルボーン、仁王、SEKIROなど)では、激闘の末、試行錯誤の末にボスを倒せたときの達成感が醍醐味ですが、今作ではそれが味わえませんでした。
雑魚2体に囲まれたときのほうがよっぽど辛い。
ボスを倒すと武器がもらえるのですが、特定の倒し方をすると違う武器がもらえるというシステムは面白いと思いました。
周回の楽しさ
なんだか全体的に文句っぽくなってしまいましたが、つまらないゲームというわけでは決してありません。
今作には文句を言いつつやり続けてしまう謎の中毒性があり、周回に入るとさらに楽しくなってきます(ぼくは3周目に突入)。
なぜ周回で楽しくなるのか、それには今作の「インプラント」というシステムが大きく関係しています。
インプラントにはステータスの上昇や回復薬など、多種多様なものが用意されていて、コア消費量とにらめっこしながら、どれを付けるか我慢するかを選択する必要があります。
インプラントの装着枠はコアパワー(レベル)と、ストーリー後半のアップグレードで増えていき、容量もコアパワーによって増えるため、ゲームを進めれば進めるほどインプラントを多く装着出来るようになっていきます。
また、周回することで効果の高いインプラントが出てくるようにもなります。
いわゆるビルドの幅が広がっていくため、ゲームをやればやるほど楽しくなるというわけ。
エネルギー効率を高めた無限回復ビルドやドローン撃ちまくりビルド、経験値稼ぎビルドなど、遊び方の幅が広がり、エンドコンテンツの楽しみがちゃんと用意されている良いゲームだと思います。
その他ちょっと気になった点
アプリケーションエラーがちょっと多い(6回ぐらい遭遇)。
幸いオートセーブがきくので落ちた直前からの再開が可能ですが、このときなぜか体力が激減しているというバグ付きなので、ちょっとイラッとする。
ファストトラベルや拠点に一瞬で帰還するアイテムがないので、エリア間の移動や再探索が面倒。
装備品の数は多いのに、クラフト・アップグレード・装備付け替えメニューが見づらい。
ソートもクソ。
他のゲームやったことないの?と思うぐらい。
装備クラフト時と装備付替え時に、現在の装備と比較するときのボタン操作が違う。
また、アップグレード時にはなぜか比較できない。
おわり
部位切断とインプラントというシステムによって一定の面白さはあります。
しかしながら、その他の部分の調整、バランス感覚が荒いという感じが否めませんでした。
ポテンシャルは高いと思うので、続編に期待(ちょこっとプレイ動画が上がってるけど、それを見る限り戦闘は楽しそう)。
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