Xbox Series Xをレビューしてみる。果たして新型Xboxは買いなのか?

Xbox Series Xを約一ヶ月ほどほど使い倒してみて、実際にどう感じたのかをお伝えしていきたいと思います。

4K・HDR対応のブラビアKJ-43X8500Fに繋いでプレイしています。

※このレビューは「Xbox Series X」と「Xbox One S」を持っている人が書いています。

本体

幅15cm×奥15cm×縦30cmの直方体で、まさに「箱」といった形状。

最新ゲーム機感はまったくないシンプルなデザインですが、部屋に馴染みやすくてなかなかイイと思います。
Xbox360やXbox Oneに付属していたレンガACアダプタは付いていないので安心してください。

縦置き・横置きのどちらにする場合でもスタンドは必要なく、そのまま置いて使えるようにゴム製のグリップのようなものが本体に直に付いています。

上部(穴がいっぱい空いている部分)から排気・排熱を行うようになっているため、設置する際にはその部分を塞がないように気をつけなければなりません。

この排熱部の穴は斜めから見ると緑色になっています。
電源をつけているときに光る仕様になっているのだと勘違いしていましたが、実際には緑色の塗装が施されていました。

ゲームプレイ中は、排熱している上部がそれなりに暖かくなるものの、熱くはなりませんでした(夏場になったら熱くなるかも?)。

接続端子は、背面にUSBが2つ、HDMIが1つ、拡張ストレージ用が1つ、前面にUSBポートが1つ。
もちろんディスクドライブもついています(日本ではいまのところ使う機会があまりありませんが…)。

Oneには付いていたHDMI入力やKinect、光デジタル、IR端子はなくなっています。
光デジタルでオーディオ機器と接続をしていた場合は注意が必要です。

気になる静音性ですが、ゲームプレイ中は驚くほど静か
電源がついているかいないか分からないほど、というのはちょっと言いすぎかもしれませんが、それぐらい静かです。
繋いでいる外付けHDDのほうがうるさいぐらい。
ディスクを読み込む時にはドライブの動作音が聞こえますが、気になるほどではありません。

本体の起動時間が大幅に短縮されているというのも特筆すべき点だと思います。
One Sでは、省電力モードで起動する場合には1分以上もかかっていましたが、それがなんと20秒足らずで起動するようになりました。
クイック起動モードでは2秒ほどで起動するのは変わらず。
再起動に要する時間も大幅に短縮されているのは、Xboxのヘビーユーザーにとってはかなり嬉しいポイントです。

UI

少し前にXbox Oneに適用されたホーム・ストアアップデートからほぼほぼ見た目が変わっていないので、次世代感は皆無
変わったのは、ホーム画面の壁紙がちょっと動くようになったくらいです。
新しいゲーム機を買ったのに何も変化がないのは残念ですが、変に弄って使いづらくならなくて良かったかなとも思いました。

もともとXbox Oneを使っていたユーザーは、ホーム画面やグループ設定などのカスタマイズをそのまま引き継ぐことができます。

よく使うゲームやアプリをグループにまとめればすぐにアクセスできるし、ホーム画面に並べておける項目も自由に選択できる。
Game Passやストア、お気に入りのゲームをホーム画面に並べておけば、最新のニュースを素早く確認できる。
ゲームプレイ中にXboxボタンを押せば各種項目に素早くアクセスできるし、Xboxボタンを長押しすればすぐに電源が切れる。
XboxのUIの良い点は、カスタマイズ性の高さとアクセスのしやすさだと思います。

コントローラー

Xbox One Sコントローラー(上の写真では左がOne S、右がSeries X)から大きく変わった部分はなく、これまた次世代感は皆無。
使いやすさはそのままに、ほんのわずかにサイズが小さくなり、中央にはシェアボタンが追加され、USBはType-Cに変わりました。

相変わらずバッテリーは内蔵されておらず電池式です。
有線接続の場合は電池が必要ありませんが、接続用のケーブルは残念ながら付属していません。
充電タイプのバッテリーが良いという場合は、別途「プレイ&チャージキット」の購入が必要になります(One S用のものが流用できますが、その場合USBケーブルは自前で用意)。
ぼくは有線接続で使うことがほとんどなのでバッテリーがない分軽くて良いのですが、プレイ&チャージキットぐらいは同梱してくれてもいいじゃんとは思いました。

One Sコントローラーと同様に、グリップ部分にはざらついた表面加工が施されており、新たにLB・RBとトリガーにも同じ加工が施されています。

LB・RBの押下感は少しカチッとした感じになっていて、トリガーはより細かい調整が効くようになった気がします(これは気のせいかもしれません)。
また十字キーの形状が円状に変わり、操作性・押下感がかなりよくなりました。

One Sコントローラーの正当進化でイイとは思いますが、Dual Senseに搭載されているような新しい機能はないので寂しい感じはします。

コントローラー中央に追加されたシェアボタンは、単押しでスクリーンショット、長押しで動画の保存ができます。
これにより、スクリーンショットや動画を撮る際に、Xboxボタンを押す→X/Yボタンを押すという二段階の操作をしなくてよくなりました。
スクリーンショット・動画を撮る機会が多い人にとっては朗報ですね。
Xbox LiveやOne Driveとも連携できるので、キャプチャしたものがスマホやPCでも楽に管理ができるという点もグッドです。

ただし依然として録画できる時間は非常に短く、720p・SDRでも3分、4K・HDRではわずか30秒しか録画できません(外付けHDDを保存領域として使うことで時間は伸ばせますが)。
ここはPS5と比べて大きく劣る部分でしょう。
SDRとHDRでは色合いが全く違うので、HDRをオンにしてゲームをプレイしていると、SDRでの録画は使い物にならない場合があります。

最適化・スマート配信

Series Xのマシンパワーを体感できるのが、「Series X|Sに最適化されたタイトル」です。
現時点ではOneでもプレイできるゲームばかりですが、One版から解像度・フレームレート・テクスチャ・ライティングといった様々な部分が大幅にアップグレード。

『Gears Tactics』や『アサシンクリード ヴァルハラ』といった新発売のゲームだけでなく、『Gears 5』や『Forza Horizon 4』などごく一部の発売済みゲームにも最適化が施されています。
今後、『ウィッチャー3』『Marvel’s Avengers』『Control』といったゲームもSeries X|S版がリリースされていく予定。

『Gears 5』『Gears Tactics』『Forza Horizon 4』『アサシンクリード ヴァルハラ』をSeries XとOne Sでそれぞれプレイしてみましたが、どれも違いは一目瞭然。
ギアーズやアサクリシリーズが、コンソールでも60fpsでプレイできる日が来るなんて、感激です。

最適化によるアップグレードはどのゲームも素晴らしい出来栄えでしたが、特に4K・60fpsに対応した『Forza Horizon 4』はもはや実写レベルの美しさでした。
『Forza Horizon 4』は起動時間の長さがネックになっていましたがそれも解消され(2分強から40秒弱まで短縮!)、しかもクイックレジュームに対応しているので、常駐ゲームとして大活躍です。

最適化されたタイトルは後方互換とは違って外付けストレージから起動することができないので、プレイするには必ず内蔵SSDにインストールする必要があります。
内蔵SSDの実質容量は800GBちょっと。
現時点で最適化タイトル用のストレージを増やすには専用の拡張ストレージを買うしか方法がありませんが、正直かなりお高いです(1TBで約3万円)。

幸い、外付けストレージから起動することはできなくても移動することはできるので、内蔵SSDが足りなくなっても削除せず、一旦外付けストレージに移動させておけば、再度ダウンロードする時間を節約できます。

この「最適化されたタイトル」というのがいわゆる次世代のゲームになるのですが、現時点で次世代感を感じさせるゲームが出ていないのは非常に残念
ファーストのローンチタイトルは『Gears Tactic』のみ、それも既にPCでは半年前にリリースされていたものです。
キラータイトルになるはずだった『Halo Infinite』は延期になり(箱に印刷されているチーフの背中から哀愁を感じます)、『Forza Motorsport』『Everwild』『Avowed』といった期待のファーストタイトルは発表されているものの、発売時期は決まっていません。

「スマート配信」とは、使っているコンソールに最適なバージョンが自動的に選ばれインストールされる機能のこと。
この機能に対応しているゲームを買えば、Xbox Oneでも、Xbox Series X|Sでも、それぞれに最適化されたバージョンをプレイできるというわけです。

またXboxには、ネットに繋いでいればセーブデータを自動的にクラウドで同期するという機能もあります。
そのため、同じアカウントでプレイしている限りは、アップグレードやデータ引き継ぎの作業を手動で行う必要がない、というのはかなり楽ちんです。

クラウドゲーミングサービスのxCloudを使うことで、家ではSeries Xで遊んで、外ではAndroid端末で続きをプレイ、といったこともできるようになります。

後方互換

基本的に、Xbox OneでプレイできるゲームはほとんどSeries X|Sでもプレイできます(プレイにKinectが必要となるゲームは起動できません)。
すべてのゲームを確認したわけではないので、不具合が発生するタイトルもあるのかもしれません。

”Series”の名が示すとおり、360と初代もいくつかのタイトルは互換に対応しています(対応タイトルはこのページで確認できます)。
これまで積み重ねてきたゲームライブラリを引き継ぐことができる、というのはかなり大きなポイントです。

Series Xの後方互換では、One Xと同じバージョンのものがプレイできるようになっています。

「Xbox One X Enhanced」に対応しているゲームでは、One版と比べると解像度・フレームレートともに一目見ただけでも分かるほどに良くなっていて驚きました(Oneでは1080p・30fpsすら無理なタイトルも多かったので)。
DFの比較動画などを見る限り、One Xでプレイする場合と比べてもパフォーマンスは向上しているようです。

「Xbox One X Enhanced」に対応していないゲームでは解像度がよくなったりはしませんが、HDR設定のないゲームにHDR相当の描画を適用する「オートHDR機能」によって、より鮮やかな画面で楽しむことができる場合があります(すべてのゲームがオートHDRに対応しているわけではありません)。

そして、ロード時間が大幅に短縮されているというのも大きなポイント。
ロード時間がどれだけ短縮されるかはゲームによってまちまちですが、『MHW』『メトロ エクソダス』『GTA V』『Control』などなど、ロード時間が長いでお馴染みのゲームでのストレスがかなり軽減されています。

後方互換ゲームは外付けストレージからでも起動することができ、たとえHDDにインストールしていてもロード時間短縮といった恩恵を受けられます

基本的に内蔵SSDにインストールしたほうがロードが早いのですが、そこまで顕著な差はないように感じました(ちなみに『MHW』では、外付けHDDのほうが若干早いという謎の減少が起きました)。

『サイバーパンク2077』や『ドラゴンクエストXI S』など、X|Sに最適化されていないゲームもまだまだ発売されるので、後方互換にきっちり対応しているのはありがたいです。

クイックレジューム

ゲームを中断したところからすぐさまプレイを再開できるという新機能。
使うまではそんなに注目していなかった機能でしたが、実際に体験してみるとこれがスゴイ機能でした

これまでも、クイック起動モードの場合には1本のゲームだけなら終了せず中断しておけましたが、この機能では複数のゲームを起動し中断しておけます。

内蔵SSDの予約領域に中断データを保存しておくという仕組みなので、同時に中断しておける本数には限りがあるようです(正確な本数は分かりませんでしたが、6本前後だと思われます)。

SeriesX|Sに最適化されたタイトルでも後方互換タイトルでも使うことができ、省電力モードで電源を切っても問題なし。
起動して、企業ロゴを見て、ボタンを押して、セーブデータをロードする、という行程をまるまるすっ飛ばし、わずか5秒ほどでゲームを再開できるので驚くほど便利です。

しかしながら、現時点では不完全かつ不安定な機能になっています。

限度以上のゲームを起動すると、もっとも過去にプレイしたゲームから中断データが破棄されるようなのですが、データが破棄される場合に警告などは表示されないし、中断しているゲームの一覧の表示といったものも用意されていません。

クイックレジュームで再開する際には右上にクイックレジュームのロゴが表示されるのですが、ロゴが表示されているにも関わらず、最初の起動からやり直しになるときもあります。

起動に成功しても操作を受け付けなくなるというケースもあったので、中断する際にはセーブが欠かせません

また、クイックレジュームに対応していないゲームもあるのですが、対応・非対応がひと目でわからないという問題もあります。

常時オンライン接続が必須のゲームには対応していないというのは分かりますが、完全オフラインゲームでも対応していない場合があり、実際に試してみるまで分からないというのはちょっと厄介。

『Forza Horizon 4』『Ori and Will of the Wisps』『Gears Tactics』『プラネットコースター』『Control』など多くのゲームが対応していましたが、『CrossCode』『ドラゴンクエストXI S』など一部のオフゲーには対応していませんでした。

また、『アサシンクリード ヴァルハラ』では序盤は問題なく使えたのですが、居住地にオンラインストアと連携しているキャラが登場すると使えなくなってしまいました。

今後のアップデートで、

  • クイックレジュームに対応しているかが一目で分かる
  • 中断データが破棄される場合は警告が表示される
  • 中断しているゲームの一覧を見ることができ、そこから個々に終了できる

このあたりの改善を期待したいです。

UIアップデートにより、上の2つはすでに対応済み。
使い勝手がかなり良くなり、クイックレジュームに対応するタイトルも増えてきています。

FPSブースト

後方互換で対応している一部のタイトルのフレームレートを倍にすることができる。そんな神機能。

FPSブーストはソフト側ではなくハード側で対応する機能なので、各ソフト側がアップデートで対応する必要がない、というのが特徴です。
現時点では約90のタイトルがこの機能に対応しており、対応ソフトはこのページから確認できます。

最新のゲームだけでなく、やり残した旧世代のゲームをプレイするにも最適な環境と言えるでしょう。

Xbox Game Pass

月額850円で200以上ものゲームが遊び放題になる定額サービス。

ぶっちゃけ、ぼくが発売日にSeries Xを買ったのはGame Passがあるから。これに尽きます。

Game Passの大きな特徴は、Xbox Game Studiosからリリースされるゲーム(ファーストタイトル)はすべて発売日からプレイ可能になるということ。
これには、先日Microsoftが買収したゼニマックスの傘下であるベセスダのゲームも含まれています。
つまり、『TES』の最新作も『Starfield』も、追加コスト無しで発売日から遊べちゃうということ!

さらに、サードパーティ製のコンソール独占タイトル(『The Medium』『Scorn』『S.T.A.L.K.E.R.2』などなど)も、発売日から遊べるようになります。
最近では、発売日から遊べるようになるインディーズタイトルもかなり増えてきています(『CrossCode』『Carion』『Spiritfarer』『Monster Sanctuary』など)。

また、本体の地域設定を変えることで、日本では対象になっていないあんなタイトルやこんなタイトルもプレイ可能に(Xboxでは、ストアの地域を変えることができるというのも魅力です)。

ただ本数が多いだけでラインナップはショボいんじゃないの?と思っている方もいるかも知れませんが、そんなことは無い!と断言したいです。
ギアーズやForzaといったお馴染みのタイトルはもちろん、『DOOM Eternal』『ドラゴンクエストXI S』といった有名作品から『ホロウナイト』『Celeste』『KATANA ZERO』といったインディーズの傑作まで、実に幅広いジャンルを網羅。

自分では買わないであろうゲームや、そもそも存在を知らなかったゲームを、追加コストなしで気軽に楽しむことができるという点で、ゲーマーにとってはこれ以上ないサービスと言えるのではないでしょうか。

月額1100円のUltimateでは、Live GoldとGame Pass for PC、そしてなんとEA Playも付いてくる上に、今後本格的なサービス開始を予定しているxCloud(Android端末でのクラウドゲーミング)も利用可能に!

もはや加入しない理由が無いです。月に1本でも遊べば元が取れちゃいますから。

コスパ激高のサービスですが、問題点がないかというとそうでもなく。
日本語化されていないゲームが結構あったり、日本語化されているのに日本では配信されていないゲームもそこそこあるのが残念なところです。

おわり

コントローラーもUIも遊べるゲームもほとんどOneから変わっていないので、これまでの次世代機のような「新しいゲーム機を買った感」は無く、スマホをかなりいい性能のものに買い替えたみたいな感覚。

「どいつもこいつも今すぐ買うべき!」とオススメすることはできず、特に「次世代機では次世代のゲームがやりたい」と思っている人にはオススメできないのが現状です。

Xbox Series X|SでリリースされるゲームはすべてPCかXbox Oneとのマルチになるので、Series X|Sでしか遊べないゲームはありません。
また、Game PassはPCでも(xCloud経由でAndroidでも)利用できるので、Series Xだけにしかない魅力とは言えません。

しかしながら5万で買える高性能ゲーミングPCなど無いので、ゲームをプレイする環境としてSeries XとGame Passはコスパ最強の組み合わせと言うことはできると思います。

ロード時間の短縮や安定した60fpsなど、とにかくゲームプレイにおけるパフォーマンスの向上がハンパじゃないので、One(S)からの買い替えを考えている人、コストを抑えつつ色んなゲームを楽しみたいという人には自信を持っておすすめできるコンソールです。
※4K環境がない人はSeries Sを買ったほうが良いのかもしれません

日本だとディスク版が扱っていなかったり、DL版も日本はXboxだけハブにされてたりと売れなすぎて悲しい現状ですが、今世代ではなんとかなってほしいです!

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