【ネタバレ】『TENET テネット』のオペラハウスシーンを徹底解説・考察してみた!

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET(テネット)』を2回鑑賞して理解した気になったので、自分なりの解釈で解説・考察を書いていきたいと思います。

今回は映画冒頭、オペラハウスで起きたテロ事件についての解説・考察です。

映画内で起きたことを全て順を追って解説していくといつまでたっても完成しなさそうなので、解説・考察のし甲斐がある「オペラハウス」「バーバラのレクチャー」「タリンでのカーチェイス」「最終決戦」、この4つのシーケンスに絞って、順を追って細かく解説・考察していこうと思っています。

もちろんネタバレ全開です。

「あれはどうなの?」という疑問や、「ここは違うんじゃない?」というツッコミも大歓迎です。

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概要

  • ウクライナの首都キエフにあるオペラハウスが、テロリストによって占拠される
  • 前もって外で待機していた主人公率いるCIAチームは、到着したウクライナ国家警察に紛れてオペラハウスへと潜入
  • テロリストと国家警察の戦いを尻目に、主人公は2階席にいるVIP(CIAが送り込んだスパイ)のもとへと急行
  • 主人公はVIPを連れて一階の客席の合間を縫って脱出を試みるも、その最中に国家警察が客席に爆弾を仕掛けているところを目撃する
  • 主人公を仲間だと勘違いした国家警察の1人が、爆弾を主人公に渡し「仕掛けろ」と指示するが、現地の言葉が分からない主人公は一瞬戸惑ってしまう
  • このことで主人公の身分偽装がバレるが、間一髪で仲間に助けられる
  • クロークチェックで241が入っているらしい謎の物体を回収し、別の部屋でVIPを連れたチームと合流する
  • VIPと仲間の服を交換させ、外で待機しているバンではなく、別のルートで241とともに脱出させる
  • 民間人を見殺しに出来ない主人公は、もうひとりの仲間とともに客席に仕掛けられた爆弾の回収に取り掛かるが、ここでまたしても国家警察に見つかってしまう
  • 危機一髪のところで、逆行する銃弾を”撃った”何者かに助けられる
    ※その何者かは、バックパックに赤い紐で硬貨のようなものをぶら下げていた(つまりニール)
  • 回収した爆弾を間一髪で上階にほうり投げた主人公と仲間は、オペラハウスを脱出し外で待機しているバンに乗り込む
  • ドライバーたちの裏切りにあって拘束される
  • 車両基地で拷問にかけられた主人公は自殺ピルを飲み込み、口を割る前に自死を選ぶ
  • 死んだはずの主人公は、船の上で目を覚ます
  • 目覚めた主人公に、フェイと名乗る男は言う。「これは試験だった」
  • 主人公は、超国家的組織の一員として、来る第三次世界大戦を未然に防ぐという任務を課せられるのだった
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詳しく解説してみる

このシーケンスは、冒頭の”つかみ”にしては情報量が多すぎるというか、ハッキリ言って背景が込み入りすぎです。

物語が進むと、「セイターがテロを企てた」「241はアルゴリズムの一部だった」「主人公を救ったのはニールだった」という断片的な情報が明らかになっていきますが、最後まで観てもこのオペラハウスでのテロ事件の全貌はいまいち分からないままなんですよね。

まあオペラハウスでの出来事は全貌が分からなくても本筋には影響しないのですが、でも可能な限り理解したい!ということで色々考えてみました。

まず、事件に関与している組織・人物はおそらく以下のとおりです。

  • CIA
  • TENET
  • セイター
  • ウクライナ政府

CIAは、オペラハウスでテロが起きること、そしてテロの目的がオペラハウスの占拠ではなく241の奪取だという情報を入手し、VIPの救出と241の回収のために主人公チームを派遣します。

TENETは、TENETのエージェントとして相応しい者を見極めるため、そしてCIAの作戦を秘密裏にサポートするためニールを派遣します。
そして、自殺ピルを飲み込んだ主人公を救出します。

セイターは、テロを仕組んだ上であえてテロが偽装だという情報をCIAに流し、CIAに救出・回収作戦を実行させます
そして現地の協力者として部下を送り込み、241を回収してくる主人公チームをバンで待ち伏せさせます。

ウクライナ政府の目的は、テロに乗じた241の回収と関係者の排除です。
特定の人物だけを排除するのは怪しすぎるので、表向きは国家警察による爆破テロの鎮圧作戦ということにするため、観客席に爆弾を仕掛けます。
※ウクライナ政府が、なぜ241の取引とテロがオペラハウスで行われるのかを知り得たのかは謎です。

つまり、CIA(TENET)、セイター、ウクライナ政府は互いに敵対関係にあり、このテロ事件は241を巡る三つ巴の戦いということだったのでしょう。

241がその後ウクライナ保安庁の手に渡っていることから、おそらく主人公とは別ルートで脱出したチームは、ウクライナ政府によって全滅させられたのだと思います。

セイターの誤算は、CIAチームを率いる主人公がバンのドライバーを信用せず、VIPと241を別のルートで脱出させてしまったこと。
バンで待っていたドライバーたちが、主人公たちがバンに乗り込んだとき「違う男だ!」と言っていたのは、てっきり主人公がVIPを救出して脱出してくると思い込んでいたからなんですね。

主人公とセイターのアルゴリズムをめぐる戦いは、2人が出会うよりも前、既にこのオペラハウスから始まっていたということになります。

※ちなみに、「スタルスク12での最終決戦」「セイターとキャットの対決」はこのテロ事件と同日の出来事。
つまり、この映画は本編が始まったと同時に終わっているという、奇妙な構成になっています。

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疑問点と考察

なぜプルトニウム241はオペラハウスにあったのか?

テロ事件が241をめぐる戦いだったことは分かりましたが、ではそもそもなぜオペラハウスに241があったのでしょうか。

  • 2008年、ロシアの核ミサイル基地が謎の集団によって1週間ほど占拠される
  • 集団が去ったあと、基地内に保管してあった核弾頭うち、重さが4分の3ほどになっていたものがあった事がわかる
  • その失われた4分の1が、オペラハウスにあったプルトニウム241である

劇中ではこんな説明があったと思います。

ということは、あのオペラハウスでは、VIPが同室にいた男から241を受け取るための取引が行われていた、と考えることができます。
あの男は、ミサイル基地を占拠した連中の1人だったのでしょう。

ではVIPはどの組織にスパイとして潜入していたのでしょうか?

主人公とVIPの「身分がバレた。テロは偽装だ」「信頼を築いたはず」というやり取りから、彼の身分がバレたために偽装テロが起こった、と考えることができます。
このことから、VIPはセイターの組織に潜入して”信頼を築き”、同室にいた軍人から241を受け取るために送り込まれたのだと思います。

逆行弾の謎

ニールは順行なんだし、わざわざ逆行弾なんて使わずに、普通に順行弾で撃ち殺せばよかったんじゃないの?と思ったのですが、TENETは事実上存在しない組織なので、薬莢なり弾丸なりといった証拠を残すことができなかったということなんでしょうか。

※ニールが逆行だったとすると、主人公の方を向いたまま逆再生するかたちで去っていかなければなりません。
しかし実際には、主人公に背を向けるかたちで去っていきます。
なので、オペラハウスでのニールは順行です。

もう一つ気になるのは、オペラハウスの座席の下のあの位置に、昔からずっと銃弾が埋まっていたの?ということ。
冷静に考えるとそんなことはありえませんよね。
逆行弾は順行弾と同じように普通に撃つこともできるので、あの弾はテロリストが撃ってあの位置に当たった逆行弾であり、テロリストが逆行弾を使っている=セイターがテロリストを差し向けた、ということが暗示されているシーンなのだと思いました。
TENETとニールはテロがセイターの仕業だと分かっている(と思う)ので、逆行弾が使われることも知っていたんでしょう(あの場所に弾を撃ってくれたテロリストに主人公は感謝しなければなりません)。

あまり深い理由とかはなくて、つかみの部分で逆行する弾を登場させて「この映画のコンセプトは逆行ですよ」と観客にインパクトを与えるため、というメタ的な意味合いのほうが大きい気もしますが…

どこからどこまでが試験だったのか

セイターが関わっている以上、このテロ事件そのものが試験だった、というわけではないでしょう。

TENETは、逆行に関わる任務にあたるエージェントが、TENETの一員にふさわしい資格を備えているかどうかを常に監視しているのではないでしょうか。
そして、その監視役がニールやアイブスといったTENETエージェントで、TENETにふさわしい資格を備えていると見なされた主人公がリクルートされた。
これがフェイの言った「試験」の真相だと考えました。

TENETの一員にふさわしい資格とは、主人公が取った行動、そしてフェイの「自ら火に飛び込んで~」というセリフから、組織に忠実であること、そしてなにより他者を救うために命を差し出せること、だと考えられます。

ここで、TENETとセイターの”主義”が対比となっていることも分かります(自分を犠牲にしてでも世界を救うか、自分と道連れに世界を滅ぼすか)。

また、TENETという組織は”記録”に存在しないため、そのエージェントも公的な記録では死んだことにしなければならなかった、ということなのだと思います。

なぜ風力タービン内で数日過ごさなければならなかったのか

TENETにリクルートされたあと、主人公は風力タービン内で数日間過ごし、逆行について研究しているバーバラに会いに行きます。

なぜ風力タービン内で過ごさなければいけなかったか、劇中では特にこれと言った理由が説明されませんでした。
ここをカットしても特に問題ないのに、わざわざ主人公がタービン内で過ごしている過程を入れたということは、なにか物語的に意味があったということだと思います。

単純に考えると、このあと起こる諸々の出来事とタイミングを合わせるために日数を稼ぎたかったから、ということになりそうです。

それか、この数日間は「スタルスク12で作戦を終えた主人公が、回収したアルゴリズムを隠すために行動している期間」と重なるので、過去の主人公をタービン内に隔離することによって、自分同士のエンカウントを防ぐためだったのかもしれません。

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