
ジャンル | ツインスティックシューターRPG |
開発元 | Neon Giant |
発売元 | Curve Digital/DMM Games |
総プレイ時間 | 25時間 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
今回は、Neon Giantが手掛けたツインスティックシューターRPG『The Ascent』をクリアした感想・評価をお届けします。
メインストーリーは結構寄り道して約15時間でクリア(寄り道なしだと10時間かからないぐらい)。
全サイドミッションクリア・ほぼ全ての実績を埋めて約18時間というボリュームでした。
オンラインCO-OP・カウチCO-OPに対応していますが、マッチメイキング機能はなく、一緒にプレイしてくれるフレンドも付属していなかったので、ソロオンリーでの感想になります。
結論から言っておくと、今年プレイしたゲームのTOP5候補。それぐらい楽しめました。
『The Ascent』とは

巨大企業アセントグループが支配する惑星ヴィールス。
主人公は、そのヴィールスにインデント(社畜)として移住してきた。
下水システムの異常を調査する初仕事を終え帰路につくと、アセントグループが突如として活動を停止したとのニュースが入り込んできて…というところからストーリーが始まります。
本作は、見下ろし視点型のツインスティックシューターRPG。
バッキバキに作り込まれたサイバーパンクな世界の探索、豊富な銃火器・しゃがみによるカバー・射線の高低・強力なオーグメンテーションを駆使した手応え抜群の戦闘が楽しめます。
レベルアップによるステータスの強化、素材を消費した武器の強化、様々な防具の入手、といったキャラクター強化のRPG要素もあり。
敵を倒したり宝箱を開けたりして装備品を入手するという要素はありますが、装備品の性能はすべて固定でランダム要素は無いので、『Diablo』や『ボダラン』などのいわゆるハクスラ系ゲームではありません。
イマイチなポイント
ここがイマイチだなーと感じたポイントはかなり多め。なので良い部分よりも先に述べておきます。
これだけイマイチなポイントがありながらも「今年プレイしたゲーム中でTOP5候補」と思ったということは、良い部分が飛び抜けて良いということでもあります。
見辛すぎるマップ

マップ上には重要な収集アイテムの場所がマークされていて、それ自体はすごくありがたいのですが、一見してどこがどう繋がっているのか、アイテムがどの階層にあるのかが分かりにくすぎます。
ミニマップもレーダー状のものなのであまり当てになりません。
ストーリー
ストーリーの大筋自体は悪くないしサイドキャラクターもそれなりに立っているのですが、主人公にはドラクエ主人公よりも自我がなく一言も言葉を発しないし、プレイヤーには一切の選択権が与えられないので、どうにも盛り上がらないというのが正直なところ。
傭兵のような立場という設定上仕方がないことですが、メインもサブもひたすら指示に従って業務をこなしていくだけなので単調です。
世界観こそサイバーパンクですが、ストーリーがパンクではないのも残念。
移動が遅い
フィールドの広さに対して、移動速度が遅いです。
戦闘中は気になりませんが、探索中はスプリント機能がほしくなります。
しびれを切らして、どこぞの防衛軍のようにローリングを連打して移動することに。
痒いところに手が届かないファストトラベル
本作には電車とタクシー、二種類のファストトラベルがあります。
電車はフィールド上の駅から駅への移動。
タクシーは基本どこからでも呼び出せて、指定したエリアに移動できます。
問題は、本作のフィールドが幾つかの層に分かれて構成されており、層をまたいでのファストトラベルが出来ないという点。
A層の○地点からB層の□地点まで移動したいときには、まずA層の○地点からファストトラベルと徒歩でA層のエレベーターまで行き、そこからB層に移動し、そこからさらにファストトラベルと徒歩で□地点を目指すということになり、移動速度の遅さも相まってかなり時間がかかります。
各層を繋ぐエレベーターが最寄りのファストトラベルポイントから微妙に離れたところにある点、ファストトラベルを使う際には地名だけが表示されるため地名と位置を事前にチェックしておかないといけない点もイマイチ。
奇妙なサブクエストの導線
メインクエストの進行に合わせてサブクエストが発生するのですが、発生するタイミングがワンテンポ早いので、目的地のマーカーを目指して進んでも目的地にはたどり着けないことが非常に多いです。
例えば、序盤で発生する推奨レベル2のサブクエスト。
メインクエストの推奨レベルよりも1低いので、大半のプレイヤーが発生した時点でクリアしようとすると思いますが、目的地に行く途中にレベル9以上の敵が闊歩するエリアを突破しなければならないうえに、その前にメインクエストをある程度進めないとエレベーターが使えないため、目的地には絶対にたどり着けません。完全な罠です。
バランス
素の状態だとロボット系の敵が固いので、「I/Oコンバーター」というオーグメンテーションがほぼ必須級になってしまい、多様性が損なわれています。
また、武器・オーグメンテーション・ガジェットのなかで、使えるものと使えないものの差が結構激しめ。
エンドコンテンツなし
クリア後のやりこみ要素はありません。
ニューゲーム+でも無限ダンジョンでもいいからもっと遊びたいですし、マッチメイキングもほしいです。
大小様々なバグ
- 突然武器攻撃ができなくなる
- 戦闘エリア内なのに敵に一切ダメージが入らなくなる
- 地形にハマって出られなくなる
- 音飛び
- メインメニューに戻れない
- 間違った方向を指し示すクエストトラッカー
- 特定の場所を通過する度に表示されるチュートリアル(チュートリアルのオフで対処可能)
- 複数体湧いて出るボス
では、ここからは良い点を。
隅から隅まで作り込まれた世界
『ブレードランナー』『オルタード・カーボン』『RUINER』といったサイバーパンク作品が好きな人であれば、背景やコデックスを見ているだけで元は取れると言っても過言ではないです。
ぼくは最初か最後までぶっ刺さりまくりでした。

パイプむき出しの地下の掃き溜め、ネオンサインが煩い繁華街、水没し棄てられた廃墟、煌びやかなカジノなど多種多様なフィールドは、パッと見の遠景から細部に至るまでこれでもか!というほど作り込まれており、密度も相当なもの。
もちろん、「拡大する」「ホルモン」「蛋白質」「新し世界」といったサイバーパンクではお馴染みの、怪しすぎる日本語看板も至るところに掲げられています。
新しいエリアに初めて足を踏み入れるときのワクワク感が異常で、真に作り込まれたビジュアルはゲームのおもしろさを底上げするほどのパワーがあると感じました。
ビジュアルに関してはフィールドだけでなく、世界設定やキャラクター等の情報を詰め込んだコデックスの出来も素晴らしいです。

ちなみに、翻訳の質も結構良かったと思います。
未翻訳、誤訳も散見されるものの(コントローラーのRトリガーを「炎」と訳しちゃうのはマズいと思う)、キャラ付けをしっかりと反映した自然な訳がなされいて好印象でした。
抜群に気持ちいい戦闘

戦闘部分は、これまで遊んできたツインスティックシューターのなかではバツグンに気持ちよかったです。
ディアブロやボダランのようなルートシステムだったら延々と遊べただろうな…と思うぐらいに楽しかった。
重厚感を感じられる銃声、トドメを刺したときのゴア描写、派手なビジュアルエフェクト、レスポンスの良い操作性。
シューターにおいて最も重要な、銃を撃ったときの気持ちよさ、手応えがずば抜けてイイです。

また、他のツインスティックシューターにはあまり見られないユニークなシステムとして、「しゃがみによるカバー」と「エイム・ハイ(エイムの高/低)」が搭載されているのもポイント。
しゃがみ状態では、フィールド上のオブジェクトを敵の射撃を防ぐ遮蔽物として使うことがます。
エイム・ハイ(いわゆるADS)では、腰だめ撃ちより少し高めに攻撃でき、敵の上半身を狙って怯ませたり、遮蔽物の上からブラインドファイアの要領で敵の射撃を防ぎつつ撃つ事ができます。
一般的なカバーシューターとは違う点としては、見下ろし視点型なので四方八方から敵が襲ってくるという点。
囲まれないようカバーからカバーへと動き回りつつ、どのポジションが一番被弾が少なそうか、どこから敵を排除していけばいいかを考えなければならない場面もあり、結構忙しく楽しいです。
引き撃ちばかりになりがちなツインスティックシューターにおいて、遮蔽物を利用した立ち回り、エイム・ハイによる撃ち分けはかなり新鮮な要素になっていました。

銃撃だけでなく、強力なオーグメンテーション(いわゆるアビリティ)による攻撃も爽快。
マルチミサイルを乱射したり、自爆蜘蛛型ロボを大量召喚したり、極太ビームを射出したり、電撃ドラゴンで敵を一斉に感電させたりと、ド派手で強力なオーグメンテーションが揃っています。
爽快な銃撃とオーグメンテーション、状況判断能力が求められる立ち回り、そして素晴らしいビジュアル。
『The Ascent』における戦闘は、数あるツインスティックシューターの中でも屈指の出来だと感じました。
おわり

荒削りな部分も多いですが、それを補って余りある魅力が光るツインスティックシューターでした。
サイバーパンク世界と気持ちいい銃撃戦を求めている人にはかなりオススメです。
反対に、RPG要素、ハクスラ要素を求めている人にはオススメしません。
結構ヒットしたみたいなので、DLCでの拡張もしくは続編を熱烈に期待してます。
個人的な願望としては、続編はハクスラ寄りに進化してくれると嬉しいです。
そんな感じでした。
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