
開発元 | Leonard Menchiari Flying Wild Hog |
使用ハード | Xbox Series X |
プレイ時間 | 9時間 |
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
黒沢映画を彷彿とさせるビジュアルと剣戟アクションが特徴の『Trek to Yomi』をクリアしたので感想・評価をお届けします。
プレイ時間は合計9時間(難易度中で4時間、高で3時間、最高で2時間)。

『Trek to Yomi』ってこんなゲーム
本作は、固定視点で移動と戦闘を繰り返しながら進んでいくオーソドックスなアクションゲームだ。
プレイヤーは、若き侍「大輝(ひろき)」として、村を脅かす賊徒との戦いに身を投じることになる。

最大の特徴は、全編を通して白黒で描かれた、黒澤映画を彷彿とさせるビジュアル。
カメラワークやオブジェクトの配置、魅せ方が秀逸で、まるで時代劇のワンショットのように映える場面がもりだくさん。
日本人から見ても違和感がほとんど無い情景や、和を感じさせるBGMは素晴らしく、視覚的・聴覚的な満足度は非常に高い。
※ただし、町中で見られるマジックで書かれたような看板だけは残念だった

ステージは一本道の構造になっているが、所々に脇道があり、その先には体力・気力のアップグレードや、新しい技の指南書、日本の文化を垣間見れる収集物といった要素が配置されているため、探索はそこそこ楽しい。
一見して正規ルートと脇道が分かりにくかったり、後戻りできない場所があったり、周回での引き継ぎが無かったりといった部分はやや不親切に感じた。
戦闘ではほぼ常に横スクロールで、左右から襲いかかってくる敵を斬り倒していく。
必然的に挟み撃ちの形で戦うことになるが、同時に斬りかかってくる敵は1人だけなので、左右から斬りかかられてボコられるといった理不尽さはなかった。
難易度は4段階(4段階目の剣聖モードはクリア後に開放)あるが、アクションゲームに慣れているプレイヤーであればはじめから浪人(難易度:高)でプレイしてもいいかもしれない。
アクション操作は、弱・強攻撃によるいくつかのコンボ、防御・パリィ、回避に飛び道具と、かなりシンプルにまとまっている。
操作性は悪くないのだが、タイミングよくボタンを押さないとコンボが発動しなかったり、移動方向にスティックを入力していると隙だらけの突きが暴発してしまったり、防御ボタン長押しでパリィすると反撃が発動できなかったりと、慣れが必要な部分が見受けられた。
この手のアクションゲームではお馴染みの、通貨を使って諸々をアップグレードするシステムは搭載されていない。

イマイチな戦闘システム
コンボは色々と用意されているが、
- 敵を気絶させると一撃必殺を決められる
- 一撃必殺で体力・気力を回復できる
というシステムによって、最速で気絶させられる攻撃以外を使う必要性やメリットが無く、気絶攻撃→フィニッシュという一辺倒な戦い方になりがち。
敵の種類はそこまで多くなく、敵によって使う攻撃を切り替える必要も無いので、最初から最後まで戦闘面での変化が乏しく単調だった(中盤以降のボス戦はそれなりに緊張感があり楽しめたが)。
本作には攻撃・防御で気力を消費するシステムが導入されているが、高難度でのボス戦を除けば気力を意識せずに戦えるため、このシステムに必要性を感じられなかった。
また、斬った斬られた感が薄いため爽快感に欠け、凝った演出やチャンバラ以外の特殊な戦闘といった工夫が見られなかったのも残念。
戦闘自体があまり面白くないことに加えて、敵を倒すことで得られるものが何もないので、途中から雑魚戦を全てスキップする機能が欲しくなるぐらいだった。

ダルい周回
本作はマルチエンディングとなっており、すべてのエンディングを見るには最低でも3周する必要がある。
しかし、最序盤のチュートリアルをスキップできなかったり、強くてニューゲームがなかったりと、周回向けの作りにはなっていない(NPCとの会話やカットシーンはスキップできる)。
また、エンディング分岐のための選択が道中で3回出てくるのだが、エンディングに影響を及ぼすものは一番最後のものだけである。それならラスト2ステージだけをリプレイする機能がほしかった…

おわり
黒澤映画を彷彿とさせるビジュアルや和を感じられるBGMは素晴らしく、世界観を愛でるゲームとしては完成度が高いです。カメラが切り替わるごとにスクリーンショットを撮りたくなるほど。
その一方で、肝心のゲームプレイはお世辞にも面白いとは言えない出来で、アクションゲームファンとしてはガッカリゲーでした。
良くも悪くも雰囲気ゲーで、こういう言い方は好きではないけど、動画で満足できてしまえるゲーム。
戦闘システムが洗練されていれば傑作になり得ただろうに残念です。

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