
プラットフォーム:PS4、Xbox One、PC
開発:CD Projekt Red
ウィッチャーの世界が新たな物語と共に帰ってきました!
『ウィッチャー3:ワイルドハント』の本編に含まれていたカードゲーム「グウェント」の要素と、RPG要素をかけあわせたカードバトルRPG『奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ』の感想/レビューです。
サイドクエストやパズルなどの寄り道も合わせて、一周クリアまでのプレイ時間は30時間でした。
単なるミニゲームが人気を博し、F2Pのオンラインタイトル化した『グウェント ウィッチャーカードゲーム』。
本作『奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ』は、当初その『グウェント ウィッチャーカードゲーム』の一人用コンテンツとして追加される予定でした。
しかし、規模が大きくなったためにスタンドアロンのゲームとなったという経緯があります。
プレイヤーは、北方諸国の一部であるライリアとリヴィアを統べる女王「メーヴ」となり、領土を拡大せんと侵略を開始したニルフガード帝国との戦い(第二次ニルフガード戦争)に挑むことになります。ちなみに『ウィッチャー3』で描かれたのは第三次ニルフガード戦争です。
初代『ウィッチャー』よりも少し前の時代の話で、ライリア、リヴィア、マハカムといったロケーションが舞台となっています(初代『ウィッチャー』が1270年に対し、本作は1267年。『ウィッチャー3』は1272年)。
あらすじ

1267年、南のニルフガード帝国の脅威に対して北方諸国の王たちの結束を確認する会合が開かれた。
会合から帰還する女王メーヴのもとに、王都の守りを任せていたはずのカールドウェル卿が不吉な知らせを伝えに来る。
彼女が不在の間、活動が活発化した盗賊”野良犬団”により国庫が荒らされ、更には拡大を続けるニルフガード帝国がついに侵略してきたのだ。
国内外の問題への対応に追われるメーヴだったが、なんとか盗賊団の頭ガスコンを捕らえ、ニルフガードの先遣隊を退けることに成功する。
王都に着いたメーヴは、留守を任せていた王子たちと今後の対応を協議することに。
しかし、王子をはじめとした諸侯らはニルフガードの圧倒的な武力の前には降伏こそが最善の道と考え、それに反対したメーヴは投獄されてしまう。
ガスコンの手を借り、腹心レイナードらと共に王都を脱出したメーヴ。
王位を剥奪された女王の復讐の旅が始まる…
どんなゲーム?
本作は主に「探索」「カードバトル」「イベント」の3つのパートから構成されています。
「探索」パートでは、主人公メーヴを操作し、2D調のマップを探索し、資源を回収したり村人の話を聞いたりしながら、イベントの発生する地点まで歩みを進めていきます。
調達した資源はカードデッキの拡張や、戦闘を有利にするアップグレードで使用します。
探索していくと、村人の死体に群がるグールだったり、村人を困らせる怪物退治といったバトルやクエストに遭遇することもあり、しっかりとしたウィッチャーシリーズ感があります。
ウィッチャーシリーズの中で耳にしたことのある地を実際に探索できるのはいいのですが、移動速度が遅い(アップグレードである程度改善できるがそれでも遅い)ため、ややテンポが悪いと感じました。
マップにはファストトラベルポイントが点在しているため、移動速度の遅さが致命的な欠点にはなっていない、というのが救い。
「カードバトル」パートでは、文字通りグウェントでのカードバトルが展開されます。
『ウィッチャー3』のときとはルールやカードが異なっているため、『ウィッチャー3』でさんざんグウェントやったよ、という人でも新たな気持ちで楽しめると思います(フィールドが3列から2列に変更されていたり、天候カードの効果が異なっていたりします)。
逆にグウェントは初挑戦という人でも、初心者用の難易度(困ったときはバトルをスキップできる)が用意されているので、間口の広い親切設計になっていると思います。
通常のバトルは、場に出ているカードの合計戦力を競い、3ラウンドのうち2ラウンド先取したほうが勝利という基本的なルールで行います。
それに加えて、1ラウンドで勝敗が決定するショートバトルだったり、特別なルールが課せられたパズル、ボス戦といった特殊なカードバトルも随所に用意されているため、バリエーション豊かで飽きさせない作りになっています。
指定された手札を使い、指定された条件を達成したら勝利できるというパズルは、一手間違えたら負けてしまう詰将棋のようなもので、特に面白いと感じました(が、嫌いな人も結構いそう)。カードを出す順番と配置を、頭をひねってう~んと考える必要がありますが、クリアできたときの達成感もひとしおです。
また、デッキには最低でも25枚のカードが必要なのですが、構築上限(カードのコストの合計値)が定められているので、単に強いカードだけをぶっこむということが出来ないようになっており、デッキ構築でも頭をひねることになります(キャンプを完全にアップグレードすると構築上限をあまり考えずにデッキを組めるようになります)。
カードの一枚一枚が特殊な効果を持っていたり、組み合わせることで絶大な効果を発揮できるものなどがあり、こちらと敵のカードの効果を見て考えながら戦う奥深さ。これを少しずつ理解していくことで、バトルが少しずつ楽しくなっていきます。
初めはなんとなくでカードを配置していたのが、様々なバトルを経験することでだんだんとカードの特性が分かってきて、デッキの構築が出来るようになる。自分の成長が実感できるのもこのゲームの醍醐味だと感じました。

ウィッチャーシリーズということで、やはりストーリーもかなり面白いものになっています。
ストーリーが語られる「イベント」パートは、原作小説の雰囲気を意識したと思われるもので、ノベルゲームっぽさがあります。
戦時下ということもあり、内容はかなり重くて暗い悲惨なものになっています。
お馴染みのキャラや地名が登場してくるので(もちろんあのウィッチャーと吟遊詩人もちらっと登場しますよ!)、シリーズ経験者ならより一層楽しむことが出来るでしょう。
原作小説からの要素も盛り込まれているらしいですが、僕はまだ読んでないのでそこんとこは分かりません。

ウィッチャーシリーズ同様に、本作でも選択とそれに伴う結果を巡る物語が語られていきます。
これまでのウィッチャーでは、あくまで主人公ゲラルトは一個人だったのに対し、本作の主人公メーヴは女王ということで、選択にもそれ相応の責任がのしかかることになります。
路頭に迷った村民を助けるか否か、罪を犯した者にどのような処罰を下すか、といった数々の問題に対して、軍を率いる女王としてどのように対処すべきなのか、時として厳しい判断をくださなければなりません。
提示される選択肢はどれも一理あるなと思わせるものばかりで、カードバトル同様に頭を悩ませてくれる作りになっています。
即座に結果がわかるものもあれば、助けた人が実は裏切り者だったり、味方が離脱してしまったりといった、後々になって思いもよらない結果を招くことが起こることもあるため、リプレイ性を高めています。
最低難易度だとバトルスキップ機能があるので、2周目はストーリーだけを追うことができるのも良いと思いました。

悪い点
悪い点として挙げられるのは、まずは移動速度の遅さ。
あちこち探索していくのが基本なのですが、もうちょい移動が速くてもいいのでは?と思います。
移動速度をあげるためには、序盤では貴重な資源を使わないといけいないというシステムもちょっとなあ、という感じ。
次に、デッキを複数組めないという点。
今作のカードの効果には、特定の組み合わせでより大きな効力を発揮するようなものが多々あります(例えば、列移動の効果を持ったカードとガスコンなど)。
そのため、とにかく手当たり次第にカードをデッキにぶち込むより、ある程度枚数を絞ってデッキを構築したほうがいいというバランスになっています(デッキのカード枚数が多くなればなるほど、コンボに必要なカードが引きにくくなるため)。
経験を積んでいくと自分なりの鉄板デッキが出来上がりますが、特殊なルールが課せられたバトルだったり敵のカードの効果次第では、今のデッキでは負けたけどあのカードの組み合わせだったら勝てそうだぞ、と思うことがあります。
しかし、その際は今使っているデッキを崩して新たにデッキを組み直し、さらにバトルが終わったら元に戻すという作業が必要になります。
なので、3つぐらいデッキを組めて、それらを使い分けられたら良かったのにと思いました。
そして、資源を持て余してしまうという点。
序盤こそ入手できる資源の量は限られていて、アップグレードも新たなカードの雇用も満足にできない状況が続きます。
しかし終盤になると、今度は資源が有り余って使いみちがなくなってしまいます(全カードをマックス雇用しても全然余裕)。
あと、これはPS4版だけなのかもしれませんが、アプリケーションエラーが多発して困っています。
だいたい1時間に1回ぐらいの頻度でアプリケーションエラーによってゲームが強制終了するため、なかなかのストレス。
通常の動作もやや不安定で、ときおりカクッカクッと止まったりします。
上記の不具合は、Ver1.02のアップデートにより改善された…と思いきや、アプリケーションエラーは起きなくなったものの、そのかわりにフリーズが発生するのでまだまだ快適にプレイできるとは言い難いです。
おわり
ゲームの核であるグウェントのカードバトルがかなり手応えがあり、また戦争の汚さ、選択と結果を巡る物語、寄り道要素の楽しさといったウィッチャーシリーズらしさが満載で、個人的にはかなり面白くプレイしています。
「ウィッチャーシリーズ好きだしグウェントも好き」という人にはもちろん、「ウィッチャーシリーズは好きだけど、グウェントはあんまし…」という人にも、ぜひとも遊んでほしいタイトルです(現に僕は『ウィッチャー3』でグウェントはほぼスルーしていたのですが、本作は楽しくプレイしています)。
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